おすすめ本まとめ

小説すばる新人賞受賞作のおすすめランキング!

先日から小説すばる新人賞の受賞作を読み進めています。

さすがに賞を取るだけあってどの作品も興味深くおもしろいと感じます。

それでもやはり好みや読みやすさといった違いはあるものです。

ここでは、私が読んだ小説すばる新人賞の受賞作品について、おすすめの順番に紹介していきたいと思います。

まだ受賞作の一部しか読めていないので、読むたびに少しずつ更新していければと思います。

第1位『櫓太鼓がきこえる』鈴村ふみ

個人的に新人賞関係なくかなりお気に入りの一冊となったのが鈴村ふみさんの『櫓太鼓がきこえる』です。

2020年の第33回小説すばる新人賞の受賞作になります。

相撲の力士の名前を呼びあげたり、土俵をほうきではいたりする『呼出』という仕事を題材とした小説です。

呼出として弱小相撲部屋に入門した17歳の篤。

家庭の事情によってなりゆきで呼出となったので、最初はどこか義務的に仕事をしています。

でも、同じ部屋の先輩力士や、呼出仲間の姿を見て、自分のあり方を見つめ直し、呼出としても、一人の人間としても成長していく姿がとても読んでいて暖かいものを感じます。

私自身の仕事に対する気持ちや、家族との関係もちょっと考えさせられます。

読みながら、

「あの篤がここまで成長するなんて……」

と読者の立場でありながら勝手に感動していました。

第2位『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ

人気作家の一人である朝井リョウさんはこの小説でデビューしました。

2009年の第22回小説すばる新人賞の受賞作になります。

これはかなり有名な小説ではないかなと思います。

書店にもかなり並んでいましたし、映画にもなりましたね。

朝井リョウさん自身がその後もおもしろい小説を出し続けているので、それもあって受賞作の中でも知名度はかなり高いと思います。

とある高校生の桐島くんが部活を辞めるらしい。

そのことがほかの学生たちにどう影響していくのかというものを描いた作品になります。

実際に起きたことって、桐島くんが部活を辞めるらしいってことだけで、何か特別なことや事件が起きているわけではないんですよね。

でも、その人間模様や心理描写がうまくてつい惹きこまれてしまいます。

単純に好みの問題で第2位としていますが、小説としてはこれが一番うまいかなと感じます。

第3位『ラメルノエリキサ』渡辺優

次に私が好きだったのは、渡辺優さんの『ラメルノエリキサ』です。

2015年の第28回小説すばる新人賞の受賞作です。

『ラメルノエリキサ』は主人公の小峰りな。

自分が負った傷(身体的も精神的も含めて)に対しては復讐をしなければ済まない復讐癖を持つ女子高生。

この独特の設定が、

「この先どうなるんだろう……」

と興味を惹かせてくれて、一気に最後まで読んでしまいました。

設定は独特でしたが、でも誰もが内面に持っている部分でもあるんですよね。

ただ、世間体というか、社会で生きていくためにぐっとこらえている部分を前面に出してくれているのがなんともすっきりとします。

人間のエゴってあまり良く思われないものだけど、エゴがあって当たり前。

そことの向き合い方、付き合い方が大事ですね。

『星に願いを、そして手を。』青羽悠

第29回小説すばる新人賞受賞作です。

とある町の図書館とプラネタリウムを併設した科学館。

そこに集う4人の子どもたち。

科学館の館長と一緒に、宇宙や星の話をして、宇宙に夢をはせて成長していくが、高校生のころから徐々に疎遠になっていく。

ある日、館長が亡くなったことで4人は科学館で再開する……。

そこから物語が展開していくのですが、夢をテーマに大人になって読んでも考えさせられるいい小説です。

著者の青羽さんはこれを16歳のときに書いたというから驚きです。

自分の16歳のときって……と思わずにはいられません。

『名も無き世界のエンドロール』行成薫

第25回(2012年)小説すばる新人賞受賞作です。

2020年には続編の『彩無き世界のノスタルジア』が刊行され、2021年には、『名も無き世界のエンドロール』が映画化されています。

最初に読んだときは、正直、

「時系列がぴょんぴょんして読みづらい!」

と思ったのですが、全部読み終えてみると、見事な順番に並べられていて、なんでもなかったところもしっかり伏線回収されていておもしろかったです。

ほかの作品もたくさん書いている作家さんなのでそちらにも手を伸ばしてみたいです。

『赤と白』櫛木理宇

第25回(2012年)小説すばる新人賞受賞作品です。

上記した『名も無き世界のエンドロール』とダブル受賞だったんですね。

新潟という豪雪地帯に住む女子高生たちを描いた物語です。

家庭に問題を抱え、閉塞感の中で懸命に生きようとする姿に読んでいて苦しくもなります。

『八月の青い蝶』周防柳

第26回(2013年)小説すばる新人賞受賞作です。

著者の周防柳さんが1964年生まれと私よりも20歳上なのですが、計算すると49歳に新人賞を取りデビューしているんですね。

デビューするのに年齢は関係ないと勇気をいただきます。

作品の方は、戦争を題材としたものでかなり資料を読み込んで書かれた印象が強いです。

戦争やその悲惨さを知るという点でもよい小説だったと感じます。

『天龍院亜希子の日記』安壇美緒

第30回小説すばる新人賞受賞作です。

タイトルから、

「どんな小説かなー」

と想像してみたのですが、まったく予想を外していました。

主人公は27歳でブラック企業に勤める田町くん。

少し疎遠になりつつありますが彼女もいます。

生きていく中で、その場の空気とか惰性に流されることって誰にでもあります。

そうした生き方って何か不満を持ちながらも楽なんですよね。

田町くん自体はそんなに好感が持てるかというと、「う~ん」と悩むところ。

でも彼の思考には共感する部分もあります。

『プリズムの夏』関口尚

少し遡って、2002年の第15回小説すばる新人賞の受賞作です。

植野と今井という二人の高校三年生を中心とした物語。

年上の女性に対するあこがれ。

家族との葛藤。

自分の夢と現実。

17歳という時代は、誰しもが何かしらに悩みもがいていたと思います。

熱く若いエネルギーを、大人になってからでは出せない何かを感じさせてくれる小説です。

『サラの柔らかな香車』橋本長道

第24回小説すばる新人賞受賞作品です。

これもまた珍しい将棋の世界、それも女流棋士を描いたものになります。

著者の橋本長道さん自身が元奨励会員で1級まで上り詰めた実力者。

だからこそかける小説!という印象です。

説明的な部分も多くてさらっと読みたい人には向きませんが、じっくり読めばそのおもしろさが感じられます。

天才とはなにか?

そんなことを考えさせられる一冊です。

『砂漠の青がとける夜』中村理聖

第27回小説すばる新人賞受賞作。

東京で雑誌編集の仕事をしていた美月は、姉のカフェを手伝うため、退職して京都へ。

カフェで働きながら思うのは、東京での元不倫相手のことや、雑誌で飲食店を取材していたときの、雑誌のために使う言葉への違和感。

いろんなことが美月の中で消化しきれずに残っていた。

そんなときに出会った男子中学生。

その出会いが美月に変化をもたらしてくれる。

内容としてはどことなくふわふわとしていて、読書をふだんあまりしない人にはつかみどころがなく感じるかもしれません。

でも、文章がとてもきれい。

心理描写もそうですが、丁寧で繊細な印象をうけます。

自分だったらこんな風には書けないなと感じてしまいます。

『闇夜の底で踊れ』増島拓哉

第31回(2018年)小説すばる新人賞受賞作です。

元暴力団員の伊達。

パチンコ依存症で、日雇いバイトをしながら貯金を切り崩して生活しています。

ある日、ソープランドで出会った女性に入れ込み、借金まみれに。

昔の兄貴分である山本にその窮地を救われ、生活を立て直すどころか、どんどん深みにはまっていきます。

どんな人がこれ書いたんだろうって思ったら、全然そうした世界に縁がなさそうな人が著者なんですね。

しかも19歳のときに書いたというから驚きです。

ふだん読まないジャンルだったのでこれはこれで新鮮でした。

『しゃもぬまの島』上畠菜緒

第32回小説すばる新人賞受賞作です。

とある島にはしゃもぬまという神聖な生き物がいます。

しゃもぬまは死期が近づくと誰か一人天国に連れて行ってくれると言われています。

だから人がなくなって葬式になると、しゃもぬまを連れてきたり、しゃもぬまが家を訪れると、その家の人を誰か一人死なせるという慣習があります。

島を離れ港町で働く祐のもとにしゃもぬまが訪れることで物語が始まります。

 

小説としては正直私の好みではなかったです。

でも、実在するかのようなしゃもぬまの描写が見事。

過去、現在、夢の世界と場面が切り替わるのに、ごちゃまぜにならずわかりやすく受け止めれる点ですごい。

さすが新人賞を取るだけのことはあるなと思わされます。

おわりに

小説すばる新人賞といえば、小説家デビューを目指す人たちが応募する特に有名な新人賞です。

毎年、1000通以上の応募があり、狭き門を勝ち上がった人だけが自分の小説を本という形で出版することができます。

そんな小説たちだから、好き嫌いの好みはあれど、どれもやはりおもしろいもの。

そんな中でも特に気に入ったものから順番に紹介してきました。

私自身は、わかりやすい小説が好きなので、『櫓太鼓がきこえる』はとても良かったです。

題材こそ個性的でしたが、主人公が悩みや葛藤を突き抜けて成長していくのは、王道といえば王道。

でも、そこにはほかの人にはまねできない魅力が詰め込まれていて読んだ後の満足感たるや。

これからもちょっとずつほかの受賞作も読み進めて紹介できればと思います。