小説を書く

プロットの作り方や必要な要素を考えよう。新人賞を目指すならプロットは必須!

小説を書く上で初心者におすすめなのはプロットを作ることです。

でも、プロットってどうやって作るのかと疑問を持つ人もいると思います。

プロットには、

「こうでなければいけない」

というものはありません。

ただ、プロットにあると役に立つ要素というものは考えられます。

そのあたりを紹介していくので、ご自身のプロット作りの参考にしてください。

プロットとは何かという話や、プロットのメリットについてはこちら。

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プロットに入れておいた方がいい要素

プロットを作るときに入れておきたい要素は、

〇作品のテーマ

〇登場人物

〇世界観

〇ストーリー

〇セールスポイント(強み)

などが考えられます。

まずはこのあたりを盛り込むことができると、それだけで作品の全体図が見えてきます。

作品のテーマ

この物語で何を伝えたいのか。

これってとても重要な要素です。

だいたいヒットするような名作は、テーマが色濃く反映されています。

「そうはいっても、殺人事件とかにテーマってあるの?」

という人もいます。

まあ確かに、ミステリーだと、メインはそのトリックだったり、推理だったりの部分になるかもしれません。

いかに探偵側が犯人を暴くのかって。

ただ、その中でも、

「こうした部分を意識していたのかな」

と感じるものってやっぱりあるんですよ。

たとえば、東野圭吾さんの『赤い指』なんて、子どもが死んだ真相を刑事である加賀恭一郎が暴いていくわけですが、家族愛がテーマだと感じます。

実際のところは作者本人にしかわかりませんが、読者にそう感じさせるものがあります。

ただ、最初からテーマがある人もいれば、書きながら浮かんでくる人もいるものです。

それはそれでいいと思うんですよ。

最初にざっくりとでも方向性がわかれば。

途中でテーマが変わってしまうことだって当然あるんですから。

登場人物(キャラクター)

主要な登場人物をイメージしていきましょう。

どんな主人公がいて、対立する相手にはどんな人がいるのか。

主人公は、この話の中で、どんな出来事を受けて、どう行動するのか。

主人公に何か目的はあるのか、それとも何かに巻き込まれる形を取るのか。

小説を書いていると、

「キャラクターが勝手に動き出す」

なんて言い方をすることもあります。

そうしたときって、その著者の中で、しっかりと登場人物が出来上がっているからだと思うんですよ。

小説家で小説講座も開設している鈴木輝一郎さんは、登場人物の履歴書を事細かく書くように指導しています。

新人賞で一次選考を通らない人は、まずそこができていないことが多いとのこと。

このあたりはまた別記事で紹介したいと思います。

世界観

世界観は、その物語の土台ともなるべき部分です。

ここがはっきりしていないと、設定に矛盾が生じてきたり、登場人物の行動がそぐわなかったりしてきます。

〇いつの時代の話なのか

〇どの場所で起きる話なのか

〇特殊な価値観はあるのか

新人賞に出そうと思ったとき、一番多いのは現代を舞台にしたものだと思います。

それが一番書きやすいんですよね。

いま自分が肌で感じている価値観がそのまま活かされるので。

ただ、同じ現代だったとしても、都心部と地方では価値観がまったく同じわけではありません。

小説すばる新人賞を受賞した櫛木理宇さんの『赤と白』は雪国である新潟が舞台でした。

雪に覆われた世界と狭い高校とから主人公が感じる閉塞感が見事でした。

松本清張賞を取った波木銅さんの『万事快調 オールグリーンズ』も、茨城の田舎の高校が舞台で、都心の高校だったら同じ内容では描けなかったと思います。

時代がさかのぼれば、その時代にあった内容にしないといけないですよね。

戦国時代ならその時代にあった価値観もあるし、衣食住だって変わってきます。

未来を描こうとするなら更に想像力を平げないといけませんね。

渡辺優さんの『クラゲ・アイランドの夜明け』では、地球温暖化の影響で、海面が上昇したため、海上にコロニーを作り、そこで生活する人の物語でした。

おそらく今よりも数十年先の世界かな。

そうなるといろんなことが進化しているんですね。

機械でできることも増えているし、授業でゲノムについて学ぶシーンも出てきます。

自分がこれから生み出す世界はどんなところか。

想像してみてください。

ストーリー

ストーリーがないと物語は始まりませんね。

登場人物たちがどう動いていくのか。

全体として、何が展開してどう落ち着いていくのか。

そうした流れを決めていきます。

テーマや登場人物、世界観ができていると、この辺りは割と進めやすくなります。

逆に、ストーリーがあるから、登場人物にはこういう人物が必要って考えるケースもあるので、どちらでもいいと思います。

ストーリーを考える上で、起承転結のような枠組みがあるとわかりやすいですね。

純文学だと、あまり波がなく、日常を描くようなものもありますが、大衆小説だと何も動かさないわけにはいきませんから。

セールスポイント

最後にセールスポイントです。

あなたが小説を書く上での強みとも言えます。

新人賞の受賞作品を見ていくと、やはりその人だから書けた小説!だと感じる部分ってけっこうあります。

人と違った発想でもいいですし、ほかの人にはない専門知識でもいいと思います。

第27回鮎川哲也賞受賞した今村昌弘さんのデビュー作『屍人荘の殺人』は、神木隆之介さん主演で映画化もされ大ヒットを記録しました。

これは、本格ミステリーのような様子を見せながら、密室を作るための発想が他にはなくて斬新でした。

小説すばる新人賞でも、相撲の裏側を描いた『櫓太鼓が聞こえる』や、鎌倉時代の将軍と和歌を結び付けた『言の葉は残りて』、シャチの生態を調べ込んだ上で描いた『コーリング・ユー』などがあります。

また、内科医をしながら小説家をしている知念実希人さん。

その専門知識を活かした小説を書いていて、ご本人も、専門分野においては、他の作家の追随を許さないと述べています。

他の人にはないなにか。

それが作品にあるととても強いです。

プロットはどういう形でもいい。

プロットに入れた方がいい要素について紹介しました。

ただ、ここまで書いておいてなんですが、プロットってなんでもいいんですよ。

決まった形はないですし、自分が物語を作る上の助けになればそれでいいんです。

「こうしなければいけない」

と思うと、それが自分を縛ることにもつながってしまいます。

それでも、プロット自体はあると便利なのは間違いないので、いろいろ試しながら自分にあったプロットを目指しましょう。

さて、プロットの形ということで、どういったものがあるのか。

実際に文章のように、大まかなところを打っていくスタイルの人もいれば、重要な要素だけを抜き出す人もいます。

〇最初から最後までの流れを文章の形で作る人

〇あらすじ程度に、重要な場面や展開するところを書く人

〇箇条書きで出来事を書き出していく人

といろいろです。

最初は、短いものからプロットを書いてみたらいいと思います。

たとえば桃太郎で考えてみると、

「桃から生まれた男の子が、村人を困らせている鬼を退治して、幸せになる話」

短めにしてみるとこんなところでしょうか。

これを少しずつ肉付けしながらプロットとして広げていきます。

「おじいさんとおばあさんはある日、大きな桃を川で拾い、中から出てきた男の子を桃太郎と名付けて育てることにした。おじいさんたち村人は鬼に困らされていた。大きくなった桃太郎は、仲間を集めて鬼退治に行く。鬼を倒した桃太郎は、鬼が集めた財宝を村に持ち帰り、みんなで幸せに暮らした。」

ここまでできたら、「じゃあ仲間はどうしようか」、「なぜ村人は困っていたのだろうか」といったように展開できます。

箇条書きでプロットを作るなら、

〇おばあさんが川で大きな桃を拾った。

〇中から男の子が出てきた。

〇桃太郎と名付けた。

〇鬼に困っていた村人のために桃太郎は鬼退治に行くことにした。

〇途中、犬・さる・キジを仲間にした。

〇鬼ヶ島で鬼を退治する。

〇財宝を持って村に帰って幸せに暮らした。

これだけでも、全体の流れがわかるので、執筆する上でかなり助けになります。

プロの作家はプロットをどうしている?

プロの作家でも、プロットの考え方は千差万別。

『タイプライターズ 物書きの世界』という番組を知っていますか?

newsの加藤シゲアキさんがMCを務めて、毎回、作家をゲストを読んで創作についての話を聞く番組です。

数か月に1回くらいの頻度で放送されるので、いつも見逃さないように録画予約をしています。

ここではよく作家さんのプロットの作り方を聞いています。

『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこさんと『流浪の月』で同じく本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんの回。

お二人は、正反対の考え方をしていました。

どちらがどっちだったか忘れたのですが、一方は、プロットだけで5万文字になってしまうこともあると話しています。

5万文字って、軽く短編小説二作分くらいの文章量ですよね。

逆のもう御一方は、プロットはメモ程度に数行しか作らないと話していました。

実際にプロット自体をまったく作らないという作家さんもいます。

『サイレント・ヴォイス』や『犬を盗む』の作者である佐藤青南さんは、ご自身のYouTubeの中で、プロットは毎回しっかり作って、基本的にはその通りに小説を書いているという話をされています。

プロットに対する考え方は自由。

自分がやりやすいように作ればいいのかなと思います。

ただし、新人賞を目指す人に対しては、多くの指南書も現役の作家さんも、まずプロットはきちんと作るように言います。

それが基本なのだと思います。

プロットの作り方~私の場合~

さて、私自身も、プロの小説家を目指して日々小説を書いては新人賞に応募している一人です。

いくつもプロットを書いてきた経験から、なんとなく自分なりのやり方は見えてきました。

参考になるのかわかりませんが、紹介しておきます。

 

まず、私の場合、書きたいテーマや事件などから作っていきます。

たとえば、2022年は宗教の問題がメディアでもたくさん取り上げられていました。

二世問題って言葉も、ここで初めて聞いた人も多いのではなかったでしょうか。

仮にこのあたりを書くとすれば、

「親が宗教に入っていたら、きついよなー。それもちょっと問題のありそうな宗教だとなおさらきついよなー」

というところから、二世の子どもを主人公にしてみようと考えます。

テーマは、宗教における自立性とでも言いますか。

子どもが家族や友人との葛藤の中で、自分の意思で自分の価値感を手に入れていくこととか。

となると、登場人物は、宗教に熱心な親が必要ですね。

親はいつどんな経緯でその宗教に入ることになったのか。

宗教の教義はどんなもので、どういう経緯で生まれたものなのか。

その宗教の理想と現実、周囲からの評判はどんなものなのか。

そうしていくと、ふだんの家での生活も徐々に見えていきます。

親がそれだけ熱心なら、主人公が家に帰ってきても、宗教の集まりに出かけていていないことが想像できます。

休日に教会のようなところに行って、家族旅行もできないかもしれません。

献金が多いところなら、生活はあまり裕福でないのかも。

宗教上の制約で、クリスマスとか、初詣とかは禁止かもしれません。

友人とか、周囲の家からはどんな風に思われているのか。

ちょっと想像するときついですが、友人には、「親がやってるだけで私は関係ないし」みたいなスタイルになるのかな。

こんな家庭ならちょっと親を恨みますよね。

でも、一方で親への愛情も確かにある。

兄弟がいれば、兄弟は熱心なのか、親に反発しているのかでも話が変わってきますね。

こうして、物語の世界が少しずつ構築されていきます。

このあたりは、ノートなどに殴り書きのようにして、思いつくことを何でもいいので書き足していきます。

ある程度、全体の構図が見えてきたら、清書して、そこからストーリーを考えていきます。

最終的に、親の宗教を認める展開にするのもありだし、逆に親が子どもの考えを理解してくれるかもしれません。

頑張った結果、理解し合えないことも考えられるし、家族崩壊なんてこともありえます。

一応、どういう展開かは決めますが、場合によっては途中で変更になるかもです。

ここは、出来事でもいいし、セリフでもいいし、結末でもいいので、

「こんなことを書いてみたい」

という願望を集めていきます。

それらを箇条書きにしていくと、スタートから終わりまでの流れが出来上がり。

そこから、一つ一つのポイントで、どんなことが起きれば話が展開されていくかを想像しながら、エピソードや登場人物を増やしていきます。

私の場合、箇条書きされたものに、ある程度肉付けされた段階でほぼプロットは完成で、本編を書き始めています。

経験上、完璧にプロット通りに進むことってあまりありません。

ひとまず、プロットに沿って一気に書き上げちゃって、そのあと修正を入れていきます。

 

と、私のプロットはこういう形で作成しています。

実際に私が宗教をテーマに書くことはないと思いますが、たとえばということで考えてみました。

おわりに

プロットに必要な要素やプロットの作り方という話をしてきました。

プロットが必要ないという人もいると思います。

実際にそれで新人賞を取った人もいます。

行成薫さんはたしかそうした話をアプリのnoteで書いていたと記憶しています。

とはいえ、そうした人はごく一部。

自分の書き方が確立するようになるまでは、まずプロット作りから始めてみてください。