小説を書く

新人賞の傾向と対策は必要ない!でも、受賞作は読んでおこうの理由。

新人賞に傾向と対策を調べることは必要か。

この命題ってけっこう意見が分かれると思うんですよね。

大学入試なんかだと調べます。

過去問をチェックして、どんな問題が出るのかを調べて勉強。

それが効率的だし、実際に効果もあがっている。

では小説の場合どうなのか。

結論からいえば、そんなこと必要なし!

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そもそも、新人賞に傾向と対策なんてあるの?

小説の新人賞に傾向と対策なんてあるのでしょうか。

もし、あるのであれば、みんな受賞しちゃうと思うんですよね。

確かに傾向というものは存在すると思います。

たとえば、ジャンル不問のエンタメ系新人賞だと、『小説すばる新人賞』、『小説現代長編新人賞』、『小説野生時代新人賞』、『ポプラ社小説新人賞』などがありますね。

でも、同じような募集要項だけど、受賞した作品ってやっぱり雰囲気は違います。

『小説現代長編新人賞』って、これまでの受賞作品を見ていくと、歴史物がかなり多いんですよ。

ここ最近は、『レペゼン母』、『檸檬先生』、『晴れ、時々くらげを呼ぶ』と、現代を舞台にしたものが受賞していますけど。

『レペゼン母』は、田舎の梅農家のおばちゃんがラップをする話で、『檸檬先生』と『晴れ、時々くらげを呼ぶ』は学生が出てくる話です。

でも、『小説すばる新人賞』だと、第32回(2019年)に佐藤雫さんの『言の葉は、残りて』で鎌倉時代、第26回(2013年)に周防柳さんの『八月の青い蝶』で戦中と現代を結び付けた話があったくらいです。

そうなると、

「歴史物だったら『小説現代長編新人賞』がいいのかなー」

くらいには感じると思います。

また、『小説すばる新人賞』って、純文学っぽいエンタメ作品もけっこう受賞しているんですよね。

でも、わかるのはそれくらいです。

どこに出したって、きちんと書けていておもしろいものが受賞します。

傾向と対策を考えるよりも、いい作品を一文字でも書くことです。

メインは、新人賞なのか、自分の作品なのか

”傾向と対策を考える”

そういう人は、きっと特定の希望する新人賞があるのかもしれません。

それはそれでいいと思うんですよ。

私も目指すならこの新人賞がいいというものがあります。

好きな作家や作品と一緒に自分の本を並べたい人もいるでしょうし、その出版社が出す単行本の装丁が好きだという場合もあります。

私は集英社の単行本が好きなんですよね。

でも、だからといって、その新人賞に寄せて、小説を書こうという気持ちはありません。

それは無理だから。

あくまで書くのは、自分がおもしろいと思うものだし、自分が書きたいと思えるものを書いています。

そうでなければ、長い時間をかけて受賞するかもわからない小説に情熱を注ぎこむのって難しいです。

もし、特定の新人賞でなければだめ!というのでなければ、まずはしっかりと小説を書き上げて、その作品に合った賞を探すのはありかもしれません。

ただし、応募する新人賞の受賞作は読むことには意味がある。

受賞作と被らないために

ただし、応募する新人賞の受賞作はいくつか読んだがいいと思います。

特にここ最近のものは、です。

なぜかというと、自分が書いた作品と内容が似通っていると、ほぼ通らないからです。

選考委員って、そこまで劇的に人が変わらないんですよね。

編集部だって、過去に自分たちのところから、受賞させて出た作品はある程度把握しているはずです。

朝井リョウさんの『桐島、部活やめるってよ』は、『小説すばる新人賞』を受賞した作品です。

とてもいい小説でしたが、この本に感銘を受けて、同じように高校生の群像劇を書いて応募しても、

「似たような作品が来たな」

と思われて終わりそうです。

第33回(2020年)の受賞は、鈴村ふみさんの『櫓太鼓がきこえる』でした。

これは、大相撲の”呼び出し”の見習いが主人公で、あまり知られていない世界が舞台となっていて新鮮でおもしろかったです。

でも、また同じような題材で書いた人が応募しても、受賞までのハードルは上がっていると思います。

しばらくは大相撲関係の小説は受賞しなさそうだなって思いませんか。

必要な小説のレベルがわかる

また、新人賞受賞作を読むことのメリット。

「これくらいのレベルの文章や内容なら、受賞する確率はあるんだ」

ということがわかります。

もちろん、受賞した年の作品によってかなり変わってきます。

本当にアマチュアが書いたのかって思うくらい、洗練された文章のときもあれば、わかりやすいけど、全然凝ったところのない文章のときも。

読む前は、新人賞を受賞するくらいだから、ものすごい文章を書かないと受賞できないのだろうと思っていましたが、意外とそうでもないのだとわかります。

文章が綺麗で美しいに越したことはありません。

ウェットにとんで、読者を楽しませられるといいですよね。

でも、そこだけで判断されているわけではないと気づけます。

文章はふつうだけど、展開がとにかく面白い作品があります。

心理描写が見事で表現も美しい作品があります。

設定が斬新で最後までドキドキさせられる作品があります。

おわりに

最初に言ったように、新人賞の傾向と対策は必要ありません。

それを考えるよりも、あなたの小説をどんどん書いていきましょう。

書けば書くだけうまくなる。

それが新人賞を受賞するために一番必要なことです。