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池袋のもう一つの姿。石田衣良『池袋ウエストゲートパーク』のあらすじと感想。

初めてこの作品を知ったのはドラマ化されたときでした。

2000年にテレビで流れ、かなりの人気を博し、窪塚洋介の演じたタカシがすごく印象的でした。

ということで、今回読んだのは、石田衣良さんの『池袋ウエストゲートパーク』です!

池袋を舞台とした若者たちの物語。

現時点でシリーズ十七作品という人気シリーズの一つとなっています。

ここでは『池袋ウエストゲートパーク』のあらすじや感想を紹介していきます。

Contents

『池袋ウエストゲートパーク』のあらすじ

主人公であるマコトは工業高校卒業後、友人と遊び歩いたり、母親が営む池袋の青果店を手伝って生活をしていた。

青果店は、飲み帰りの酔っ払いにお土産として高い果物を売りつけるために、遅い時間まで開けてある。

マコトはいつものように大学生になったマサと遊んでいると、万引きをしている男性を見つけた。

喫茶店に連れ込みカツアゲをしようとするが、その妙なノリがおもしろくあやふやなままその場は別れた。

それがデザイン学校生のシュンであった。

それ以降、マコトとマサとシュンは、三人でいることが多くなり、いつも池袋西口公園でたむろっていた。

ある日、いつものように三人で公園にいると、ギャルのヒカル、リカに声をかけられ、一緒に遊ぶようになる。

そんなときに、池袋のラブホテルで女子高生絞殺未遂事件が二件発生する。

マコトになにかを相談しようとするリカ。

しかし、タイミングが悪く、話を聞くことができなかった。

それからしばらくしてリカが絞殺されたとの知らせがマコトのもとに入る。

マコトはリカの葬儀のあと、ヒカルから、リカが「センセイ」と呼ぶあやしい男とつきあっていたと打ち明けられる。

マコトは池袋の裏側に絶大な影響力を持つGボーイズのキング・タカシに連絡。

池袋にシュンが描いた「センセイ」の似顔絵が配られ、Gボーイズたちによるストラングラー(首絞め魔)大捜索が始まった。

タイトルはかっこいいからこうなった?

『池袋ウエストゲートパーク』はタイトルのとおり、池袋西口公園が舞台となっています。

池袋ウエストゲートパークって言葉は、小説がドラマ化されアニメ化され、かなり耳にした人もいるのではないかなと思いますが、実際の呼び名ではないんですよね。

じゃあなんでこういうタイトルになったのかというと、石田衣良さん本人がYouTubeで話していました。

舞台を池袋西口公園にするということはかなり早く決まったみたいでした。

でも、小説のタイトルが池袋西口公園ではどうも締まらない。

じゃあ英語にしてみたらどうだろうか、という割と簡単な発想だったみたいです。

しかしこれが大正解!

ぱっと聞いて興味を引かれるタイトルですよね。

こういうセンスがすごいんだなって思います。

IWGPと略されますけど、それもまたかっこいい。

『池袋ウエストゲートパーク』以降に、木更津キャッツアイみたいな地名+英語というタイトルが増えたとも話していました。

ちなみに、中国語に翻訳された『池袋ウエストゲートパーク』はそのまま『池袋西口公園』となってしまったみたいです。

最初に違和感を覚える文章が意外とクセになる

『池袋ウエストゲートパーク』って、初めて読んだときに、

「変な文章の書き方」

と感じました。

主人公であるマコトの一人称なのですが、どうにも断片的な言葉が出てきたり、マコト自身があいまいなままにしてたりすることが多々あって。

石田衣良さんはほかの小説だと、もっといろんな表現を使って描いている方なので、あえてこういう書き方をしているのだろうと思いながら読んでいました。

ずっとその調子の文章を読んでいると、これが不思議。

なんだかだんだんとしっくりくるんですね。

『池袋ウエストゲートパーク』の独特の世界にはこの表現でいいんだという気持ちになっていきます。

池袋ってこんなひどい街ではないよ?

『池袋ウエストゲートパーク』を読んで、

「池袋って危ない街だ!」

と感じる人もいると思います。

いやいや、実際そんなことはありません。

もちろん、深夜に1人で訪れるには危険な場所ってあります。

でも、日中の池袋はいい街です。

池袋西口公園も、いろんなイベントをしていて楽しい明るく楽しいところです。

小説のように、暴力と薬と性が蔓延している……なんてことはないんです。

まあ全部が全部まったくないわけではない。

私もドラマを観た頃は、池袋って行ったことがなかったので、絶対こんなところ行かない!なんて思っていました。

大学生になって初めて池袋を訪れた時もけっこうどきどき。

でも、何度も行くうちにぜんぜんイメージと違っていたことに気づきました。

それくらいこの小説って影響力があったんだなと思います。

一時期、カラーギャングも増加したかも

私は仕事柄、少年非行関係の書籍も読むし、そうした情報がかなり入ってきます。

『池袋ウエストゲートパーク』が世に出て、ドラマ化されて……。

どうもそのあとって、割とカラーギャングが目立っていたように思います。

Gボーイズといえば、青色の目印が印象的でしたね。

元々カラーギャング自体はそれ以前からそれなりあったのですが、それを真似してなのか、かなり増えた印象でした。

ふつうの暴走族だった人たちも、自分たちの目印を用意して。

こういう色を統一するとか、おそろいのものを持つっていうのは、仲間意識が生まれていいものです。

それは非行少年たちも同じで、特に彼らは一般の人よりも仲間意識が強い気がするのでよりハマったんじゃないかな。

「黒と青が抗争を起こした」

なんていえば、あのグループとあのグループだなと思いつくくらいでした。

とはいえ、いまはカラーギャングってだいぶいなくなりましたね。

暴走族自体も、規模が小さくなったり解散したりするケースが多く。

それも時代の流れなのかなと感じます。

おわりに

『池袋ウエストゲートパーク』は、石田衣良さんの代表作の一つであり、社会にもかなり大きな影響を与えた作品でした。

ふつうに生活をしていれば触れることもない世界。

でもこんな人たちもいるのだと知るのもとてもおもしろいです。

しかし、読もう読もうと思っているうちにすごくたくさんシリーズ出ていたんですね。

一年かけて少しずつ読み進めていこうと思います。