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美人でもこんな上司はいや!七尾与史『ドS刑事』あらすじと感想。

世の中に刑事ものの小説は数多くあります。

その中でもこの作品は、なかなかに個性的なキャラが魅力的です。

今回読んだのは、七尾与史さんの『ドS刑事』です!

もうタイトルで、

「ちょっと読んでみたい!」

と思わされて手に取ってしまいました。

決してMなわけではないですが、魅力的なキャラクターに一気読みしてしまいました。

ここでは、『ドS刑事』のあらすじや感想を紹介していきます。

『ドS刑事』のあらすじ

昼下がりの公園で、凜子は三歳になる息子・遊真がすべり台で遊んでいるのを見ていた。

凛子は、遠くにある林の中から光が差し込んでいるのに気づき、視線を向けると、女性が手鏡を使ってすべり台に光を当てているようだった。

その時、遊真が光に目をくらませて、すべり台から転落してしまう。

すぐに救急車を呼んだものの、数分で到着するはずの救急車が住宅街で立ち往生してなかなか来ない。

間に合ったかもしれないのに、救急車を待つ間に、遊真は命を落としてしまう。

 

一方、浜松市内で男女が生きたまま焼き殺されるという放火殺人事件が起きていた。

若手刑事の代官山は、静岡県警の美人刑事・黒井マヤとコンビを組むことになる。

マヤは警察庁次官の娘であり、次官はマヤを溺愛していて、娘に批判的な人間を僻地に飛ばすことをいとわない。

戦々恐々としながら、マヤとコンビを組む代官山であったが、マヤからは、「代官様」と呼ばれ、その突拍子のない言動に右往左往することになる。

マヤは、犯人が焼き殺すことに執着していて、この事件はまだ続くというマヤの推理どおりに、第2第3の事件が発生する。

被害者の接点などを捜す警察だったが、なかなか手がかりが得られない。

その中で代官山は、被害者がそれぞれにクレームや不満をもっており、それを他の相手にぶちまけていたことに気づく。

「悪意のバトン」を渡された相手が次の被害者になっている。

そのことに気付いたが、ターゲットを捜し出す前に次々と事件は続いていってしまう。

ぶっ飛んだ黒いマヤ!

『ドS刑事』の一番の魅力はやはり個性的な登場人物。

その中でも、黒井マヤはぶっ飛んでいておもしろく魅力的。

日本人形を思わせる切れ長の瞳に、通った鼻筋、艶やかな漆黒の長い髪と、白磁を思わせる滑らかな肌の刑事。

これだけ聞くと、すごく美人で素敵な女性を思い浮かべるが、それで終わらないのがこの作品です。

タイトルどおり、この黒井マヤがドSなんです。

誰もが感動するような父子の姿を、茶番と言い、その頭を警察手帳で殴打する。

「バッカじゃないの」が口癖で、コンビを組む代官山は終始罵倒され続ける。

それだけじゃなく、遺体が大好きで、殺人現場に行くと、頬を紅潮させる。

事件の真相がわかっても、遺体が見たいがために解決しようとしない。

もうとんでもない刑事ですよね。

ユーモアミステリーである

ミステリー小説や、刑事ものの小説って、どちらかというと、真剣で緊迫感のあるものが多いかなと思います。

でも、『ドS刑事』は、いわゆるユーモアミステリーというやつのようです。

「本当に刑事もの?」

と思わず考えてしまうくらいにテイストが軽く、おもしろく描かれています。

私のように、楽しくさくさく読める小説が好きな人間にはもってこいの作品ですね。

逆に、本格的な刑事ものが好きな人からすると、ちょっと物足りないかもしれません。

というか、タイトルの時点で、本格的な刑事ものではないのだろうってわかりますよね。

こういうものとして読むと、すごくいい。

ドラマ化は多部未華子さんで。

ドS刑事シリーズは、2015年に『ドS刑事』のタイトルでドラマ化しています。

黒井マヤは、多部未華子さんが演じています。

キャッチコピーは、「僕のバディは超ドS」だったそうです。

もうこの時点で興味がそそられますよね。

ただ、原作に比べると、黒井マヤもある程度、常識的になっているようにも感じました。

やはり、女優のイメージもあるので、あまりにやばい役にはできなかったのでしょうか。

それはそれでおもしろかったのでいいんですが。

おわりに

全体的に文章量もそこまで多くなく、文章自体も軽いタッチで描かれているので、とても読みやすいです。

読書がそこまで得意でない人でも楽しく読めるいい作品ですね。

ドS刑事シリーズ全体にいえることですが、サブタイトルがまた、

「いったいどんな事件なんだ?」

と想像をかきたててくれていいなと思います。

七尾与史さんはツイッターもYouTubeもしているので、そちらも合わせて見てみると、親近感がわいていいかもしれません。