私は小さいころから本が好きで、小学生のころは、学校の図書カードがいっぱいになっていて、学年でも読書量でいえば上位でした。
だんだんと読む量は減ってきましたが、社会人になってからも、毎年、50冊~100冊程度の本を読んでいます。
本は自分が知る中で最高の娯楽であり、学びであります。
とはいえ、以前に比べると、自分がどんな本を読んだのか忘れてしまうようにもなってきました。
そこで、自分の備忘録をかねて、今年の読んだ方について一覧にしていきます。
基本的には、その年に読んだものの順番で記録しています。
リンク先は、読んだ本についてあらすじや感想を書いたものになります。
本を探すときのみなさまの参考になればうれしいです。
Contents
1月の読書:7冊
2021年1月の読書数は7冊。
年初めでやる気にあふれている時期にしてはややゆるやかなスタートとなりました。
思ったよりも夏目漱石の『それから』と『門』の2冊にてこずってしまったのと、コロナの影響で仕事がばたばたしていたのが原因です。
初めて読んだ森博嗣さんが思った以上に私好みでした。
もっと早くから読めばよかった。
『向日葵の咲かない夏』道尾俊介
道尾俊介さんの小説を読むのはこれが初めて。
思っていたのとかなり違い、ちょっと苦手な雰囲気もありましたが、これはこれでおもしろかった。
好き嫌いのわかれる小説かなと思います。
【☆☆☆★★】
『それから』夏目漱石
夏目漱石の前期三部作の2作目にあたる『それから』。
略奪愛って小説としてはおもしろいけど、現実にあったらかなりどろどろでやばいです。
【☆☆☆☆★】
『緋色の研究』コナン・ドイル
コナン・ドイルの〈シャーロックホームズ〉シリーズの第1作目。
ホームズとワトソン博士の出会いからスタートします。
シャーロックホームズ読んだことがない人は、ここから読み始めるのがいいですね。
【☆☆☆☆☆】
『頭がいい人の読書術』尾藤克之
たまに読みたくなる読書術の本。
「そうだよねー」と納得する部分もたくさんありつつ、自分向きではない部分もありつつ。
【☆☆☆★★】
『門』夏目漱石
夏目漱石の前期三部作の3作目。
全体的に暗い雰囲気のある『門』。
略奪愛のすえに結ばれた夫婦のその後を描いた作品。
【☆☆☆★★】
『星の王子さま』サン=テグジュペリ
世界的に有名な『星の王子さま』。
箱根の星の王子さまミュージアムに行ったので読んでみたくて手に取りました。
童話だけど大人にもぜひ読んでほしい一冊。
【☆☆☆☆☆】
『神はいつ問われるのか?』森博嗣
森博嗣さんのWWシリーズの2作目。
タイトルから宗教色が強いのかと思ったらぜんぜんそんなことはなく、考えさせられる良書。
【☆☆☆☆★】
2月の読書:8冊
2月は8冊。
大好きな米澤穂信さんはいずれも再読。
夏目漱石もだいぶ読み終わってきました。
『さよなら妖精』米澤穂信
〈ベルーフ〉シリーズの原点となる1冊。
中東の話が出てきますが、そのあたりの知識がなくても十分楽しめる作品。
【☆☆☆☆★】
『王とサーカス』米澤穂信
〈ベルーフ〉シリーズ1作目の長編小説。
フリーの記者となった大刀洗万智が初めて遭遇する事件。
報道や仕事というものについての向き合い方が問われます。
【☆☆☆☆☆】
『真実の10メートル手前』米澤穂信
〈ベルーフ〉シリーズ2作目となる短編集。
『さよなら妖精』『王とサーカス』の流れで読むと、大刀洗万智がどう考え、どう信念を持って記者として生きてきたかがわかりますね。
【☆☆☆☆★】
『彼岸過迄』夏目漱石
夏目漱石の後期三部作の1冊目。
ちょっと読むのにてこずりました。
【☆☆☆★★】
『職業としての政治』マックス・ヴェーバー
マックス・ヴェーバーが行った大学での講演をまとめたもの。
内容的に固いけれど、講演だけあって、徐々に熱をおびていくところがおもしろい。
米澤穂信さんの〈ベルーフ〉シリーズの名前の由来ということで読んでみた1冊。
【☆☆★★★】
書評未記載
『イダジョ!医大女子』史夏ゆみ
医大生の生活ってあまり知る機会がないので、そういう意味でおもしろい小説。
やっぱり医者って簡単になれるものではないですね。
人の命を預かる仕事はそうあるべきですが。
【☆☆☆★★】
『行人』夏目漱石
夏目漱石の後期三部作の2冊目。
夏目漱石の作品の中でも人気のある1冊ですね。
人の内面というのはわからないもの。
分かり合うって難しいと感じる。
【☆☆☆☆☆】
『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』田中修二
破産寸前であった眼鏡チェーン店オンデーズを復活させたという実話をもとにした小説。
うん、たしかに破天荒。
これくらいでないと、こうしたすごいことってできないのだろうなと感じる。
しかし、一緒に働くのはやりがいはありそうだけど大変そう。
【☆☆☆★★】
3月の読書:2冊
3月は2冊。
年度末はどうしようもない。
本を読みたくても読む余裕がない1か月でした。
『ボトルネック』米澤穂信
かなり前に読んで好きだった小説なので再読。
読み返してみると、「あれ?こんなだったっけ?」とかなり記憶違いしてました。
ちょっとダークな雰囲気を出す小説ですが、自分を見つめなおすいいきっかけにもなります。
【☆☆☆☆★】
『終末のフール』伊坂幸太郎
こちらも再読。
8年後、地球に小惑星が衝突するとわかってから5年たった日本の話。
残り3年で地球が滅亡するというとき、人々はどんな生活をするのか。
自分だったら……とつい考えてしまいます。
【☆☆☆☆★】
4月の読書:15冊
4月は先月と打って変わって15冊!
職場の部署が替わって、時間に余裕ができたのが大きいですね。
伊坂幸太郎さんだけで7冊。
伊坂さん祭りの4月でした。
『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎
太宰治の『グッド・バイ』を完成させてほしいという依頼から執筆が始まった本書。
最終的には、伊坂幸太郎さん風の小説として完成。
伊坂幸太郎さんの中でもかなり好きな小説です。
【☆☆☆☆☆】
『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎
伊坂幸太郎さんにしてはめずらしく、恋愛要素の含んだ小説です。
でも、どっぷり恋愛ではなく、つながりとかを大事にしているところが伊坂さんらしくてとても好きです。
【☆☆☆☆★】
『死神の精度』伊坂幸太郎
死神って小説によって役割が違っておもしろい。
本書では、死ぬ対象となった人を、7日間かけて死ぬか見送りとするかを死神が判断するというもの。
【☆☆☆★★】
『豊田章男』片山修
トヨタ自動車株式会社の代表取締役である豊田章男氏について書かれた本。
トヨタの創設者豊田喜一郎氏の孫にあたります。
こうした社長の本って学ぶことが多くてわりと好き。
【☆☆☆★★】
『グッド・バイ』太宰治
完成前に太宰治が亡くなったため、未完のままとなっている『グッド・バイ』。
伊坂幸太郎さんの『バイバイ、ブラックバード』つながりで読んでみました。
おもしろいんだけど、本当に中途半端なところで終わってしまっていて、どういう結末にするつもりだったのかがとても気になる。
【☆☆☆☆★】
『人生の勝算』前田祐二
SHOWROOM社長である前田祐二さんの自伝。
これまでの人生と起業家としての生き方や考え方が書かれていて、起業したい人もそうでない人にもおすすめの1冊です。
【☆☆☆☆★】
『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎
ちょっと長めなので後回しになっていた本書。
しかし、これがおもしろいので、長いのに1日で読み切ってしまった!
とても伊坂幸太郎さんらしい小説。
【☆☆☆☆★】
『最高の体調』鈴木祐
人間の体調について、炎症、不安、孤独、文明病と、様々な視点から、科学的に言及した本。
やはり長生きしたいし、健康でありたいから読んでいてすごく勉強になる。
しかし、肥満も体の炎症の原因とは……やばいです。
【☆☆☆★★】
『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎
〈陽気なギャング〉シリーズの1作目。
4人の男女が銀行強盗を成功させるけど、その矢先に、現金輸送車強盗事件の犯人たちに、奪ったお金を横取りされてしまい、取り返そうと犯人を捜すというもの。
伊坂さんらしく軽快で、ところどころに名言も多く、読んでいてとても楽しい作品。
【☆☆☆☆★】
『日本人のすごい名言』齋藤孝
タイトルに惹かれて読んでみました。
名言や座右の銘を自分ものとすることで、どんな恩恵があるのか、そうした言葉の力を説明してくれています。
そして、多くの日本人の名言とともに、その名言が生まれた背景や、その意味の解説も。
よく、名言がずらーと並べてある本もありますが、こうした丁寧な解説がついていると、よりその言葉が深く入ってきてよいです。
【☆☆☆☆★】
『コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方』遠藤功
こちらもタイトルに惹かれて読んでみた本。
最初は、堀江貴文さんたちの『10年後の仕事図鑑』みたいに、将来を予測して、今後のその業種や仕事について書いてあるのかと思っていたのですが違ったみたいです。
コロナ後の働き方などで重要なことについて、たとえば専門性を身に着けた人が重要にあるということや、不要なものをそぎ落とすことの大切さといったことが書かれています。
【☆☆★★★】
『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎
伊坂幸太郎さんのデビュー作になります。
これがほんとにデビュー作なのかと驚くくらいに、独特の世界観が組み上げられていて、その世界に引き込まれていきます。
主人公の伊藤は、ある日、誰も存在をしらない島へとたどり着きます。
そこには未来を知っているしゃべるかかしを始め、変わった住人たちがいっぱい。
そこで伊藤は何を見て、何を感じるのか。
【☆☆☆☆★】
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』岩井俊二
アニメの映画として有名になった作品。
CMもばんばんやってましたし、主題歌が大ヒットしましたね。
元々はアニメ映画が先で、それをノベライズしたものになります。
そのため、映画の内容がベースとなるので、心理描写も、風景描写もちょっと物足りなさはあるかも。
【☆☆☆★★】
『化学で「透明人間」になれますか?』佐藤健太郎
久しぶりに読んだ新書。
「透明人間」「不老不死」「やせる薬」「ドラえもんの道具」などを最新の化学の見地から、現在の状態を紹介したものになります。
こういった本って、堅苦しくて読みづらいものが多いのですが、この本は会話形式であり、内容も初心者用にかなり簡略にしてくれているのでとても読みやすかったです。
【☆☆☆☆★】
『ラッシュライフ』伊坂幸太郎
伊坂幸太郎さんの2作目の小説。
5つのグループに視点がころころ変わり、時系列もバラバラなので、最初ちょっと混乱するかも。
でもすべてを読んで一本につながったときがとても気持ちよく、満足感がありますね。
『オーデュボンの祈り』や『陽気なギャングが地球を回す』を匂わせる場面もあって、伊坂さんの作品の楽しみの一つも感じられてよい小説です。
【☆☆☆☆★】
5月の読書:11冊+2
『結果を出し続ける人が朝やること』後藤勇人
朝やることと関係ないこともけっこうあったような気もしますが、実用的な内容もたくさん。
ぜんぶ実際に行うのは50項目あるので難しいですが、自分に合ったものから始めてみるといいかなと感じます。
【☆☆★★★】
『重力ピエロ』伊坂幸太郎
伊坂幸太郎さんの4作目の小説。
伊坂さんの小説の中では1、2を争うくらい好きな小説です。
ちょっとテーマが重めですが、それを感じさせない軽快な文章で楽しませてくれます。
【☆☆☆☆☆】
『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎
伊坂幸太郎さんの5作目。
新潮社ではなく東京創元社から出版されました。
でも、作品間のつながりも見られておもしろい作品です。
終わり方がちょっとせつないですが、人の違いとか、認識とか、いろいろ考えさせられます。
【☆☆☆☆★】
『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』廣嶋玲子
児童書の一つである銭天堂。
アニメにもなり人気になっているとのことで興味が出て読んでみました。
基本的には不思議な駄菓子を売っている銭天堂を訪れた人物が、駄菓子の注意書きをきちんと読まずに大変なことになるというストーリー。
子どもの頃だったらひやひやしながら読むのかなと思います。
子どもが小学生になったら進めてみたいなという一冊です。
【☆☆☆★★】
『チルドレン』伊坂幸太郎
少年非行に興味がある人にはおすすめ!
ちょっと破天荒な家庭裁判所調査官が登場します。
実際にこんな調査官がいたら問題になるけどおもしろい!
調査官の仕事の裏側も少し垣間見えて勉強にもなります。
【☆☆☆☆★】
『魔王』伊坂幸太郎
少しいつもの伊坂幸太郎作品とは雰囲気の違う『魔王』。
とはいえこれはこれで考えさせられるものがあります。
集団の恐怖っていうのはどこにでもあるものだなと感じますね。
【☆☆☆★★】
『グラスホッパー』伊坂幸太郎
〈殺し屋〉シリーズの一作目。
グラスホッパーというタイトルがまた絶妙だなと読み終わったら感じます。
めずらしくアクションシーンもありますが、こういうのも伊坂さんは書けるのだなとちょっと驚きでした。
【☆☆☆☆★】
『おカネの教室』高井浩章
子どもに読ませたいお金についての導入本ですね。
金銭教育ってどうすればいいのか悩むところですが、こうした本からスタートするといいかなと思います。
大人が読んでも勉強になりますし、子どもと一緒になって書いてあることの意味を考えてもいいかなと。
【☆☆☆☆★】
『砂漠』伊坂幸太郎
伊坂幸太郎作品の中でもかなり好きな1冊。
砂漠に雪を降らせる!くらいの覚悟で何かを必死にやってみたい!
ただの大学青春物語では終わらない何かがここにはあります。
【☆☆☆☆☆】
『生きてさえいれば』小坂流加
なんともいえないもどかしさのある恋愛小説。
思う気持ちとは裏腹にうまくいかない部分ってのはどこかにあって。
でもどこかで何かを選択しなければいけなくて。
『余命10年』と合わせて読みたい素敵な1冊です。
【☆☆☆☆★】
『フィッシュストーリー』伊坂幸太郎
みんな大好き黒澤さんが登場する短編小説。
伊坂さんって長編がおもしろいのはもちろん、短編もおもしろいから好きです。
これだけでもおもしろいけど、やはり最初の頃の作品から読んでいるとより面白さが引き立ちます。
【☆☆☆☆★】
『桃太郎』芥川龍之介
昔話の桃太郎とは一風変わった芥川龍之介の『桃太郎』。
こんなストーリーだととても子どもには読ませられません。
でもこっちの方がとても現実的というか……。
こんな桃太郎もあるんだなって意味で一度は読んでみるとおもしろいです。
青空文庫で読みましたが本としては、芥川龍之介の全集的なものには載っているかなと思います。
【☆☆☆☆★】
『高瀬舟』森鴎外
教科書にも載る有名な『高瀬舟』。
安楽死を巡る話としてよく話題にもなりますが、それだけでない深さが短い話の中に詰められています。
正直、森鴎外というと難しそうで手が出しづらいですが、これは読みやすい。
学生のころと違った感想ができるので、大人になったらもう一度読んでみるといいかなと思います。
【☆☆☆☆☆】
6月の読書:9冊+2
『あるキング』伊坂幸太郎
この本も伊坂さんにしてはちょっと変わった作品。
シェイクスピアの四大悲劇の一つである『マクベス』をテーマにした小説です。
一応『マクベス』を知らなくても読めるけど、知っていた方がずっとおもしろいのでまずは『マクベス』から読むことをお勧めします。
【☆☆☆★★】
『齋藤孝が教える「孫子の兵法」の活かし方』齋藤孝
聞いたことがあるけどなかな読んだことがない『孫子の兵法』。
それをわかりやすくかつ仕事のつなげて書いてくれている本なのでかなり実践的でおもしろい。
とはいえ、ここまでふつうの職場でうまくいくことはないので、全体のうち一つ二つでも活かすことができればいいのかな。
【☆☆☆☆★】
『余命10年』小坂流加
今のところ、今年一番ぐっと来た小説。
余命10年と言われる難病にかかった主人公の人生を描いた物語。
もし自分や大切な人がそうだったらと思うと考えこまずには入れらない。
【☆☆☆☆☆】
『マリアビートル』伊坂幸太郎
〈殺し屋〉シリーズの2作目。
前作『グラスホッパー』もおもしろかったのですが、それをはるかに上回る濃密な内容。
バトルシーンも描写も比べてみるとずっとレベルアップしている感じがします。
【☆☆☆☆★】
『知識を操る超読書術』DaiGo
ときどき読みたくなる読書術の本ですが、申し訳ない。
個人的にはあまり読書術としてはびみょーかなと。
DaiGoさんは心理系の部分の方がやっぱりおもしろいですね。
ですので後半に出てくるそういった心理の分野はよかった。
でも読書術としてはちょっと……。
【☆☆★★★】
『老後の資金がありません』垣谷美雨
老後が心配になるこのご時世。
こういう将来を考えられる小説って重要だなって感じます。
貯金していても急な出費ってのも出てくるもの。
そんなときに何も考えていなかったらあっという間に貯金なんてなくなってしまいます。
自分の将来を見つめながら読んでみるととてもいいです。
【☆☆☆☆★】
『諦める力』為末大
スポーツマンの本の中では特に気に入った一冊です。
ふつう、有名なアスリートって諦めないことを主張するのに、諦めることについて書かれています。
諦めるとは決してネガティブなことではなく、前向きな選択なのだ、と。
人生において重要なことが多いおすすめの本です。
【☆☆☆☆☆】
『東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法』山口真由
ちょっとタイトルで気になったので読んでみた勉強の本。
7回読み自体はまあ納得できなくもない勉強法。
ただ、基本的に楽して学べるものではない。
この人自身がものすごく努力してきたことの結果であって、誰でも簡単にこの方法で勉強できるとは思わない方がいいなって感じます。
【☆☆★★★】
『桜のような僕の恋人』宇山佳佑
人気の高い作品なので読んでみました。
しかしなんとも……。
人気があること自体はわからなくもないですが、個人的にはもうちょっと主人公に頑張って欲しかったなと。
もうちょっとそこどうにかならんかなともやもやした気持ちも残り。
でもそこがいいって人もいるんだろうな。
評価が難しい本でした。
【☆☆☆★★】
『猿蟹合戦』芥川龍之介
昔話のさるかに合戦のその後を描いた小説。
さるを懲らしめたかに達がみんな警察に捕まって裁判にかけられてしまいます。
すごく現実的であまりに救いがない。
しかしよく理解もできる。
『桃太郎』と合わせて子どもには読ませづらい本ですね。
【☆☆☆☆☆】
『走れメロス』太宰治
これもまた有名な作品である『走れメロス』。
子どもの頃って特に疑問を持ちませんでしたが、大人になって読むとつっこみどころが満載。
それが逆におもしろい。
【☆☆☆☆★】
7月の読書:7冊
7月は、大好きな作家である米澤穂信さんの『本と鍵の季節』のKindle版が出たことがうれしかったですね。
ずっと気になっていた『イニシエーションラブ』もようやく読めました。
人気の作品にはやはりそれだけのわけがあると感じる7月でした。
『手紙屋 僕の就職活動を変えた十通の手紙』
手紙屋との10通の手紙のやり取りを通して、人生や就職で大切なことを学んでいく物語。
これは就活を始める前に人にはぜひ読んでほしい。
でも、すでに社会人の人でも自分の人生や大切なものを改めて考えることができるのでいいかも。
【☆☆☆☆★】
書評未記載
『イニシエーション・ラブ』乾くるみ
かなり衝撃的な恋愛小説でした。
それなり昔の小説なのに根強い人気があるのがよくわかる。
一回読んですぐに二回目を読んでしまいました。
【☆☆☆☆☆】
『塀の中の教室』安部顕
元法務教官による少年院についての本。
前半は少年院というところについて。
後半は著者が勤務した経験から感じてきたことを交えた内容。
簡単な内容になるので、少年院を全く知らない人向けかなと思います。
【☆☆☆☆★】
『やり抜く人の9つの習慣』千葉弓子
習慣を題材とした書籍ってものすごくたくさん出ているんですよね。
たまーに読みたくなるので手にした一冊です。
ただまあ、そんなに目新しい内容がなく、最後の方は、
「それって習慣なのかな?」
といった内容もあったので、習慣系の本を初めて読む人にはいいけれど、たくさん読んできた人には向かないかなといった一冊です。
書評未記載
『草枕』夏目漱石
久々に読んだ夏目漱石。
なかなか読むのに時間がかかる一冊でした。
タイトルは昔から知っていたのでずっと気になっていましたが、序盤から考えさせられる内容が多くじっくり読むのが正解です。
夏目漱石の中ではおもしろいというよりは考えさせられる小説なので、有名どころを読んだ後に読むくらいでいいかなと。
書評未記載
『ダッシュ!』五十嵐貴久
大好きな作家の一人である五十嵐貴久さん。
陸上部に所属する男子高校生を主人公とした物語で、展開も早くて読んでいておもしろい。
しかし、タイトルが『ダッシュ!』なのに主人公はあまりダッシュしないのがまたなんとも。
気持ちよく読める一冊でおすすめです。
書評未記載
『本と鍵の季節』米澤穂信
こちらもまた大好きな作家の一人である米澤穂信さん。
『本と鍵の季節』の文庫版がKindleで読むことができるようになったので、もうすごくうれしくて寝る時間を削って読んでしまいました。
米澤穂信さんの得意な高校生による日常の謎ですね。
<古典部>シリーズとも、<小市民>シリーズともまた違った主人公たちがいいですね。
圧倒的に優秀な主人公が活躍するってわけじゃないのが米澤さんの本を読んでいて好きなところの一つです。
書評未記載
8月の読書:2冊
8月はなんとわずか2冊!
というのもプライベートで資格試験が近くなってきたため、いったん読書を中断していたからです。
しかし、残念なことにわずか3点足りずに資格が取れなかったので、来年のこの時期も読めなくなるのかなあと今から悲しい。
8月はどちらもノートとか手帳の使い方的な本です。
『あなたを天才にするスマートノート』岡田斗司夫
著者の岡田斗司夫さんの本ってけっこう好きで、ダイエットの本もかなり読みました。
しかし、読んで終わってしまったのですみませんという感じです。
『オタクの息子に悩んでます』という悩み相談を請け負っていたときの、相談に対する回答とその解説をまとめた本もすごくおもしろかったです。
今回のスマートノートは、ノートを開いて、右側のページから使い始めるというもので、これが実践してみるとかなりいい。
読んでから現段階で3冊使い切りました!
書評未記載
『はじめてのパレットジャーナル』Marie
こちらは、岡田斗司夫さんのノートに続いて実践的なものというので読んでみました。
手帳術の本ですね。
箇条書きで予定を書き込んでいくことで、予定を忘れることなく優先順に消化していけるというものです。
割と納得な部分もあるのですが、ちょっとおおげさに聞こえるところもあるなあと。
しかしこれは手帳を持ち歩く習慣がないといかんですね。
完全に持たない派なのでたぶん始めても続かないということで実践はせず、考えだけ学ばせてもらいました。
書評未記載
9月の読書:10冊
9月は前半で資格試験が終わったので読書解禁!
読めなかった分もあって読書がいつも以上に楽しめました。
恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』はすごく良かったですね。
音が本から飛び出してくるかのような見事な描写でした。
『死ぬこと以外 かすり傷』箕輪厚介
どこかで聞いたことがあるようなタイトルに惹かれて手に取りました。
表紙はあまり好みでなかったので手に取るまで時間がかかっていましたが、もっと早く読めばよかったなと思うくらいによかったです。
著者の箕輪さん。
本の出版側の方で、この人の人生から重要と感じてきたことを抽出してくれています。
これ、かなり考えさせられ、自分の生き方を振り返ってしまいます。
書評未記載
『作家の収支』森博嗣
『すべてがFになる』などで有名な人気作家の一人ですね。
タイトルのとおり、森博嗣さんが作家として活動してきて、どんな収入と支出があったのかをメインに書かれています。
小説を書く上での心構え的なものや、出版業界の事情なんかも書いていてかなりおもしろいです。
どうにも思ったことをばんばん書いてしまうのか、
「そんなこと書いちゃっていいの?」
と呼んでいるこちらがどきどきしてしまいます。
書評未記載
『面白い物語を作るには』ぴこ山ぴこ太郎
小説などの物語を作る上で、どんでん返しが重要であるとする本です。
著者のぴこ山ぴこ太郎さん自身は小説家ではなく、脚本家だったかな?
ちょっとこのあたりうろ覚えです。
でも、そうした創作の世界に携わっている人で、まずはその物語でどんなどんでん返しを描くのかを大事にしましょうと主張しています。
どんでん返しの種類わけの部分はボリュームの割になくてもよかったのかもしれません。
でもそこ以外はかなり勉強になるので、小説家を目指す人は一読の価値ありです。
書評未記載
『賢者の書』喜多川泰
自己啓発本をいくつも出している喜多川泰さんの最初の一冊です。
主人公が手にした賢者の書を完成させるために賢者のもとを訪れる旅に出て、大きく成長するというものです。
一つ一つの内容は、どこかに出てくるようなものではありますが、物語という形になっているのでとても共感を抱きます。
『手紙屋』がかなり好きなのでこちらも読んでみましたが、伝えたいものががっつり届く感じでおすすめです。
『もやもや人物図鑑』池田クロエ
KindleのKDPを利用した自費出版の作品です。
池田クロエさんは、Twitterのフォロワーさんで自分でも執筆をしながら、執筆をしている人を応援してくれています。
今回読んだ『もやもや人物図鑑』は、タイトルのとおり、池田クロエさんが出会ったもやもやする人物たちについてエッセイとしてまとめたものです。
これが意外とおもしろくて、
「あーこういう人いるなあ」
とついにやりとしてしまいます。
『推し、燃ゆ』宇佐見りん
言わずと知れた芥川賞を受賞した有名作です。
最初、芥川賞でこんなタイトルのこんな題材の小説が?と思いましたが、読んでみると、なるほどおもしろい。
自分が推していた男性アイドルがファンの子を殴って炎上したところから物語は始まります。
推しを推すことに命をかけ、生きがいとしてきた人たちの生きざまが描かれていて、
「自分にこれほど思えるものってあったかな」
とふと思い返してしまいます。
文量的にはそこまで多くないのですが、内容はかなり濃くてよいです。
『自分を操る超集中力』DaiGo
とにかくたくさん本を出版しているDaiGoさん。
まあ人間的にはあまり好きではないのですが、いいことも書いてあるのでつい読んでしまいます。
かなりこの方の本を読んできましたが、自分の中ではこの『超集中力』が一番よかったかな。
集中するということのメカニズムを科学的にも紹介してくれているので考えやすいです。
書評未記載
『蜜蜂と遠雷(上)(下)』恩田陸
本屋大賞を獲得した『蜜蜂と遠雷』。
これはもっと早く読めばよかったと後悔するくらいいい本でした。
題材はピアノコンクールなのですが、ピアノにまったく縁がなかった私でもその実情や出演者の苦悩や葛藤が伝わってきて本から手が離せなくなります。
上下巻と長いはずなのに、それを苦とならないくらい物語に引き込まれました。
最初、『蜜蜂と遠雷』じゃなくて『蜂蜜と遠雷』と勘違いしていたんですよね。
Twitterでも同じ間違いをしていた人はけっこういたみたいで、失礼しましたと。
今年読んだ中でもかなり上位に来るお気に入りです。
書評未記載
『読書について』ショーペンハウアー
久々に読んだ海外の古典。
読書家ならば一度は読んでおきたいのがこの『読書について』です。
三つの話からなる『読書について』ですが、いきなり読書の否定から入ります。
タイトルからてっきり読書を肯定的にとらえたものかと思っていたので驚かされます。
でも、読んでいくと、読書を否定しているわけでなく、読書の仕方や、乱立する有象無象の本に対する憤りといったところでしょうか。
10月の読書:13冊
10月は先月の勢いに乗ってかなり読めました。
仕事はまだまだ人手が足らず忙しい時期ですが、うまく隙間時間に読み進められたかなと思います。
おすすめは五十嵐貴久さんの『リカ』です。
<リカ>シリーズの一作目ですがこれがすごく怖い!
夜中に読むと夢に出てきそうですね。
『プロセスエコノミー』尾原和啓
完成品だけでなく、その過程、つまりプロセスに価値を見出す時代がきている。
何かを生み出すまでには物語があり、それに人は惹かれていくのだといいます。
でもその理屈は確かにわかるんですよね。
甲子園にしたって、それまでの必死に頑張る姿も放送されているから余計に応援したくなります。
新しい視点という意味でいい本だったかなと。
『AI VS 教科書の読めない子どもたち』新井紀子
タイトルに惹かれて読んでみたのですが、じゃっかんイメージしていたものと違って残念。
よくあるAIものの本で、これからのAIがどんな役割を果たすのかとか、人間にしかできない分野はどんなものかとか。
でも、タイトルに教科書の読めない子どもたちと入れるのであれば、もっとそちらに焦点をあてて書いてほしかったなと感じます。
一人の親として、子どもの将来のために何が必要なのだろうか、そういった視点があればすごくいい本だと思うのですが。
『なかなか自分で決められない人のための「決める」技術』柳生雄寛
うーん、なんとも言えない本でした。
決めること、決断についてこう考えてこう決断していきましょうと書かれていますが、それは前半だけ。
後半って、決断関係なくないかなという気持ちになります。
決して悪い本ではないのですが、ちょっと無理矢理文章量を増やしている感もあってなんとも。
それでも前半は自分の為にもなったので読んでよかったと思います。
『祝祭と予感』恩田陸
恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』の続編というか、その後を描いた短編集。
ですので読むならまずは『蜜蜂と遠雷』から読みましょう。
私は前作がすごく好きだったので、『祝祭と予感』も相当楽しむことができました。
これから三人はどうなるのかなっていうのも気になっていましたし、裏側はこんな風だったのかというのも。
『蜜蜂と遠雷』が好きな人にはぜひ読んでほしい一冊です。
『教養として学んでおきたい哲学』岡本裕一朗
まさにタイトルとおり。
教養として知っておきたい哲学の基本が書かれています。
哲学って学ぼうと思うと何から手を付けていいのかわかんないんですよね。
その導入としてはかなりよかったです。
まあ内容が哲学なんで楽に読める本ではないです。
基本がわかっていないと哲学ってどうにもぼんやりとしたものになりがちなので、これを一冊読んでおくと役に立つかなと。
『後悔しない超選択術』DaiGo
どうにも、以前に読んだDaiGoさんの本と内容がかなりかぶっていたため読んで失敗。
もちろん、この人の本が初めてなら勉強になります。
とにかく日々たくさん行う選択をいかに手早く、そして良い方向に持っていけるか。
その積み重ねで人生は変わります。
『初めてのキンドル出版』後藤あゆみ
Amazonの電子書籍のみで販売されている本です。
KDPというやつですね。
自分でKindleで本を出す場合、どうすればいいのかという手順書になります。
本当に初心者向けという感じなので、挑戦してみたけどうまくいかないみたいな人はもう少し詳しい本の方がいいかも。
あと、明らかにそれは説明しなくてもいいし、画像も必要ないというものに大量にページが使われています。
これは、KDPだと1ページ読まれるたびにお金が入るからそれ狙いなのかなと勘ぐってしまいます。
『メタ思考トレーニング』細谷功
最近よく耳にするメタです。
俯瞰してみるというやつですね。
これまでと視点をどのようにして変えるのか、その訓練と思って読みました。
こういう本増えていますよね。
でも、意識しないとこういったメタ思考ってできないので、 この本に限らず、時間があればまた手を伸ばしてみたいと思います。
『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』池上彰
少し前の本になりますが、世界の問題と宗教のつながりを知るという点でとても勉強になります。
宗教ってどうにもいいイメージを持たない人が日本人には多いですが、教養として学ぶ分にはけっこうおもしろいものです。
むしろ、宗教を知らないとよく理解できないことってたくさんあるんですね。
一つの考え方を知るため、新しい視点を得るために、宗教学ってもっと広く知れ渡ってほしいなと思います。
『リカ』五十嵐貴久
読んで受けた衝撃という点では今年一番だったと思います!
前から読んでみたかった五十嵐貴久さんの『リカ』。
このリカがもうとにかく怖い!
夜中に読んだら夢に出てきそうです。
それまで読んだことのある五十嵐貴久さんの本だと、『パパと娘の七日間』とか『ダッシュ!』のように楽しく読めて気持ちよく終わる小説ばかりでした。
だから読み終わった後もずっしりと胸に残る感じが久々でこれはもうすごくおすすめです。
『死ぬほど読書』丹羽宇一郎
丹羽宇一郎さんという伊藤忠商事の偉い人。
ものすごく本を読まれる方のようで、この方の読書論ですね。
よくある読書論の本だと、ありきたりなことを書いて終わっているものが多いのですが、これはかなり思ったことをそのまま書いているのでそこが好きです。
読書に対して何を思うかってひとそれぞれで、まったく同じ考えという人はいないものです。
だからこうした本を読むと、自分の本との向き合い方に新しい視点が加わっていいなと思います。
『わが子をAIの奴隷にしないために』竹内薫
上記したAIの本と内容はかなり似通っています。
AIのできること、できないこと。
これからのAIの役割や将来に向けてこういった力が必要といった内容です。
こうしたAI関連の本って勉強にはなるのですが、”子ども”というキーワードを入れている割には、実際はそこまで子どもが関係ないんですよね。
子どもに対して親がどうしていけばいいのかを知りたくて読んでいるのに、そこはあいまいになっていて残念です。
なんとなくはわかるんですけどね。
AI関係は一冊読めばいいかなと思いました。
『道草』夏目漱石
時代は違えど人間が悩むところって似た部分があって、読んでいて、
「あぁもうすごくわかる!」
というポイントがかなり多くあります。
お互いに少し心を開いて話せば解決するようなことなのに、それができない。
見栄や世間体、自尊心などからしなくてもいいことまで背負いこんで損をしてしまう。
人ってきちんと考えればシンプルなことでも、余計な考え方をして複雑にしてしまうもの。
道草ってタイトルが読み終わった後にしっくりときます。
11月の読書:10冊
11月の後半からは、『小説すばる新人賞』の受賞作品を読んでいくことにしました。
こうした読み方ってふだん自分が手に取らないような本を読むことになるので意外とおもしろい。
しかし受賞作でも、当たり外れがけっこうあるもんだなと驚いています。
『配達赤ずきん』大崎梢
こういう書店を舞台にした本って本好きにはたまりません!
書店という空間自体もいいですし、小説の中にたくさんの本のタイトルが出てきて、
「その本自分も好きだなあ」
「それは読んだことないけどおもしろそう!」
と小説の内容とは別の部分でもわくわくさせられますね。
書店あるあるも出てきて満足な一冊でした。
『小説家という職業』森博嗣
以前に読んだ『作家の収支』よりも前に書かれた本のため、二冊でちょっと内容が被るところも変わったところもあります。
でも、小説家の現実という部分も描かれているのでなかなかおもしろい。
もし小説家を志している人でしたら一読の価値はある本です。
実際に森博嗣さんのようにうまくいく人ってごく一部なのですが、それでもこうした人生って憧れますね。
『校閲ガール』宮木あや子
以前にドラマ化されたこともあり名前を聞いたことがある人も多いのかなと思います。
出版社の校閲の担当者が主人公です。
ファッション雑誌に携わりたいのに、まったく興味のなかった小説の校閲を任されたあや子の奮闘劇。
ずばずばと物言う姿が自分に正直で、なかなかそうした生き方ができないのでいいなと思います。
私たちを楽しませてくれる小説がこんなにいろんな人が動いてできているのだと改めてわかっていい作品です。
『プロ作家養成塾』若桜木
2002年に出た本ですが今でも十分勉強になります。
小説を書く上での基本的なことを中心に紹介してくれていますが、知らなかったことが以外に多い。
実際に小説を書きたいと思っている人はぜひ読むべきです。
『リバース』五十嵐貴久
五十嵐貴久さんの<リカ>シリーズの三作目にあたる『リバース』。
リカの幼少期の話で、どのようにしてリカが生まれたのかを描いています。
家政婦として雇われた女性からの手紙形式で物語は進みます。
一見、裕福で幸せそうな家庭なのに、ところどころに歪なところが見えてきて……。
リカという存在を知っているからこそ、この家庭の危うさがひしひしと伝わってきます。
『短編小説のレシピ』阿刀田高
こちらは小説の書き方系の本の中でも、短編小説に焦点をあてた作品です。
長編と短編ってあたりまえですけど書き方とか考え方とか、求められるものが違ってくるんですよね。
でも意外と言われてみないと気づかないポイントもたくさんあります。
一文字、一文の重みは、長編より短編の方がはるかにある。
無駄な言葉を紡ぐことはできないと感じさせられます。
『プリズムの夏』関口尚
ここから小説すばる新人賞受賞作品に入っていきます。
受験を控えた高校生の男子二人の話。
恋愛や家庭の問題、将来への不安や希望……。
高校生ならではの悩みと大人にはできない行動とがないまぜになって、
「ああ青春だな」
と思わされてしまいます。
大人になるとそういった感覚ってどんどんなくなっていくので、とても昔を思い返すような懐かしい気持ちになりました。
『砂漠の青がとける夜』中村理聖
なかなか不思議なふわふわとした小説でした。
とても心理描写を始め、文章がきれいなのが印象的で、読んでいてこういった表現もあるんだなと勉強になります。
一方で、小説としてはどこかつかみどころがなく、読む人によっては何が言いたかったのかわからないと感じるかも。
『ラメルノエリキサ』渡辺優
「目には目を。歯には歯を」
と、やられたことには自分が受けた心理的な苦痛も上乗せしてきっちり返す復讐癖のある女子高生が主人公。
ある日、道端で刺されたことでその復讐をするために犯人捜しをするというもの。
主人公のキャラがかなり個性的で、自分に正直で共感が持てます。
話としても展開がわかりやすくていいのかなと。
エンタメ小説としてはとてもおもしろい一冊だったと思います。
『櫓太鼓がきこえる』鈴村ふみ
これはかなり気に入った一冊!
相撲の呼出しを主人公にしたちょっと珍しい題材の小説です。
相撲の世界ってあまりよく知らないけれど、力士の名前を呼びあげる呼出し。
名前を呼ぶだけじゃなくて、場所ごとに土俵を作ったり、のぼりを持って歩いたり。
そんな知らなかった世界を見事に描くだけでなく、そこにある悩みや葛藤も、成長もあってとてもおもしろく読めました。
12月の読書:7冊
『闇夜の底で踊れ』増島拓哉
これも好みがわかれる小説ですが個人的にはおもしろかった。
元暴力団で、パチンコと日雇いバイトで日々を送る男の物語。
たしかにありそうな生き方でもあるのですが、これを当時19歳で書いたというのですごいなと思います。
当然、そういった世界とは縁のない著者なので、どういう風に考えて調べて書いたのかが気になります。
『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ
人気作家の一人である朝井リョウさんのデビュー作です。
まずタイトルでいったいどんな小説なのか興味が惹かれます。
デビュー作とは思えないくらいよくできていて、朝井リョウさん自身がそのあとも良作を生み出し続けている実力派です。
映画化もされていますが、映画の方は個人的にはいまいち。
『天龍院亜希子の日記』安壇美緒
これもまた小説すばる新人賞から。
ブラック企業に勤める主人公の男性が、様々なできごとに流されながらも生きていく様を描いています。
もうちょい意志を持って頑張れ!といいたいところですが、でもこれってかなり現実的。
タイトルからはあまり想像できない内容でそのギャップもよし。
『星に願いを、そして手を。』青羽悠
夢というものをしっかりと考えさせてくれる一冊。
夢を描くもの。
夢を諦めるもの。
夢に破れるもの。
悩みながらも夢に向かって進もうとするもの。
もう私自身四十近くになりますが、それでも改めて夢というものを考えさせてくれた小説でした。
『しゃもぬまの島』上畠菜緒
これがまたすごく独特な世界観。
ハマる人にはとてもハマるけど、苦手な人は苦手だと思います。
評価はけっこう分かれるのでは?
ただ、これはほかの人にはまねのできない小説だろうなと思います。
そういった意味で、上畠菜緒さんの次の作品がどんなものに仕上がるのかが楽しみです。
『もしもパートナーが「宗教」に入っていたら』山口尊道
たまにはこんな本も。
宗教系の本ってわりと読むのですが、宗教の真面目な話とはちょっと違う。
現実的に身近に宗教やっている人がいたらどうするって本です。
そんなことふつうないと思いながらも、実は割と近くにいたりするんです。
『名も無き世界のエンドロール』行成薫
かなり時系列がばらばらで、今に戻ったり、過去にさかのぼったりを繰り返すので、最初ちょっと読みづらいかも。
でもそれになれると、どこがどうつながるのかと考えるのがおもしろい。
全部読み終わって、すべてがつながると、どこか勝手な達成感が生まれる小説です。
続編の『彩無き世界のノスタルジア』にも期待ができます。
おわりに
2021年現時点での私の読書記録となります。
今年も無事に100冊読了しました!!
実際にはカウントしていない本もあるので、110~120冊くらい。
書評もできるだけ書いていきたいけど、時間の都合上、今年分はここまでです。
さて、皆さんの好きな本や気になる本はあったでしょうか。
私は割と本を選ぶとき、ほかの人のおすすめの本を参考にしています。
主に、Twitterの読書アカウントで知ることが多いですね。
あとは、本屋大賞や各種有名な賞にノミネートされた本は読みたいなと思っています。
ほかの読書家さんの書評ブログでいいのを探すこともちらほら。
これからのたくさんの良書との出会いを楽しみにしています。