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こんな愛の形もある!斜線堂有紀『愛じゃないなら、これは何』あらすじと感想。

これは、どう考えたって愛です。

とはいえ、愛と言ってもいろんな形があるものです。

今回は読んだのは、斜線堂有紀さんの『愛じゃないならこれは何』です!

実は斜線堂有紀さんの本を読むのは初めてなんですね。

YouTubeのほんタメで、けっこう前に、あかりんこと齋藤明里さんが紹介していたので手に取ってみました。

ここでは、『愛じゃないならこれは何』のあらすじや感想を紹介していきます。

Contents

『愛じゃないならこれは何』のあらすじ

ミニカーだって一生推してろ

きみの長靴でいいです

愛について語るときに我々の騙ること

健康で文化的な最低限度の恋愛

ささやかだけど、役に立つけど

上記五つからなる短編集。

以下は、「ミニカーだって一生推してろ」。

二十八歳の地下アイドル、赤羽瑠璃。

彼女は、その日、とある男性の家のベランダにある室外機の側で息をひそめていた。

その男性は、瑠璃のファンである。

そして、瑠璃は一方的にその男性に恋をしてしまったのだった。

ストーカーのように男性を追い続け、ついには自宅まで把握した瑠璃。

男性の部屋に忍び込んだものの、見つかりそうになりベランダに隠れたのだった。

このままでは見つかる。

瑠璃が選んだのは、ベランダから飛び降りるということだった。

なぜ瑠璃はこんなことをしたのか。

物語は瑠璃と男性が出会った四年前へと。

愛についての発想がすごい!

いやね、こんな愛があるなんて、思いつく発想がすごいんです。

最初の「ミニカーだって一生推してろ」では、アイドルの女性がファンの男性に恋をするという話です。

逆はよくありますよね。

ファンがアイドルに本気で恋をしちゃうって。

それだけでなく、もう始まりの時点でかなり大問題。

なぜか、そのアイドルの女性がベランダの室外機の横に隠れてるんです。

どうも、そこはそのファンの男性の家のようで。

完全にストーカーと化しているアイドルさんです。

しかし、このままでは忍び込んだことがばれてしまう。

そうやって焦るんですが、なら最初からなんでそんなことするかなって。

でも、それくらい常識では考えられない行動を取っちゃうのも愛なのかな。

愛の形はひとそれぞれ

『愛じゃないならこれは何』のタイトルどおり、どれもがっつりとした愛の物語です。

とはいえ、いずれもちょっとふつうではない。

ふつうって言葉が変かもしれないけども。

恋愛っていうと勝手なイメージだけど、好きあった二人が付き合って、ときには妥協したり、尊重し合ったりしながら、いずれは結婚して……。

みたいなもの。

でも、この小説にはそんなもの出てこない!

アイドルがストーカー気味に、ファンの男性に恋をしたり、男性二人と女性一人のグループで、三人での関係に固執する女性がいたり、気になった男性のために、自分の好みも趣味も全部変えていったり。

こんな恋愛はしたくないなーという感じだけど、でもこれは間違いなく愛なんですね。

誰かを大切に想うこと、その人を想わずにはいられない。

そういうことが愛なんだなと感じる小説でした。

友情だって一つの愛?

よく男女の友情は存在しない、なんて論争がありますよね。

過去をさかのぼれば、私も大学時代に友人とそんなことを話していたなと。

どっちが正解かはここではどうでもいいんですが、誰かを大切に想うって点では、友情も愛だなと思います。

親友くんが困っていれば、何を置いても手助けしようと思ったし、悩んでいれば、話を聞いて一緒に過ごしたし。

それは男性でも女性でも同じだったかなと。

そこには打算とか見返りとかなかったと思う(たぶん)。

あそこにあったのは、相手への純粋な気持ちで、愛と呼んでもいいものだったのでは。

私もいつのまにやら結婚をして、子どもも産まれ、いまは自分のことよりも、育児が一番、二番が仕事、自分のことは三番以下って感じです。

そんな生活をしていても、特に大切に想っていた人たちのことっていまでも思い出すんですよね。

おわりに

恋愛小説ってあまり読まない私ですが、たまにはこんなのもありと思う小説でした。

ただ、そうですね、ふつうの恋愛が読みたい人は、ちょっと違ったと感じるかも。

内容的に、どろどろとしたところもあるのに、文章の軽快さからさくっと読めて、かなり好きな感じでした。

斜線堂有紀さんのほかの小説も読んでみようと思います。