この作家の作品はどれもメッセージ性が強くて好きです。
今回読んだのは、住野よるさんの『また、同じ夢を見ていた』です!
主人公が小学生の女の子なので、文体がそれに沿ったものになっています。
読み始めたときはちょっと違和感がありますが、読み進めるとそれが自然になってきて、物語に引き込まれていきます。
Contents
『また、同じ夢を見ていた』のあらすじ
小学生の小柳奈ノ花は、「人生とは~」が口癖の女の子。
奈ノ花はとてもかしこいけれど、ほかの同級生をバカばっかりだと見下してしまうところがあります。
そのためクラスには友達がいません。
でも、奈ノ花には、しっぽがちぎれた黒い猫、とてもかっこういいアバズレさん、おいしいマドレーヌを作れるおばあちゃん、とある建物でであった高校生の南さん。
学校以外にはこんなにも友達がいるので奈ノ花はへっちゃらです。
「人生とは、自分で書いた物語だ」
住野よるさんの小説って、人生の教訓のような言葉がたくさん出てくるんですよね。
『また、同じ夢を見ていた』も同様です。
たとえば、
「いいか、人生とは、自分で書いた物語だ」
「推敲と添削、自分次第でハッピーエンドに書きかえられる」
(住野よる『また、同じ夢を見ていた』P104より)
もう本当にこのとおりなんですよね。
人生ってうまくいかないことがたくさんあるし、嫌なことだって出てくるけど、それをどうにかするのって自分。
自分にはできないとか、どうせ自分はと言っていたらなにも変わらないけど、そこから一歩踏み出せばけっこう変わるもの。
人生とは選択の連続であるって言葉もありますよね。
小さな選択を繰り返すことで人生って作られていきます。
その小さな選択を少しでもよい選択にできれば、ちょっとずつ人生って改善されていく。
あと、上杉鷹山の言葉も好きです。
「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり」
(童門冬二『上杉鷹山』より)
これは仕事でもよく子どもたちに話したりしています。
自分の人生って誰のものでもなく、自分のもの。
もちろん、自分の意思なんて介在しないくらいに過酷な環境に置かれている人もいます。
それでも、こうした言葉たちって重要な意味を持つものだなと感じています。
「大好きなことに一生懸命になれる人だけが」
この言葉もとても気に入りました。
「大好きなことに一生懸命になれる人だけが、本当に素敵なものを作れるんだよ」
(住野よる『また、同じ夢を見ていた』P157より)
大好きなことに一生懸命になれる人だけ。
自分はどれくらい一生懸命になれているのかなと自問自答。
本は昔から大好きだし、小説を去年から書き始めて、書くことってこんなに楽しいのだと知ることもできました。
あとはそこにどれくらい情熱を注げるかなのかな。
実際に、noteでもTwitterでも、一生懸命な人って、ちょっと違いますよね。
そういう人の書いた小説って私も読んでみたくなりますし、文章の上手い下手は人それぞれですが感じ入るものがあります。
私自身、そんな人になりたいと思います。
そして、将来、もし娘がなにかやりたいことがあったら全力で応援できるような父親でいたいなとも感じました。
幸せとはなにか
『また、同じ夢を見ていた』の中では、”幸せとはなにか”というのが一つのテーマとなっています。
幸せについてもいろんなセリフがあるんですが、本作の中でどんな結論が出されるのかは自分で読んだ方がいいのでここには書きません。
ただ、自分にとっての幸せってなにかなって考えるのはすごくいいことですね。
私はいま妻と娘と三人家族で、ふとした瞬間にたくさんの幸せを感じます。
今日も、ちょうどバレンタインデーだったので、三歳の娘がはにかみながらチョコをくれるのはなんともいいがたい幸福を与えてくれたものです。
こういった具体的なエピソードを幸せと取ることもできますし、家族三人が安心して問題なく(腰痛とか健康面の問題はありますが)、過ごせていること自体が幸せって考えもあります。
お給料だって年代の上位ではないですが、ふつうに暮らしていく分には困らない程度には頂いています。
これだって幸せと取ることができます。
相対的幸福と絶対的幸福って考えも存在しますよね。
なにかと比較しての幸福なのか、そういったものを超越した幸福なのかってやつです。
他人との比較の中で生まれる相対的幸福は、自分より上の人間が現れれば萎んでしまうから、そういったものに影響されない絶対的幸福を目指すべきみたいな。
学生のころは、教育系のサークルに入っていたので、そんな議論もよくしていました。
いまになって思うのは、幸せって思えたらそれが幸せでいいのかなって。
こんなことを考えられること自体が幸せだなって思っています。
幸せのあり方も人それぞれだけど、でも幸せになりたくない人っていないですよね。
自分なりの幸せがあること、幸せを感じられる人間であることがもう幸せなんだなと。
実際、幸せのあり方も人それぞれだけど、でも幸せになりたくない人っていないですよね。
だから少しでも多くの人が幸せだと思えればそれだけ、みんなもいい気持ちになるのかなって思います。
まあ、まずは私は妻と娘を幸せにするところからですね。
おわりに
住野よるさんの『また、同じ夢を見ていた』でした。
これで住野よるさんの小説はようやく三冊目です。
この人の作品っておもしろいんですけど、テーマがしっかりしている分、余力がないときには大変ですね。
頭からっぽのときに読むよりは、腰を据えて読みたいって感じです。
さあ残りも読み進めていきます。