疾走感あふれる青春もの。
とにかく展開が速く進むので、手が止まることなく一気に読めました。
今回読んだのは、山本文緒さんの『カウントダウン』です!
漫才師を目指す高校生の恋あり、友情あり、ちょっと危険なこともありの青春小説です。
山本文緒さんがデビュー二年目に書いた作品が、改めて単行本となり、2016年に文庫化されたものを読みました。
山本文緒さんの『カウントダウン』のあらすじや感想を紹介していきます。
Contents
『カウントダウン』のあらすじ
岡花小春16歳。
将来の夢は、漫才師として芸能界デビューをすること。
姉はグラビアアイドルとして人気を博している。
母親はそんな姉や小春に、ふつうに生きてほしいと思っているが、小春は自分の信じた道を突き進もうとする。
小春は、同級生の梅太郎とコンビを組んでいる。
新人を発掘するお笑いコンテストで予選を勝ち抜けて本線へ。
これに優勝すれば、お笑いコンビとしてデビューできると期待に胸を高鳴らせていた。
しかし、番組の最低点をたたき出し、さらに高飛車な美少女にけなされ散々な結果となってしまう。
好きな女の子にもカッコ悪いところを見せてしまい、失意のどん底の小春であったが、とある芸能プロダクションからスカウトを受けるのだった。
とにかく展開が速い
読んでいて感じたのは、とにかく展開が速いってこと。
細かい描写だとか、心情うんぬんとかぶっ飛ばして、どんどん話が進んでいます。
どちらかというと、読書をあまり経験したことない人むけの本になるかな。
それくらい読みやすく、話が入りやすい小説でした。
主人公である小春の好きな女の子のお父さんが警察なんですけど、まあなんというか、現実に警察がこんなことしたら大問題ってこともやらかします。
でも、それは全部、物語をおもしろくして、どんどん先に進めるためにあえてしてるんだろうなって。
少年なら夢を抱いて追い続けろ
高校生の頃ってなにを考えて生きていたかな。
そんなことをふと振り返ってしまいます。
小春のように、漫才師になる!なんて強く思えるものもなく、なんとなく部活して勉強していたなって。
親の言うこともかなり聞いてた方だし、願望らしい願望もなかったかも。
そう考えると、つまらなくも思えるけど、それはそれで楽しかったんですよね。
むしろ、小春のように、自分の希望に向かって走り出せる人の方が、いまって少ないんじゃないかな。
だから余計に、『カウントダウン』って、そういう衝動とか、感情とかをわきたててくれるんじゃないかなって感じます。
親の思い子知らず
小春は父親が好きではない。
いつもぼんやりとしていて、なにを考えているのかわからない。
母親にいつも言われっぱなしでなさけない。
こんな人が父親なんて……そんなことを思うわけです。
でもね、父親がなにも考えていないわけではない。
小春の父親にしても、その態度には意味があったんですね。
それって、知ろうとしないと一生わからないこと。
誰かがなにを考えているのかって。
特に家族となると、それだけである種の繋がりがあるものだから、そういった部分を見ないで済ませてしまうことがけっこうある。
知る機会って気づけばなくなってしまうもの。
後悔しないうちに一度、親のことを考えてみることも。
おわりに
山本文緒さんは、残念ながら2021年におなくなりになったそうです。
私は知らずに『カウントダウン』を読んでいたのですが、もっと早くに読んでみればよかったという気持ちになります。
『あなたには帰る家がある』など、有名な作品を多く世に送り出した方。
いまからでも山本文緒さんが生み出した物語を読みたいなと思います。