「なぜ彼は激怒していたのか。」
小学校のテストなんかでよく出る問題ですね。
今回紹介するのは、太宰治の『走れメロス』です。
小学校の教科書にも載っていて、読書感想文の題材にもされる有名な作品です。
誰もが一度は読んだことがあるであろう作品ですが、改めて読んでみると意外とおもしろい。
ここでは、『走れメロス』のあらすじや感想を紹介していきます。
Contents
『走れメロス』のあらすじ
激怒するメロス
メロスは激怒した。必ず、かの邪知暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスに政治はわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
(太宰治『走れメロス』より)
今日、メロスは村を出発し、野を越え山を越え、十里離れたシラクス市にやってきた。
メロスには両親も女房もいないが、16歳になる内気な妹がいて、近々結婚をすることになっていた。
その花嫁衣装は祝宴のごちそうを買うために市にやってきたのであった。
買い物を終えたメロスは、シラクス市に住む親友のセリヌンティウスを訪れようと街中を歩いているとどうも様子がおかしい。
二年前に来たときは、夜でも皆が歌を歌ってにぎやかであったのに、ひっそりとさみしいことに気づく。
メロスは一人の老爺から王様のことを聞く。
「王様は、人を殺します」
「なぜ殺すのだ」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持って居りませぬ」
(太宰治『走れメロス』より)
そして老爺は、王様は、妹婿、ご自身のお世継ぎ、妹、妹の御子様、皇后、賢臣アレキス様を殺したと言う。
乱心したのかとメロスが問うと、乱心したのではなく、人を信じることができずに、臣下の心を疑い、少しでも派手な暮らしをしている者には人質を一人ずつ差し出させ、命令を拒めば十字架にはりつけられて殺される、この日も6人が殺されたと答えるのであった。
乗り込み捕まるメロス
「呆れた王だ。生かしては置けぬ」
とメロスはそのまま王城へとむかうが、たちまち巡邏の警吏に捕縛され、懐から短刀が出て来たので大騒ぎとなってしまう。
暴君ディオニスは、何をするつもりだったのかとメロスを問い詰める。
市を暴君の手から救うのだというメロスに、ディオニスは、
「お前には、わしの孤独がわからぬ」という。
しかし、メロスはいきり立って反論する。
「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠さえ疑って居られる」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ」
(太宰治『走れメロス』より)
そして王は、メロスに対して、口ではどんなことでもいえる、おまえもいまに磔になってから泣いて詫びても聞かぬぞとおどすのであった。
メロスは死ぬ覚悟はある、命乞いもしないとしながらも王に頼む。
「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ずここへ帰って来ます」
(太宰治『走れメロス』より)
王は、メロスをとんでもない嘘をいうやつだとなじる。
しかし、メロスは、約束は守る、信じられないなら親友のセリヌンティウスを人質として置いていくというのである。
もし、私が逃げたり、三日目の夕暮れまでに戻ってこなかったら絞め殺してよいとまで言い放つ。
王は、どうせ帰ってこないがだまされたふりをして放してやるのもおもしろいと、メロスの願いを聞き入れることにした。
そして、もし帰ってこなければ身代わりを殺す、だが、お前の罪は永遠に許してやる、命が大事だったら遅れてくるがいいと伝えるのであった。
セリヌンティウスは深夜に王城に呼ばれ、二年ぶりにメロスと再会をする。
事情を聞いた友は、無言でうなずき、メロスと抱き合う。
セリヌンティウスは縄をかけられ、メロスはすぐに村へ向かって出発をした。
妹の結婚式
メロスはその夜、10里の道を一睡もせずに急いで走り、翌日の午前、日がすでに高く昇った時間に村へと到着する。
披露困憊のメロスを見て心配する妹に、明日、結婚式をあげよう、村の人たちに知らせて来いと告げ、家へ帰り祝宴の準備をしたあと、床に倒れ伏して深い眠りへと落ちたのであった。
目を覚ましたらすでに夜であり、メロスは花婿のところへ向かい、少し事情があるので結婚式を明日にしてほしいと頼む。
まだ準備ができていないという婿であったが、なんとか説き伏せ、翌日の真昼に結婚式をとりおこなった。
新郎新婦の神々への先生が済んだところで黒雲が空を覆い、大雨となる。
それでも村人たちは陽気に歌を歌い、メロスもこのときばかりは、満面に喜色をたたえ、しばらく王との約束さえ忘れていた。
夜に入り、いよいよ祝宴はにぎやかになる。
メロスは、一生このままここにいたいと思うが、わが身に鞭打ち出発を決意する。
期限である明日の日没まではまだ十分時間がある、一眠りしてから出発しようと考え、妹と婿に声をかける。
妹には、これからは優しい亭主がいるから寂しくない、亭主との間にはどんな秘密も作ってはいけないと告げ、婿には、我が家の宝は妹と羊だけだ、全部あげよう、そしてメロスの弟になったことを誇ってくれと話すのであった。
メロスは皆に会釈をして宴席から立ち去り、羊小屋で死んだように深く眠った。
走れ!メロス
目が覚めたのは翌日の薄明けの頃であった。
メロスは寝過ごしたかと跳ね起きるが、すぐに出発をすれば約束にはまだ間に合う。
王に人の信実を見せ、笑って磔台に上がってやると身支度を整え、雨の中、矢のごとく飛び出していった。
私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。王の甘寧邪知を打ち破るために走るのだ。走らなければならぬ。そうして、私は殺される。若い時から名誉は守れ。さらば、ふるさと。
(太宰治『走れメロス』より)
何度か立ち止まりそうになりながらも、えい、えいと大声をあげて自分を叱咤し走り続け、日が高く昇った頃には隣村にたどり着いた。
ここまでくれば大丈夫だろうと、メロスは好きな小歌を歌いながらぶらぶらと二里三里と歩き、全行程の半ばに到達した頃に、災難が降ってわく。
昨日の豪雨で水源地が氾濫し、川の端を木っ端みじんに跳ね飛ばしていたのだ。
あたりを見渡し大声をあげても、舟も渡し守もいない。
メロスは覚悟を決めて濁流へとその身を投げ、必死の思いで皮を渡りきり対岸へとたどり着く。
既に陽は西に傾き始めていた。
メロスは先を急ぎ、荒い呼吸のまま峠を登りきるが、今度はそこで山賊の一隊と出会う。
山賊はメロスに荷物をすべて置いていくように告げる。
「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだ」
「その、いのちが欲しいのだ」
「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな」
(太宰治『走れメロス』より)
メロスは襲い来る山賊のうち三人を殴り倒し、残った相手が怯んだ隙に、一気に峠を駆け降りる。
しかし、疲労と灼熱の太陽によってがくりと膝を折り、立ち上がることができなくなった。
ここまで頑張って走ってきたメロスも、これ以上は無理だと諦めかけ、セリヌンティウスに懺悔し、自分を酷い裏切者だと、四肢を投げ出してうとうとまどろんでしまう。
ふと、耳に水が湧き上がる音が聞こえ、そっと頭をあげてみると足元で水が流れていた。
岩の裂け目から水がわき出していて、その水を一口飲むと、メロスは夢から覚めたような心持となる。
そしてメロスは、歩ける、行こう、とわずかな希望が生まれる。
日没までには、まだ間がある。私を、待っている人があるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。私は、信じられている。私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ! メロス。
(太宰治『走れメロス』より)
約束を果たすメロスと王の改心
路行く人を押しのけ、跳ね飛ばし、メロスは黒い風のように走った。
シラクス市の塔楼が見えてきた。
するとそこでうごめくような声が風と共に聞こえてきた。
セリヌンティウスの弟子であるフィロストラトスであった。
フィロストラトスはメロスにもう無駄だから走るのはやめるようにいう。
もうセリヌンティウスを救うことはできない、ちょうど今、死刑になるところだ、今はもうご自分の命が大事だから走るのをやめるのだと。
そして、セリヌンティウスは刑場に引き出されても、王に散々からかわれても、「メロスは来ます」と答えていたと話す。
それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題ではないのだ。人の命も問題ではないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! フィロストラトス。
(太宰治『走れメロス』より)
最後の死力を尽くして走るメロス。
陽が完全に落ちようとするとき、メロスは刑場へと突入した。
メロスは群衆をかき分け、磔台に吊り上げられている友の両足にかじりつき、私だ!メロスだ!と刑吏に訴え出る。
間に合ったメロスは、セリヌンティウスに、諦めかけたことを詫び、自分を一発殴るように頼む。
メロスの心情を察したセリヌンティウスは力いっぱいメロスを殴り、同様に自分もメロスを一度だけ疑ったから自分を殴るように言う。
メロスもまたセリヌンティウスを殴り二人は抱擁を交わす。
そこに暴君ディオニスが近づいてきて顔を赤らめて言う。
おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。
(太宰治『走れメロス』より)
群衆から歓声が上がり、ひとりの少女がメロスへと緋のマントをささげた。
わかりやすい『走れメロス』のテーマ
『走れメロス』は冒頭にも書いたように小学校の教科書にも載りますし、テストや読書感想文にも使われますね。
それは、『走れメロス』のテーマがとてもわかりやすく、子どもの教育にいいとされているからです。
すなわち、「友情」「希望」「信じること」「諦めない心」です!
やはり一番にあがるのはメロスとセリヌンティウス。
メロスはセリヌンティウスを人質として預け、村に戻って妹の結婚式を行います。
セリヌンティウスからしたらいきなり降ってわいた話で、自分にはぜんぜん関係ない話ですよね。
でも、話を聞いたセリヌンティウスは無言でうなずいて了承するのです。
そこにはメロスは必ず戻ってくるという信頼がありました。
メロスもまた、山賊に襲われたり、疲労困憊で倒れる中でも走り続けたのは、セリヌンティウスへの友情と、彼からの信頼に応えなければという想いからです。
戻って来たメロスに対して、セリヌンティウスはもう助からないという人がいても、最後まで力を振り絞って諦めずに走り続けます。
また、暴君ディオニスは、人を信じる心を失っていました。
だからメロスの話を聞き、その心根を試そうと考えます。
結果は物語のとおり、メロスが信実を示し、それを見たディオニスが改心して仲間にしてほしいというわけです。
ディオニス自身もきっと誰かを信じたかったのかなという気になりますよね。
信じることの尊さというものも伝えているように感じます。
メロスは村人から勇者になった!
メロスって最初はただの村人です。
村の牧人で、歌を歌ったり、羊と遊んだりして暮らしている……ずいぶんとのんびりしてうらやましい生活だなって感じます。
でも、メロスは、『走れメロス』の最後には勇者と書かれているんですね。
そう、この話は、メロスが勇者になるための物語でもあるんです。
まあ最後まで、ただの村人でしたではかっこつかないですし。
勇者っていうと、勇気のある人、悪を打ち倒す人といったイメージでしょうか。
某ゲームソフトやいろんな小説やマンガでもそうですが、勇者には強い心があります。
打ちのめされても諦めない心、悪いことには立ち向かう心、自身の弱さに打ち勝つ心……。
『走れメロス』という短い物語の中に、こうしたシーンが幾度となく登場します。
誰かのために諦めることなく走ったからメロスは勇者になれました。
もし、走るのを止めていたらただの村人のままです。
こういう人間が勇者なんだよと私たちに教えてくれているような気持ちにもなります。
つっこみどころ満載のメロス
とはいえ、メロスはとてもツッコミどころ満載の男です。
ちょっといい話で終わらせたいけど、久々に読んでみるとおかしすぎるのでそのあたりも書かせてください。
殺人未遂のメロス
そもそも、なんでメロスって王様に突っかかって行っちゃたの?というところ。
だって、メロスは町の人の話を聞いて、
「それは許せん!生かしてはおけぬ!」
といきなり短刀を懐に入れて王城に向かっているんですよね。
それってただの噂話で完全に王様を殺す気満々でしたよね。
そりゃ衛兵に捕まりますし、そんなことをしたら処刑になって当たり前です。
現代でいえば、殺人未遂と銃刀法違反と不法侵入ってやつです。
そんな人が近くにいたらむちゃくちゃ怖いですけど。
総理大臣の政治が悪い!市長が悪い!といって殴り込みをかけるようなものでしょうか。
『走れメロス』でも、メロスは単純な男だったと書かれているけど単純すぎない?と思わずにはいられません。
意外とまともな王様かもしれない
いきなり王城に突っ込んできて、自分を殺そうとしたメロス。
でもそんな相手の話を律儀に聞いてあげる王様って実は意外とちゃんとした人なのではないかって気もしてしまいます。
王様は確かに人を殺したかもしれませんが、時代とか王様の立場とか考えるとそこまでおかしい話ではないかもしれません。
妹、妹婿、その子ども、自分の子ども、皇后、賢臣と身内を中心にかなり殺していますが、よくある内部抗争と見ればまあわからなくもない。
市民を殺したのも、命令に従わなかった人を処刑したという話です。
老爺の話というのも、為政者を嫌っている市民の発言であれば過剰に話している可能性もあるのかな。
それでいて、メロスのような急に現れた変な男の話は聞く。
勝負をして負けたとはいえ、それをきちんと受け止め受け入れて改心する。
これってなかなかできることではないですよね。
そもそもメロスの聞き方がおかしい
そもそもですが、メロスってかなり強引なんですよね。
町の雰囲気がおかしいから何があったのか人に尋ねる……ここまでは問題ありません。
でも、答えない老爺をゆさぶり問い詰め聞き出すっていうのはいかがなものか。
だっておじいさん言いたくなさそうにしていたじゃないですか。
そして無理矢理聞き出した内容でこんな突発的な行動を起こすとか、かなりどうかしています。
すぐに意見をひるがえすメロス
ツッコミどころ満載のメロスですが、王様との会話でもそうです。
あらすじでも書きましたが、捕まって王様の前に引きずり出されたメロスは、王様にこんなことをいいます。
「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ずここへ帰って来ます」
(太宰治『走れメロス』より)
ちょっとメロスさん。
さっきまで死ぬ覚悟あるって言ってたじゃん。
さっきまでため口だったのに急に敬語になってるじゃん。
情けをかけたいつもりであればとかどの口がいうのかと。
王様別に情けをかけたいなんて言ってませんが。
寝すぎなメロス
さて、一応村に帰るときは一睡もせずに急いで帰ったというメロス。
そこはいいのですが、そのあとシラクス市に戻るまでは結構寝ています。
その日は寝ずに帰って来たので翌日の結婚式まで寝るのはよし。
体力を蓄えて戻らなければいけないですから。
でも次の日の結婚式のあと、かなり寝てしまい、それで間に合わないのでは?と思うくらいに焦ってしまうんですね。
ではなぜ結婚式の夜、そんなに寝てしまったのか。
実際にメロスは、村に到着して祝宴の準備をしたら、夜までがっつり寝ています。
ここで十分体力は戻っており、そのままその日も休んで結婚式を迎えれば、すぐに出発することもできたはず……。
なのに、何を思ったかメロスは結婚式前日、花婿と夜通し話をするという暴挙に出ます。
そして案の定、結婚式当日、お酒も入っていたこともあるのでしょう、ちょっとだけ休もうと思ったらふつうに寝てしまう。
目が覚めたのは翌日の薄明けの頃、すぐに出発をしなければいけない時間帯です。
道中も、濁流を越え、山賊を振り切り峠を下ったところで疲れて四肢を投げ出して横になる。
そしてそのまま「もう無理だ」とまどろんでしまいます。
なぜ、そこで寝るのか…明らかに寝すぎで必死さの足りないメロスです。
のんきに歌を歌ってぶらぶら歩くメロス
それだけではなく、間に合うかと焦っていたはずの帰り道、メロスは最初ちょっと頑張って走ります。
でも日が高く上がったころ、隣村に到着したら、
「ここまでくれば大丈夫だろう」
と、好きな小歌を歌いながらぶらぶらと二里三里と歩いたというのです。
そして全行程の半ばに到達したところで、濁流の川が現れてしまうというわけです。
なぜ親友の命がかかっているのに歌を歌いながらのんきに歩くのか!?
メロスやっぱり駄目な男ですね。
しかも、全行程って10里(約39km)だけなんですよね。
ぶらぶらと二里三里歩いて半ばに到達しているのなら、最初に一生懸命走った距離ってわずか二里。
8km弱だけってことになります。
薄明けの頃に目覚め、日が高く上がるころに隣村……。
灼熱の太陽なんて言葉もあるくらいだから日の長い時期だと考えれば、相当な時間をかけて8kmだけ?
そのうえのんきにぶらぶらと……。
そもそもメロスは走っていなかったらしい
さて、そんな疑問を持っていたら、そもそもメロスは走っていなかったという研究があるのだと聞きました。
それは当時中学2年生だった村田くんが、一般財団法人 理数教育研究所の「算数・数学の自由研究」作品コンクールに入賞した「メロスの全力を検証」という研究結果です。
これを読んでみるとすっごくおもしろい!
中学生でこんなことを考えるとは、今はいったいどんなことをしている人になっているのか気になります。
村田くんは『走れメロス』の記述からメロスの平均移動速度を算出します。
それを見ると、「メロスはまったく全力で走っていない」という結論が導き出されたようです。
どうも、村を出てから川にたどり着くまでの平均速度は2.7km/hだったようです。
2.7km/hってむちゃくちゃ遅いですよね。
しかも、隣村までは急いでいたはずだから、そこから川まではどんなペースだったのだろう…。
逆にそれだけゆっくり進むのって大変だなって思います。
また、一番最後のラストスパートをかけるところも、5.3km/hだとか!
ちょっとした早歩きペースですよ、これ!
そりゃフィロストラトスとあんなに喋りながら刑場に向かうことができるわけです。
だめだ、一気にメロスが勇者には見えなくなってきました。
ぜひ一度、この研究結果の見てみてください。
かなりおもしろいです。
おわりに
太宰治『走れメロス』のあらすじと感想でした。
最後はメロスを散々けなしてしまいましたが、話としてはよいものです。
将来、子どもが大きくなったらこのあたりの話をしてみるのも楽しそうですね。
『走れメロス』はほかの作家さんがオマージュ作品とすることもよくあり、そうしたものと合わせて読んでみるのも違った視点があっておもしろいです。
森見登美彦さんの『新釈・走れメロス』はかなりお気に入りです。
太宰治を始め、今も残る文豪の作品は学ぶことが多いのでこれからも読み進めていきたいです。