突然の大切な人の訃報。
それを人はどう受け止めていくことができるのか。
その人の行動をなぞって、知ろうとする。
そんな方法もあるんだなと。
今回読んだのは、額賀澪さんの『世界の美しさを思い知れ』です!
YouTubeの『ほんタメ!』で齋藤明里さんが紹介していた1冊です。
表紙がすごく独特ですよね。
どくろにきれいな花が飾ってある。
でも、これはちゃんとしたものなんですね。
世界には私たちが知らないものが溢れている。
それを知っていく旅というのも一つ大事なことだなと感じます。
ここでは、『世界の美しさを思い知れ』のあらすじや感想を紹介していきます。
Contents
『世界の美しさを思い知れ』のあらすじ
蓮見貴斗と尚斗は一卵性双生児。
弟の尚斗は俳優であり、若手の中でも片手で数えられるくらいに人気が出ていた。
しかし、ある日、マンションのドアで首を吊って姿で発見される。
突然の弟の訃報に動揺する貴斗。
葬儀を終えて数日後に尚斗のスマホが見つかる。
顔認証でロックされていたが、試してみると貴斗はスマホを開くことができてしまった。
スマホの未読メールには北海道・礼文島行きの航空券が届いており驚く。
自殺したのに、どうして旅行に行こうとしたのか。
その答えを知るために貴斗は旅に立る。
弟が何を思って、何を見て生きてきたのか。
生きることをもう一度、問い直す。
もし突然、大切な人がいなくなったら
『世界の美しさを思い知れ』を読みながら、
「自分が同じ立場だったらどう感じるだろうか」
と自身に問いかけた読者は多いと思います。
まあ自分は双子じゃないですけど、それでも大切な人はいます。
その人が突然、いなくなってしまったら。
簡単には受け止めることってできないですよね。
最近読んだ町田そのこさんの『宙ごはん』でも、人の死に対する受け止め方って千差万別でした。
自分だったらしばらくはなにもできずにぼんやりとして過ごす気がします。
それか猛烈に仕事に取り組んでるかも。
いなくなってしまった現実を直視しない方法を選んでしまいそうです。
うちは家族もみんな健康だし、親もまだまだ元気そのもの。
それでも、突然の別れって、予測できないから突然なんですよね。
そんな覚悟なんて持っている人の方が少ない。
そう考えると、いま一緒にいることができることって、幸せで大事にしていかなくてはいけない。
ついつい、ゲームしたり、スマホいじったりしちゃうけど、その瞬間にも、一緒にいることのできる時間がどんどん減っていっているんですね。
世界は美しいもの
自分の世界って案外狭いものなんですよね。
小学生、中学生くらいだと、学校と部活と家庭ぐらいのもの。
高校生になってちょっと視野が広くなってきて、電車に乗ってどっか行ったりするかな。
大学生で新しい経験をして、社会人になってまた新しい世界に触れていって。
でも、そのうち結婚して子供が生まれて。
家庭というものを持つと、限られた中でしか自分って生きていないなって思います。
もっとも多くのことを感じて影響を受けていた大学生のころでさえ知らないことが山ほどあり、小さなことでくよくよしたものです。
『世界の美しさを思い知れ』を読んでいると、
「もっと遠くを見てみようよ」
という気持ちにさせられます。
自分が知らなかったものに触れてみようって。
昔、一人でタイに旅行に行ったことがありました。
あれは衝撃だった。
日本とはまったく違う世界。
それだけでも自分がいかに小さい生き物だったのかということを痛感させられました。
スキューバダイビングも私に多くのことを教えてくれたなって。
海が見せてくれるものって、ふつうに生きていたら知らないことばかりなんですよね。
一気に解放されたことを今でも覚えています。
この世って、汚いことも苦しいことも山ほどあるし、そちらばかりが目に付くけど、ちょっと見るものを変えるといろんな美しいものがある。
それを知ることができると、人生ってもっともっと輝いて見えるんだろうな。
おわりに
生きること、死ぬこと。
ふつうに生きていればあまり意識して考えないものです。
『世界の美しさを思い知れ』は、そんな大切だけど目に映っていなかったものを教えてくれるなと感じます。
2021年12月に出た本書ですが、テーマ性もあり、映像にしたらきっと本当に世界の美しさを教えてくれそう。
現段階ではそうした話はないみたいですが、いつか映画とか、映像化されることをとても期待しています。