小説を書く

小説家の年収と収入源を解説。当たればデカいが現実は厳しい。

小説家って夢がある職業!

小説家にあこがれる人も多いと思います。

私も一発どかんと当てて、田舎でのんびり暮らしたいものです。

実際に、SNSをさっと見るだけでも、若い世代の小説家志望者がたくさんいます。

ただ、やはり現実に、小説家として生きていく上で気になるのはお金のこと。

ここでは、小説家の年収がどんなものなのか。

小説家として働く中でどんな収入があるのかなどをここから具体的に説明していきます。

Contents

小説家の年収は千差万別

小説家の年収は150万円~300万円!?

一般的に、小説家の年収は150万円~300万円くらいと言われています。

「そんなバカな! 少なすぎる!」

と感じますよね。

私も調べたとき、びっくりしました。

だって、テレビを見れば宣伝がばんばんされ、ドラマ化、映画化の情報を見ない日がありません。

書店にいけば、

「〇〇万部突破!」

なんて景気のいい宣伝文句とともに大量の本が売り出されています。

でも、それって一部の小説家の話に過ぎないんですね。

多くの小説家は年収換算すると300万円以下です。

悲しいけれどこれが現実。

小説家デビューをしても、1年に1冊も本が出せない人もいます。

当然、これだけじゃ食べていけませんよね。

まあ、実家暮らしの独身であればいけるのかな。

でも、家庭を持って子どもができたりしたら厳しいものがありますよね。

だから、多くの小説家はほかに仕事を持つ兼業作家です。

500万円を超えていればもう有名な小説家である

世の中の平均年収は400万円台半ばから後半くらいとされています。

それを超える小説家はその時点でかなり少ない。

500万円を超えている場合、その時点で名前の知れた小説家になってきます。

テレビドラマ化されたり、映画化されたりしたことがあった作家でもです。

もちろん、ドラマ化、映画化されると、多くの場合、その作品はかなり売れます。

ただ、それが毎年続くわけではないんですね。

ある年に爆発的に売れた小説家でも、10年後には本が出せなくなっていることもあるんです。

そう考えると、継続的に500万円以上稼ぎだしている小説家ってすごい人です。

私の好きな佐藤青南さんは、ご自身のYouTubeチャンネルの中で、専業作家として食べていける年収はもらっていると明かしています。

一方で、年収1000万円には届いていないとも。

佐藤青南さんは、相手の嘘をしぐさや癖で見破るという楯岡絵麻を主人公とした『サイレント・ヴォイス』が有名です。

このシリーズだけでも現時点で9冊発行されていますね。

こちらは栗山千明さんが主演で2018年から放送されていました。

また、2022年に出た『犬を盗む』は、王様のブランチで取り上げられ、何度も重版もかかり、かなり売れています。

これらの年の年収は相当あがったのではないでしょうか。

超人気作家は桁が違う!

さて、なかなか大変な小説家ですが、超人気作家は桁が違います!

日本で年収の多い小説家としてよく名前が挙がるのが、東野圭吾さん、村上春樹さんですね。

東野圭吾さんや村上春樹さんの平均年収は25億円を超えると言われています。

とんでもない数字ですよね。

でも、考えてみるとたしかにそれくらい売れているんですよ。

東野圭吾さんと聞くだけで、有名な作品のタイトルがぱっと出てくると思います。

『容疑者Xの献身』、『マスカレードホテル』、『ナミヤ雑貨店の奇跡』、『白夜行』、『手紙』、『さまよう刃』などなど。

〈ガリレオ〉シリーズは、2013年にシリーズ累計1000万部を突破し、2022年8月時点で1500万部を突破しています。

1500万部って意味がわかりません。

仮にすべて文庫本で考えてみましょう。

1冊700円で印税は10%とします。

1500万部×700円×0.1=10億5千万円

適当に考えただけでもこんな売り上げになるんですよね!

実際は、単行本でもかなり売れているし、東野圭吾さんみたいな有名作家だと、印税も10%よりも高い可能性があります。

そうなると、上記の額よりも遥かに上ってことになります。

しかも、これがたった一つのシリーズで打ち立てた数字なわけです。

そして、私が好きな〈加賀恭一郎〉シリーズ!

シリーズ11冊目にあたる『希望の糸』が2019年に発売されましたが、この本もあっという間に発行部数100万部を越えました。

単行本は、税抜き価格で1700円。

つまり、この1冊で1億7千万円を稼ぎ出しているわけです。

きっとこれからも重版が繰り返され、稼ぎ出す金額はまだまだ上がっていくはずです。

平均年収なんて当てにならないのが小説家!

上記からわかるように、小説家の平均年収なんてまったく当てにならないわけです。

当たればデカいが多くの小説家は、なかなか売れずに苦しい思いをしています。

出版不況ということもあり、年々、初版発行部数も減ってきていると、現役の小説家も話していますね。

でも、売れている小説家を見ると、夢がある仕事ですよね。

専業作家になるだけの収入がない時代は、本業を別にしながら、こつこつ執筆して、いつか人気が大爆発する日を!

そのためには、長く続けていけるようにいい作品を書き続けていくことですね。

小説家の収入源

原稿料

原稿料とは、新聞や雑誌の連載などに対して支払われる報酬のことです。

この計算方法が、「四百字詰原稿用紙」1枚当たりとなります。

昔からの名残ですよね、いまどき、原稿用紙なんて使っていませんから。

さて、この1枚当たりの値段ですが、これは小説家によって異なります。

新人やあまり本が売れていない小説家と、書くだけで飛ぶように売れる小説家では、原稿料が違うのは当たり前ですよね。

『作家超サバイバル術!』では、そのあたりにも触れていて、中山七里さんは、1枚当たり、3000円から5000円が相場だと言います。

知念実希人さんは、4000円くらいだろうとしているので、おおよそこの前後なのでしょう。

森博嗣さんの『作家の収支』でも、この辺りは赤裸々に紹介しています。

小説雑誌だと、1枚4000円から6000円。

1作単位で、2万~5万ということもあるようです。

新聞の連載だと、1回当たり5万円と記しています。

新聞の連載を1年間続けることができれば、1800万円にも至るというのです!

もちろん、こうした連載を勝ち取れるのは一部の有名作家だけなので、ここに至るまでが大変というわけですが。

単行本印税・文庫本印税

印税は、

発行部数×定価×印税率=印税

となります。

単行本だと考え、発行部数1万部、定価1500円、印税10%とすると、

1万部×1500円×0.1=150万円となります。

印税は、売れた数ではなく、発行部数でもらうことが多いため、1冊書いて出せばこんな感じになります。

そして、単行本で発行したものは、数年後に文庫化される可能性もあるわけです。

そのときには、文庫本なので1冊当たりの金額が下がりますが、700円で1万部であれば、さらに70万円の印税が入ります。

重版すれば、その都度、それに応じた印税が入ることになります。

ただ、近年は、この初版部数がかなり落ち込んできていて、あまり売れていない小説家だと、初版2000部とか3000部からスタートすることもあるみたいです。

映像化等版権料

こちらは、『作家超サバイバル術!』の中で、中山七里さんは200万円くらい、知念実希人さん、葉真中顕さんは、100万円から300万円だとしています。

またドラマの場合、1話当たりで版権料が入るため、1話で20万円から50万円くらい。

ワンシーズン12話、1話当たり50万円とすると、600万円ってことですね。

ただ、御三方とも、映像化による恩恵はそれよりも、原作の売り上げが一気に伸びることだとしています。

当然、初めてその小説家の作品を読んだ人が、そこからファンになり、ほかの過去の作品も買うってこともありますよね。

最大の宣伝効果のあるのが、映像化というわけです。

その他講演料等

小説家として有名になっていくと、講演依頼を受けることもあります。

講演は、だいたい20万円から50万円だそうです。

事前の準備などはあったとしても、1時間くらい話をして、これだけ頂けるってなかなかすごいなって思います。

もちろん、講演料は人によってかなりばらつきがあるみたいです。

また、それ以外にも、それまでの経験を活かして、小説講座を解説したり、YouTubeなどマルチに展開する小説家もいます。

印税について

印税は小説家によってばらつきがあります。

基本的に新人や売れていない小説家ほど低く、人気になればなるほど高くなります。

一般文芸の小説家だと10%とされていますが、新人は8%スタートなんて話も。

森博嗣さんの『作家の収支』では、 8 ~ 14 %としていました。

ライトノベルの場合、8%が作家にいくとのことで、残りの2%はイラストレーターなどに割り振られるのではないかと記されています。

上記したように、印税は発行部数に対して支払われることが多いです。

ただ中には、実売部数による場合もあります。

実売部数というのは、言葉通り、実際に売れた部数によって印税が支払われるというものですね。

電子書籍だと、実売部数での契約となります。

その代わりに、電子書籍になると、印税率はかなり上がって、 15 ~ 30 %が相場のようです。

小説家の収入がわかるおすすめの本

ネットでも、こうした小説家の収入に関する記事はけっこうあります。

ただ、やはり実際の小説家本人の言葉が一番信憑性がありますよね。

というわけで、そうした小説家の現実がわかる本を三冊紹介していきます。

『小説家になって億を稼ごう』松岡圭祐

これはかなり話題になったので、知っている人も多いのでは?

松岡啓介さんの『小説家になって億を稼ごう』です。

松岡啓介さんは、『万能鑑定士Q』を始めとするQシリーズや、〈催眠〉シリーズ、〈探偵の探偵〉シリーズ、〈高校事変〉シリーズなど、多くの著名な作品を出しています。

その人が、出版不況と言われていても、億を稼ぎ出すことはできるのだと熱弁する、小説家志望者にとっての希望の書です!

『作家超サバイバル術!』中山七里・知念実希人・葉真中顕

こちらは、2022年に発行された、三人の有名作家による作家として生き残るためのバイブル本となります。

「作家と新人賞」、「作家とおカネ」、「作家とSNS」、「作家と文学賞」などテーマごとに御三方がエッセイとして経験や考えを書いてくれています。

ちなみに、イラストや中に入っている四コマ漫画は、佐藤青南さんが描いています。

私がこの本を知ったのも、佐藤青南さんのYouTubeからでした。

『小説家の収支』森博嗣

この本が一番、赤裸々に書いてくれています。

「そんなとこまでさらけだしていいの!?」

と驚かされるくらいに。

森博嗣さんといえば、デビュー作の『すべてがFになる』がとにかく有名。

映像化もされましたし、森博嗣さんの中でも一番売れた作品のようです。

この『すべてがFになる』の発行部数や、いつ、何部重版されたか、ドラマ化されたことでどれだけ追加で発行されたかなど、ふつうだと知りえないことも書いています。

おわりに

小説家を仕事にしていこうと思ったとき、切っても切り離せない収入についての話でした。

小説家は、お金のためでなく、いい本を届けるために書くのだ!

という人もいますが、現実は見なくてはいけません。

お金に追われる中では、心にゆとりもなくなるし、自分が書きたい本を書き続けることって難しいもの。

だから、稼ぐのだという視点も大事にしていくべきです。

また、読者の立場からも、自分たちが買った本によって、大好きな作家さんに寄与できていると思うと、それはそれで嬉しいものかと思います。