青春を描いた小説というと、まず住野よるさんの名前が思い浮かびます。
住野よるさんは『君の膵臓をたべたい』を始め、人気作をいくつも世に送り出している小説家です!
その中でも特に私が個人的に好きなおすすめの小説を5つ紹介します。
少し癖のある作品が多いですが、いずれも考えさせられるものがあって、ストーリーも楽しめつつ、自分の人生を考えさせられます。
Contents
『君の膵臓をたべたい』
なんといっても一番はこれ!
住野よるさんのデビュー作にして、300万部を突破した名作です!
300万部って小説としてはとんでもない数字なんですよね。
出版不況うんぬんで、初版1万部にいかない小説も多いのに。
2016年の本屋大賞にノミネートされ、2017年に実写映画化され、「キミスイ」と呼ばれて愛されています。
劇場アニメ化や漫画化もされていますね。
主人公は高校生の僕。
病院で「共病文庫」という文庫本を拾います。
それは、クラスの人気者・山内桜良の秘密の日記帳で、このときから彼女と秘密を共有する仲として、行動を共にするようになっていきます。
タイトルの「君の膵臓をたべたい」という言葉は作中に実際に出てくるんですが、場面によってその意味合いが変わっていってすごくぐっときます。
住野よるさんの作品を読むなら、まず最初に手に取ってほしい作品です。
『恋とかそれとあと全部』
2023年に発売した作品です。
人の死というものについてすごく考えさせられます。
これもすごく好き。
高校生の男女が、最近家族が自殺した親戚のもとに話を聞かせてもらいにいくというものです。
主人公の男の子は、女の子に片思いをしていて、そんな子と内容はともあれ、二人で旅行に行くというちょっとドキドキする展開。
でも、そんな甘酸っぱさだけでは終わらせてくれないのが住野よるさんだなと感じます。
そもそもシチュエーションがおかしいんですよね。
自殺した話を聞きに行くって、なかなかハートが強くないとできない。
そこに込められた気持ちも読んでいくと伝わってきてすごくよい。
『か「」く「」し「」ご「」と「』
住野よるさんの作品で一番、純粋に、
「青春だなー」
と思わせてくれるのがこの小説です。
『か「」く「」し「」ご「」と「』では、高校生の男女の甘酸っぱい青春が描かれています。
が、それだけではない。
登場人物は全員、他人とは違ったちょっとした能力を持っています。
それによって揺れ動いていく人間関係もまた見どころの一つ。
住野よるさんの作品って、ちょっとテーマが重たいイメージだったんですが、かなり楽しく読める一冊だなって思います。
『麦本三歩の好きなもの』
住野よるさんの連作短編集です。
主人公は大学図書館に勤める麦本三歩。
かなりおっちょこちょいで、抜けたところがあって、思い込んだら突っ走るところもあって、見ていて面白いけどなかなか大変な生き方をしている子です。
何か特別な事件が起きるわけではなく、三歩の日常を描いたものですが、それだけでおもしろすぎます。
自分の「好き」を大切にする三歩。
ふと自分自身の好きに正直になりたいなと感じさせてくれます。
『青くて痛くて脆い』
大学の「モアイ」という名前のサークルを巡る小説です。
ちょうど子供から大人へと切り替わる時期。
就職活動もあれば、自分の将来に思いを馳せる年代ですね。
理想と現実を目の当たりにしながら、傷つき悩み、そこから成長していく。
最初に読んだときは、あまり主人公には共感できなくて、すごくもやっとした読後感でしたが、でも、思い返す程に考えさせられて再読していた一冊です。
タイトルどおり、『青くて痛くて脆い』んですよ。
それが読んでいてなかなか苦しい。
追加で6作目、『腹を割ったら血が出るだけさ』
おすすめ5選のつもりがもう一つ紹介したくなったので追加で6作品目。
『腹を割ったら血が出るだけさ』です。
もうね、これはタイトルだけで意味深ですよね。
人間って全部正直に自分をさらけ出せる人ってそんなにいないものです。
誰だって他人の目は気になるし、どこか飾った姿でいることの方が多いもの。
この小説の主人公は、みんなから”愛されたい”という思いがとても強い女子高生。
行動原理すべてがこの”愛されたい”で、それは家族や友人だけでなくて、すれ違う見知らぬ人にも適用されるから大変。
そして、本人はそんな自分が嫌だけどやめられない。
程度の差はあっても、そんな感覚を抱くことってあるような気がします。
だから、自分を見つめるという点ではすごくよかった一冊です。
おわりに
住野よるさんのおすすめ小説5選+αでした!
正直、5選どころか全部おもしろくて好きな作家さんです。
でも、いきなり全部は読めないので気になったものがあれば、そこから手に取ってもらえたらと思います。
最初に読む一冊としては、デビュー作の『君の膵臓をたべたい』かな。
読みやすさでいえば、『か「」く「」し「」ご「」と「』をおすすめします。
個人的に一番好きなのは、『恋とそれとあと全部』でした。