水産高校って聞くと、
「海が近くにあるんだろうなー」
っていう印象を持つのがふつう。
でもそれだけじゃないんですね。
本作の舞台は海のない栃木県の水産高校!
今回読んだのは、村崎なぎこさんの『ナカスイ!海なし県の水産高校』です!
舞台は栃木県にある水産高校。
海がないのになにをするのって思ったら、川があるじゃないか。
用水路にいけば、ザリガニだってしじみだってカニだっている!
私達の知らない水産高校の姿が描かれています。
ここでは、『ナカスイ!海なし県の水産高校』のあらすじや感想を紹介していきます。
Contents
『ナカスイ!海なし県の水産高校』のあらすじ
栃木県宇都宮市出身の鈴木さくらは、栃木県立那珂川水産高等学校に進学した。
那珂川高校は、内陸県にある日本唯一の水産高校である。
海がないけど川はある!
淡水魚専門の水産高校、通称“ナカスイ”。
さくらは、見た目も身長も成績もみんなふつう。
どこをとっても平均値で、周囲からも”ふつう”だと言われ続けてきた。
「もうふつうなんて嫌だ!」
ナカスイのような一風変わった高校に入学すればふつうから抜け出せると思ったが、そんなに甘くはなかった。
青春を謳歌するはずが、周りにいるのは濃い人たちばかり。
鮎に恋する担任、魚ファーストの小百合、アニオタの地元ギャルかさね、釣りバカの渡辺。
授業にしても、魚に興味がなかったさくらにはわからないことだらけ。
さらに、水産実習では溺れかけ、追い打ちをかけるように、少子化で学校は存続の危機という話まで。
そんなとき、1枚のポスターがさくらの目に止まった。
「求ム! 地元食材&オリジナルレシピ&仲間 一緒に”ご当地おいしい!甲子園”を目指そう!」
「これだ!」
ナカスイの未来と青春をかけて、さくらは大勝負に挑む!
著者の村崎なぎこって実は有名な人
著者の村崎なぎこさんは、1971年、栃木県生まれの方です。
小説家としては聞いたことなかったのですが、本の著者紹介を見ると、実は有名な方だったんですね。
2004年の開設以来毎日更新を続ける食べ歩きブログ「47都道府県 1000円グルメの旅」が、22年「ライブドアブログ OF THE YEAR ベストグルメブロガー賞」を受賞。ライター活動の傍ら、19年に結婚したトマト農家の夫を手伝う。30年以上の公募歴を経て、21年、『百年厨房』で第三回日本おいしい小説大賞を受賞し、翌年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
(村崎なぎこ『ナカスイ!海なし県の水産高校』の著者紹介より)
実際にブログをのぞいてみると、全国各地を旅したときの様子を、食べ物を交えて紹介してくれています。
我が地元も紹介されていてちょっと懐かしい気持ちに。
旅行するときにおいしいものを探すなら、参考にしてみるのもかなりありですね。
それもあってか、とにかく『ナカスイ!海なし県の水産高校』でも、食べ物がたくさん登場するんですよ。
章のタイトルも食べ物ですもんね。
読んでいると、地元の特産品を使ったものを食べたくなります。
青春×ふつうじゃない日常
中学生・高校生の青春を描いた小説ってたくさんあります。
ただ青春を描いただけだと、
「まあよくある展開だよなー」
で終わってしまいますが、青春と掛け合わせられたものによっては、こんなにも世界が違うってのを実感する小説でした。
本作は、海なし県の水産高校ですから、青春を謳歌する高校生のはずが、どこにいっても魚や水産物の話がばしばし出てくる。
ふつうの高校生ならこんな体験しないだろってことだらけ。
それを読んでいるだけでもおもしろいのに、しっかりと青春が組み込まれていきます。
同級生とのぶつかり合いや葛藤からの団結。
目標に向かって進んでいく姿。
一人の人間としての成長。
青春ものってどうしてこんなに楽しいんでしょうね。
展開自体は王道なのに、付随するものが違うからおもしろい。
一癖も二癖もある登場人物たちとのぶつかり合いもまた魅力の一つでした。
おわりに
おもしろいだけでなく、本当にお腹が空く小説でした。
実際に、栃木県には水産高校があり、『ご当地!絶品うまいもん甲子園』という大会もあるんですよね。
高校生たちが地元の食材を使って絶品グルメで競い合う。
いやー青春ですね。
そして紹介される食べ物がまたおいしそう。
食べ物系の小説としても推せる一冊でした。