サン=テグジュペリの『星の王子さま』。
1943年に刊行されたこの童話はいまなお世界中で愛されています。
優しくも厳しいストーリー。
とてもかわいい挿絵。
愛される理由もよくわかります。
そしてそんな理由の一つに、心に響くたくさんの名言たちがあります。
ここでは『星の王子さま』に出てくる名言たちを紹介していきます。
Contents
「大人っていうのは……」
「大人っていうのは、真実を見抜くことができない」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
ぼくが描いた「ゾウをのみ込んだ大ヘビ」の絵を見ても、大人たちは帽子の絵だというシーン。
大人たちは表面的な部分しか見ないで、大切なことを見ようとしません。
さらにこんなセリフが続きます。
「大人たちは頭が固いので、事実をありのままに見ることができません。
そんな大人たちに、いつもいつも教えてあげなければならないので、子どもたちはやがてうんざりしてしまうのです」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
「もしあなたが大人たちに対して……」
「もしあなたが大人たちに対して、「バラ色のレンガでできた、とても美しい家を見ました。窓にゼラニウムの花が飾ってあり、屋根には鳩がとまっていました」と言っても、大人たちはそれがどんな家なのかまったく見当もつきません。
その代わりに、あなたがこう言ったとしましょう。
「一億二千万円の家を見ましたよ」すると、彼らはこう言うでしょう。
「それはさぞかし素晴らしい家だったでしょう!」」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
大人たちは数字が大好きだとぼくが話すシーンです。
どんなに素晴らしいものの話をしても、大人たちには通じないのに、数字にするとそれが素晴らしいものだと思ってしまう大人の変なところを表していますね。
「ボクは何一つ大切なことを学ばなかった……」
「――ボクは何一つ大切なことを学ばなかった……。
バラの言葉ではなくて、バラの行動に基づいて判断すべきだったんだ。
バラは、素敵な香りでボクを満たし、ボクの心を明るくしてくれた……。
意地悪な言葉の背後には、バラの優しさがかくされていた。
そのことに、ボクは気づかなくちゃいけなかったんだ」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
バラとケンカして星を逃げ出すときに、王子さまがバラの行動に意味があったのだと気づくシーンです。
王子さまはいつもいじわるなバラの言葉で、心にとげが刺さるようだったけど、本当のバラの気持ちはそうではなかったんですね。
「できぬことを求めるべきではない」
「その通りじゃ。
できぬことを求めるべきではない。
権威というのは、理性的に行使されねばならぬのじゃ」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
王子さまが旅に出て最初に到着した「王様」の星でのできごと。
星にあらわれた王子さまを、「家来がきた!」と大喜びする王様。
いっぱい命令をする王様だけど、できない命令はしないので、不思議に思った王子さまに王様が話した言葉。
「他人を裁くよりも……」
「他人を裁くよりも、自分を裁くことのほうがはるかに難しいものじゃ。
もしお前が、きちんと自分を裁くことができたら、そのとき、お前は本当の知恵を持っていることになる」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
「王様」の星で、法務大臣になって裁判をやってみないかという王様。
でも、星にはほかに人がいないので、王子さまが裁判をできないというと、王様は「だったら自分を裁判したらいい」といいます。
「人間は仕事に熱心でありながら……」
「人間は仕事に熱心でありながら、なおかつ怠けたくもなる存在なのです」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
「点灯夫」の星で、休むことなく仕事をしている点灯夫に対して、好きなときに休む方法があるという王子さま。
点灯夫が「ぜひとも、聞きたいものだ」とすぐに返事をしたことに対する王子さまの言葉。
人間いつだって怠けたい気持ちとは隣り合わせですね。
「この人だけが……」
「”あの人は、きっと〈王様〉や、〈うぬぼれや〉や、〈酔っ払い〉や、〈ビジネスマン〉からは馬鹿にされるだろう。
だけど、ヘンじゃないのはこの人だけだ。だって、この人だけが、自分以外の人たちのために働いているんだもの。
これまで会った人たちは、みんな、自分のことしか考えていなかった”」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
いろんな星を見て回って、点灯夫だけが唯一ほかの人のためになることをしていて、それ以外の人は、自分のことしか考えていなかったという王子さま。
「地球は、どこにでもあるような星ではありません」
「地球は、どこにでもあるような星ではありません。
地球には、百十一人の〈王様―黒人の王様もいます―〉、七千人の〈地理学者〉、九十万人の〈ビジネスマン〉、七百五十万人の〈酔っ払い〉、三億千百万人の〈うぬぼれや〉がいるからです。
つまり、約二十億人のおとなたちがいるということになります」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
6つの小遊星を旅して、最後に地球にやってきた王子さま。
そのときの地球はこんな星というシーン。
圧倒的にうぬぼれやが多いのにびっくりしますが、でもよく考えればそのとおりかもしれないと思わされます。
「みんなが忘れちゃっている大切なことだよ」
「みんなが忘れちゃっている大切なことだよ。それは、〈絆を結ぶ〉っていう意味なんだ」
――〈絆を結ぶ〉?
「そうさ。君は、まだ、ぼくにとって、ほかの何千人もの小さな男の子たちとまったく変わらない。
ぼくには君は必要じゃない。そして、君にもぼくは必要じゃない。
ぼくは、君にとって、ほかの何千匹のキツネとまったく同じだからね。
だけど、もし君がぼくと絆を結んだら、ぼくたちはお互いを必要とすることになる。
君は、ぼくにとって、世界でたった一人の友達になるんだ。
そして、ぼくは、君にとって、世界でたった一人の友だちになる……」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
自分を飼いならしてほしいというキツネ。
そして飼いならすとは、絆を結ぶことだと教えてくれます。
「ある一日がほかの日と異なる」
「きちんと決めてあるから、ある一日がほかの日と異なる。
ある時間が、ほかの時間と異なる。
そういうことなんだ」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
誰か大切な人と約束したその時間。
家族との時間、恋人とのデートの約束、特別なことをすると決めたある日。
それって同じ時間でも、そこだけ特別なものになりますね。
「それでは、大事な秘密を教えてあげよう」
「それでは、大事な秘密を教えてあげよう。
とても簡単なことさ。
それはね、ものごとはハートで見なくちゃいけない、っていうことなんだ。
大切なことは、目に見えないからね」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
絆を結んだキツネと別れるシーン。
キツネは王子さまに目で見るのではなく、ハートで見ることの大切さを教えてくれます。
「君がバラのために使った時間が長ければ長いほど……」
「君がバラのために使った時間が長ければ長いほど、バラは君にとって大切な存在になるんだ」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
同じくキツネとの別れのシーンから。
誰かに、何かにかけた時間が長ければ長いほど、周りからはそうでなくても、自分にとっては何より大切なものになることを教えてくれます。
そしてそのことをいつまでも忘れないでほしいと。
「人間たちは、みんな、このことを忘れてしまっている。
だけど、君は忘れちゃあだめだよ。
君はいったん誰かを飼いならしたら、いつまでもその人との関係を大切にしなくちゃ」
――いつまでもその人との関係を大切に……。
王子さまは覚えるために、その言葉をくり返しました。
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
「人間たちはもう……」
「人間たちはもう時間がなくなりすぎて、
ほんとうには、なにも知ることができないでいる」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
みんなやりたいこと、やらなくちゃいけないこと、そうだと思っていることに毎日追われています。
だからゆっくりと考えることも、心で感じ取ることもできなくなって、目に見えるものだけを知ったと思ってしまいます。
一度ゆっくりと深呼吸をして、ハートで大切なものを見ようとする時間を作りたいですね。
「それを美しくしているのは……」
「家でも、星でも、砂漠でも、それを美しくしているのは、何か目に見えないものなんだね」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
ぼくと王子さまが夜の砂漠で星空を見ているシーン。
家も星も砂漠も、ただそれだけが美しいのではなく、それを美しいと感じさせてくれる見えない何かがあるのです。
誰と一緒に見ているのか、どうやってここまできたのか、そんないろんな要素が集まって、ほかの人とは違うあなたに見える美しさがそこに生まれます。
「本当に大切なものは……」
「いまぼくが見ているのは、単なる入れ物に過ぎない。
本当に大切なものは、このなかに入っている目に見えない何かなんだ」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
ぼくの腕の中でうとうとしている王子さまを見つめながら、ぼくが思ったこと。
「自分たちが堂々巡りしていることにきづかないんだ」
「――人間たちは、急行列車に乗り込むけれど、自分たちが何を探しているのかわかっていない。
やたら動き回るだけで、自分たちが堂々巡りしていることに気づかないんだ」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
ずっと歩き回って探していた井戸が、朝目を覚ましたら目の前に現れてたときの王子さまのセリフ。
「ハートで見なくちゃ」
「――目で見ても、大切なものは見えないよ。
ハートで見なくちゃ」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
井戸で飲んだ水が特別な水に感じたこと。
何千本のバラがあっても探しているものは見つからないけれど、たった一輪のバラを大切にすれば見つかるかもしれないこと。
王子さまがこうしたことを思って口にしたセリフ。
「胸が暖かくなるのは……」
「こうして眠っている王子さまを見て、胸が暖かくなるのは、王子さまが、花に対してずっと誠実であるからなんだ。
眠っているときでも、王子さまの胸の中では、バラのイメージがランプの灯のように輝いているんだ……」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
眠っている王子さまを見ながらぼくが感じたこと。
誠実であるその人の心はそれだけで周りの人も暖かくしてくれます。
「そうだ、キミにプレゼントをあげよう」
「そうだ、キミにプレゼントをあげよう」
そう言って、王子さまは笑いました。
「ああ、なんて素敵な笑い声だろう。僕は、君がそうやって笑うのを見るのが大好きだよ」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
この王子さまの笑い声こそぼくにとっての最高のプレゼント。
それはぼくにとっての……であって、ほかの誰かにとってのではないのです。
「物事は……」
「物事は、偏見、先入観、固定観念を捨てて、意識を白紙状態にして見なければならない」ということです。
これは、大人にとっては特に難しいことですが、でもそうしなければ、物事の本当の姿を見ることはできません」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
最後は、訳者のあとがきから。
おわりに
サン=テグジュペリの『星の王子さま』に出てくる名言を紹介してきました。
本当はもっともっと紹介したい言葉もシーンがたくさんあります。
そして、この言葉たちだけでも感じるものはありますが、物語と合わさることで何倍も私たちの心を打ってくれます。
もしまだ『星の王子さま』を読んだことがないのであれば、長い話ではないので、一度手に取ってもらえたらなと思います。
なぜこれほどまでに世界中で長い間愛されるのかを感じ取ることができると思います。