私が絶対に一度は読んでほしいと声を大にして言いたい小説。
その一つが小野不由美さんの〈十二国記〉シリーズです!
初めて『月の影 影の海』を読んだのは高校生のとき。
あまりに先が気になり、試験前だったけど一気読み。
すぐに続巻を購入しにいきました。
当時は講談社から出ていましたが、今は新潮社から発刊されています。
好きすぎてどちらのものもすべて購入してしまっています。
それくらい好きな〈十二国記〉シリーズですが、これから初めて読むという人に向けて、特におすすめの本(みんなおもしろいのですが!)や、読む順番について思うことを紹介していきます。
Contents
〈十二国記〉シリーズを読むおすすめの順番
基本は発刊順が一番!
〈十二国記〉シリーズを読むなら、基本は発刊された順番に読んでいくのが一番です。
『月の影 影の海』から始めるか、『魔性の子』から始めるかになります。
〈十二国記〉シリーズとして発刊された最初は『月の影 影の海』。
でも、「エピソード0」という扱いで別に出ていたのが『魔性の子』。
『魔性の子』の読む位置については下記しておきます。
〈十二国記〉シリーズをすべて読むつもりであるなら、やはり順番の方がいい。
『月の影 影の海』は、とても秀逸な作品で、何もわからない状態から少しずつその世界を知っていく中で、成長もあり、光があり、読み終えたあとの安堵や満足感もあります。
先に十二国記の世界を知る前に読む方がより楽しむことができるので、一番に読みたいかなと。
全部読むのは大変!まずは1冊だけ読みたい人は
〈十二国記〉シリーズも何気にかなりの巻数があります。
「読んでみたいけど全部はちょっと大変かも……」
という人も中にはいるでしょう。
まずは1冊だけ読んでみようという人におすすめなのは、
〇『月の影 影の海』
〇『図南の翼』
の2冊です。
『月の影 影の海』はシリーズの1作目なので当然といえば当然ですね。
可能ならここから読むのがいいと思います。
もう1冊の『図南の翼』。
こちらは読まなくても全体のストーリーには影響のない作品。
逆にいうと、単品でも完結出来ておもしろい作品です。
私が〈十二国記〉シリーズで一番好きな作品がこの『図南の翼』です。
一人の少女の奮闘と成長がぎゅっと込められた作品で、もう何回読み返したことか!
『月の影 影の海』は上巻がけっこう読み進めるのがしんどいと感じる人もいるんですよね。
下巻にいくと読む手が止まらなくなっていくのですが。
独立した作品としては、『東の海神 西の滄海』もあります。
雁王が主役で『月の影 影の海』から約500年前の話です。
ただこちらは雁王たちの過去の話になり、『月の影 影の海』よりも後に読んだ方がより楽しめるかなと思うので最初の1冊にはしない方がいいかなと。
関連するストーリー重視で読むなら
〈十二国記〉シリーズで連続するストーリーもあります。
まず、陽子を主役とする話として、
〇『月の影 影の海』
〇『風の万里 黎明の空』
〇『黄昏の岸 曉の天』
の3作品があります。
この3作品については、この順番で読まないと話がわからなくなります。
一方で、これとからむのが戴麒を中心とした作品。
〇『風の海 迷宮の岸』
〇『白銀の墟 玄の月』
『風の海 迷宮の岸』と『白銀の墟 玄の月』の間に、『黄昏の岸 曉の天』が入ります。
ですので、読む順番としては、
①『月の影 影の海』
②『風の海 迷宮の岸』
③『風の万里 黎明の空』
④『黄昏の岸 曉の天』
⑤『白銀の墟 玄の月』
と読んでいくのがいいでしょう。
②と③はどちらからでも大丈夫ですが、③から④に行った方が続いている感じがして楽しいです。
現時点での最新刊が『白銀の墟 玄の月』ですので、書店でも目立つ置き方されているのがこちらですね。
間違ってこれから読んでしまうことのないように。
『魔性の子』はいつ読むのがいい?
これがかなりの難問です。
でも私の結論からいえば、先に読んだ方が『魔性の子』自体を楽しめる!
私が『魔性の子』を読んだのは〈十二国記〉シリーズを一通り読んだあとでした。
当時は、『魔性の子』は新潮社から出ており、〈十二国記〉シリーズは講談社からだったんですね。
なので、『魔性の子』が関連している作品とは知らなかったわけです。
現在は、〈十二国記〉シリーズ自体が新潮社から出ているため、そのエピソード0という位置づけで、〈十二国記〉シリーズの一つに数えられています。
ちなみに、『魔性の子』も、最初に発刊されたものと、エピソード0という位置づけになってからのもの両方買ってしまいました。
表紙が〈十二国記〉シリーズ仕様に変わったものでつい。
話がそれましたが、ある程度〈十二国記〉シリーズを読んでからでも『魔性の子』は楽しめます。
このときの彼はこうなっていたのかぁーと空白を埋めるような意味合いで。
ただ、まだ〈十二国記〉シリーズを読んでない人からであれば、まったく別物の怪奇小説として楽しめるかなと思います。
『魔性の子』は、文章の雰囲気も世界観もほかの〈十二国記〉シリーズとは違います。
完全に別の一作品として読んだ方がいいかなと思っています。
その上で〈十二国記〉シリーズを読み、もう一度『魔性の子』に戻ってみるのもいいかな。
ということで、
〇『魔性の子』自体を楽しむなら先!
〇〈十二国記〉シリーズの補完として読むなら後!
といったイメージかなと思います。
どちらにせよ、おもしろいことには変わりありません。
アニメ版と小説は、小説から読むべし!
もちろんアニメもすべて見させてもらいました。
気になるところはいろいろあれど、アニメ版もおもしろかったです。
楽俊の雰囲気なんかとてもイメージどおりで好きでした。
さて、小説とアニメどちらが先かとなると、断然小説が先をおすすめします!
〇アニメでは秀逸な描写が出し切れない
〇原作にない登場人物が出てくる
〇展開が早い
〇アニメで知ってしまうと小説にどきどきしなくなる
といった理由からになります。
アニメとなる以上、確保されている時間は限られています。
すべてを正確にアニメで描写しようと思うといくら時間があっても足りません。
だからか小説ではじっくりと描かれている心理描写や、細かな動きはどうしても削られてしまっています。
同様に、『月の影 影の海』の中での陽子の成長は、いろんな裏切りや葛藤を乗り越えた上でのものですが、そこを自身の中で落とし込んでいる時間がアニメでは圧倒的に足りない。
アニメもおもしろかったんですよ?
ただ小野不由美さんの文章力を考えると、満足度は小説の圧勝ですね。
文章によって読むこちらも、どきどきさせられたりしますが、ここもアニメで中身を知ってしまうとちょっと薄れてしまうのでもったいないかなと。
そして何より、原作にない登場人物たち……。
これが正直あまり私は好きでなかったもので、なぜ登場させたのかと思ってしまいます。
確かに原作通りでいくと、いつまでたっても陽子が一人になるし、けっこうしんどい場面も多くなる気はするのですが……。
ですので、アニメ(『月の影 影の海』の部分)は別物と思いながら見た方がいいかなと思います。
それ以外の雁王や戴麒の話とか、『風の万里 黎明の空』のあたりはかなり満足のいく内容になっていました。
おわりに
小野不由美さんの〈十二国記〉シリーズについて、どの順番で読むのがおすすめかといったテーマで紹介させてもらいました。
最初にも書いたように、〈十二国記〉シリーズは、私が読んできた数ある小説の中でも、特におすすめのシリーズです。
私の【名刺代わりの小説10選】の中にも考えるまでもなく入れさせてもらいました。
物語としてもおもしろく、自分自身も振り返ることができる名作ぞろい。
これを読まない手はありません。
これを記載している時点では電子書籍化されていないことだけが残念ですが、紙本の表紙や背表紙が素敵なのでぜひ手に取ってみてください。