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『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のあらすじと感想。

「パッと光って咲いた 花火を見ていた

きっとまだ 終わらない夏が

曖昧な心を 解かして繋いだ

この夜が 続いて欲しかった」

(DAOKO×米津玄師『打上花火』Uta-Netより)

DAOKO×米津玄師の歌う主題歌『打上花火』がすごく耳に残ります。

映画や小説を見てからこの曲を聞くと、情景が思い浮かんでぐっときます。

今回紹介するのは、岩井俊二さんの『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』です!

CMも主題歌もこれでもかっていうほど流れていたので存在は知っていたのですが、逆にそこまで宣伝されると見たくなくなるというのもあり、なかなか手が伸びなかった作品です。

私は映画からではなく、小説がたまたま職場にあったので読んでみて、そのあと映画版の方も視聴しました。

けっこう、「ん?」と疑問に思うところもありますが、話題にもなったので一度読んで(観て)みるのもいいかなと思います。

ここでは『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の簡単なあらすじや感想を紹介していきます。

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』あらすじ

舞台は海辺の町、茂下(もしも)町。

島田典道は、中学一年生。

8月1日は、夏休みではあったが、中学校の登校日のため典道は友人たちと学校へと向かう。

その道中、海辺でクラスメイトの及川なずなの姿を見る。

なずなは、きらきらと光る不思議な玉を手に持ち、太陽にかざしていた。

典道はそんななずなを気にしながらも学校へと向かう。

 

なずなが気になっている典道であったが、クラスメイトの安曇祐介から、なずなに告白したいとふざけ半分で打ち明けられ困惑をする。

その日、二人がプール掃除に行くとそこには水着姿のなずながいた。

三人は50メートルプールで競争をすることになり、順調に泳いでいた典道だったが、プールの中ですれ違うなずなに気を取られ、ターンする際に足をぶつけて祐介に追い抜かれてしまう。

プールから顔をあげた典道は、先にゴールした祐介が、なずなとなにか話をしているのを見て、告白したのだろうか何を話していたのかと気になってしまう。

クラスでは男子グループが打ち上げ花火は横から見ると丸いか平べったいかで議論になっていた。

なずなと祐介のことで上の空となっていた典道であったが、みんなで茂下灯台に見に行くことになった。

しかし、祐介から、プールで競争をした際に、ターンでぶつけた足を祐介の父親の病院で見てもらうように促され、祐介の家へと向かう。

そこには浴衣姿でスーツケースを持ったなずなが待っていた。

なずなは、プールで勝ったほうを花火大会に誘おうと考えていて、勝った祐介を誘ったのだが、祐介は約束を破って逃げたのであった。

なずなは、典道が勝つと思っていたと典道に伝え、病院をあとにしようとする。

そこでなずなの母親があらわれ、抵抗するなずなを無理矢理家に連れ戻そうとする。

泣き叫び典道に「助けて!」となずながいうが、結局、典道はその場でなにもすることができず、なずなは連れていかれてしまう。

怒りのあまり通りがかった祐介を殴りつける典道。

なずなが落としていった不思議な玉を握りしめ、「もし俺が勝っていたら」叫びながら投げつけると典道は光に包まれる。

気づけば典道は、プールの競争で自分が祐介に勝った世界にいたのだった。

 

繰り返される”もしも”の世界。

その中で少年はなにを得るのか。

小説はちょっと物足りないものがある

アニメ映画としての『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のあとに小説版が出版されました。

私は、【小説⇒アニメ映画】の順番で見たのですが、どうにも小説版の方はちょっと物足りない。

元々は実写として1993年にテレビドラマで、1995年に映画として放映され、2017年にアニメ映画となったものです。

だからなのか、映像として見る分にはそれなりにおもしろいのですが、小説にすると、セリフが多めで、それ以外の部分での表現が物足りない。

話としてはわかるんですよ。

初めて読んだので「こういうストーリーだったんだ!」と思いましたし。

ただもうちょっと情景とか心理描写とかに手を入れてもいいのかなというのが感想です。

映画のイメージを下手に崩さないってことを念頭に置くなら仕方がないのかなとも思いますが。

もしどちらか選ぶなら映画のほうがおすすめです!

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の感想

疑問や違和感が多くてあまり好みではなかった

小説も読んで映画も観ましたが、正直あまり自分好みではなかったかなと思います。

ストーリーはそこまで斬新ではないけれどいいと思うんですよ。

中学生の甘酸っぱい青春ものって、何歳になっても好きなものです。

アニメ映画のほうは映像もきれいでしたし、主題歌もとても耳に残って流れるとつい聞き入ってしまいますね。

ただどうにも疑問がたくさん残るので、読んでも観てもすっきりせず……。

典道となずなの距離感がちょっと変

たとえば、典道となずな。

なんとなくお互い気になっているんだろうなというのは、序盤の雰囲気からありました。

でも、すごく思い合っている二人って感じはなかったんですよね。

親しい友人とまでもまだいかないような。

なのに、なずなは母親に連れ去られそうになったときに、「助けて典道くん!」と叫ぶわけです。

もうここからしてそんなに近しかったのかなと。

いきなり「典道くん」って下で呼んでいるってところで、急な大接近にびっくりです。

映画なら二時間に詰め込まなければいけないので仕方がないのかもしれないのだけど、だとしたらもっと最初から距離の近い二人として描いてほしかったかなぁと。

もしもの世界でも、そんなに身を挺してさらっていこう、駆け落ちしようと思うような二人なのかとも。

中学生の感情が燃え上がったからといえば、まあわからなくもないですが、たとえ典道がそんな風に盛り上がっていてもなずなってそうなの?と感じます。

最後、すごくお互いを思っている雰囲気でしたが、なずなって典道が好きだからというよりも、逃げる場所を求めていただけのようにも感じてしまうんですよね。

本当に典道が好きだったのかな……と。

典道の友人・祐介の行動が変

典道と祐介のところもそうですね。

元の世界で祐介がなずなに告白しようと思うといっておきながら、花火大会の約束を破って典道を自宅に向かわせるってなんか変。

現実だったらそんなことってないのでは?

ふつうはなずなと花火大会行くだろうし。

ましてやすっぽかすにしても、なぜあえて典道を向かわせたのか。

確かに、祐介の告白発言は冗談っぽくもありましたが。

祐介の告白発言はなずなに行為のある典道をたきつける行為だったとも考えられます。

でも、だとしたら今度は、もしもの世界で典道となずなが一緒に花火大会に行ったことに対してあんなに当たり散らすだろうかとも。

このあたりもなんだかもやっとした場面です。

映像や音楽はとても素敵!

と、内容に疑問はあったのですが、アニメ映画としての映像はとてもきれいでした。

観ていて気持ちいいものでしたし、主題歌もとてもぴったりです。

映画を観る前からこの主題歌はすごくいいなと感じていたので、映画に合わせて流れると、一気に感情移入してしまうなと。

そういう部分では、とても優秀な作品だったのかと思います。

おわりに

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、最初にも書きましたが、話題になった作品なので一度観てみるのもいいかなと思います。

ただ、個人的にはそんなに好みではなかったです。

これが二時間ほどの映画ではなく、1クールくらい使ったアニメとして作られていたら、きっともっと感動できたのだろうなと感じました。

ストーリーや構成は良かったと思いますし、中学生という立場で、あらがえないものとの間で悩む姿も考えさせられますし。

もっと、関係を築く時間や、それを視聴者に感じさせる場面があったらよかったのかなと思いました。