伊坂幸太郎

『オーデュボンの祈り』読むならここから!伊坂幸太郎のデビュー作!

読書好きならほとんどの人がこの人の小説を読んだことがあるのではないでしょうか。

デビュー作から独特の世界観でひきこまれること間違いなしです。

今回紹介するのは、伊坂幸太郎さんの『オーデュボンの祈り』です!

私はこの小説を読むのはほかの作品をかなり読んだあとだったのですが、最近のものとも遜色ないクオリティで驚きます。

これがデビュー作だというのだからすごいの一言です!

『オーデュボンの祈り』のあらすじ

5年間勤めていた会社を辞めた伊藤。

コンビニ強盗を試みるが警察に捕まり、パトカーで連行される中、逃走を試みる。

気づくと伊藤は荻島という見知らぬ島にたどり着いていた。

荻島は江戸時代から島外との接触を断っており、唯一島外に出ることができる轟という男が伊藤を荻島へ連れて来たのであった。

伊藤は島の住人である日比野に島の中を案内してもらうことになる。

島には、嘘しか言わない画家、殺人をしても島の法律として許される男、地面に耳をつけて何かを聞いている少女、そして、未来を知っているしゃべるカカシが存在した。

しゃべるカカシである優午から伊藤は荻島のことや、伊藤がこの島に来ることがわかっていたことなどを伝えられる。

 

翌日、伊藤は優午が殺されたことを知る。

優午は身体をばらばらにされ、頭が持ち去られていたのであった。

なぜ優午は殺されてしまったのか。

未来を知る優午が果たして自分の死を阻止することはできなかったのか。

そして、「この島には、大切なものが最初から欠けている」という謎の言い伝えの真相とは。

オーデュボンとは?

『オーデュボンの祈り』のタイトルにもなっているオーデュボン。

これは人名ということが本書の中からわかります。

アメリカの画家・鳥類研究家で、ジョン・ジェームズ・オーデュボン(1785年~1851年)といいます。

1838年に『アメリカの鳥類』という北アメリカの鳥類を写実的に描いた博物画集を完成させます。

これが、『オーデュボンの祈り』にも登場し、20世紀初頭に絶滅したリョコウバトのエピソードへとつながります。

『オーデュボンの祈り』の感想

伊坂幸太郎さんの作品だと、初めて読んだのが『終末のフール』。

その後、『死神の精度』『バイバイ、ブラックバード』『アイネクライネナハトムジーク』『チルドレン』『砂漠』『オー・ファーザー』『魔王』『PK』などを読み進めていたので、なんとなく最初の作品になかなか手が伸びす。

2021年に入って、やっぱり最初の作品も読まねばと思い立ち、ようやく『オーデュボンの祈り』を読み始めました。

読んでまず思ったのが、本当にこれがデビュー作なの?ということ。

それくらい伊坂さんのほかとは違った世界観が描かれていて、読む手が止まらず一日で一気に読んでしまいました。

登場人物もあらすじで書いたように変わった人物がどんどん出てきます。

未来を知っているしゃべるカカシなんて、どこからそんな発想が出てくるんでしょうね。

また、話の構成も内容もおもしろいのですが、考えさせられることも多く、ただ楽しいだけの小説でないのも好きなところです。

たとえば、

「正しいことが人を幸せにするとは限らない」

(伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』より)

こんな名言がいくつも散りばめられているんですね。

正しさとか、正義とかって好きな人は本当に好きですよね。

それを行使することが当然といった感じで。

そんなことを思い起こさせるセリフでした。

それ以外にも、

「問題の先延ばし、これは人間だけが持っている悪い性分なのかもしれない」

(伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』より)

「自分の中に欠如感があるから、外部から与えられるものを求めているんだ」

(伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』より)

これらも個人的に気に入っている名言です。

伊坂さんのほかの小説でも、「人間の最大の欠点の一つは……」といった人間を語るシーンが多くてとても考えさせられます。

まずは読んでおきたい『オーデュボンの祈り』

私はだいぶいろんな伊坂さんの小説を読んでから『オーデュボンの祈り』を手に取りました。

でも読んで思うのは、『オーデュボンの祈り』は最初に読んでおくべきだったなということです。

ほかの小説家でもそうですが、デビュー作ってその人の主張というか、想いが色濃く出ていることが多いように感じています。

伊坂さんも、「ああ、こういう人なんだな」というのを感じさせる作品になっています。

その小説家を知る上でも、デビュー作というのは特別なのだと思います。

ここから始まる他作品とのリンク

伊坂幸太郎さんといえば、書いた小説同士のつながりが特徴の一つです。

ある小説に登場した人物や事件が、ほかの小説にも登場したり、影響を与えていたり。

同じシリーズだったらふつうのことですけど、ぜんぜんそうじゃない作品間でもあるから読んでいてついにやりとしてしまいます。

『オーデュボンの祈り』であれば、主人公の伊藤は、『ラッシュライフ』にもその存在を匂わせるシーンがあります。

轟も『ゴールデンスランバー』に。

そして田中なんて、『重力ピエロ』『ゴールデンスランバー』『陽気なギャングが地球を回す』など、ほかにも登場する作品があります。

ですので、伊坂さんの小説を読むのであれば、出版順に読むのが一番かなと感じます。

おわりに

伊坂幸太郎さんのデビュー作である『オーデュボンの祈り』の感想でした。

感想を書いている現時点で、すでにデビューしてから20年以上がたっているのですが、まったく古いと感じさせない良書です。

伊坂さん独自の世界観って、しっかりと自分の価値感を持っているからこそ構築できるのかなと思いますね。

伊坂さんの作品で何から読むべきかといわれれば、まずは『オーデュボンの祈り』だと自信を持っていえる1冊でした。