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「三千円の使い方で人生が決まる!」原田ひ香『三千円の使いかた』

「三千円の使い方で人生は決まる!」

ぱっとそう言われてもあまりピンときませんね。

でも、この本を読むと、たしかにそのとおりだという気持ちがわいてきます。

今回読んだのは、原田ひ香さんの『三千円の使いかた』です!

かなり話題にもなり、ドラマ化もされたので知っている人も多いでしょう。

これはとある家族の心温まる物語でもあり、お金についての指南書でもあります。

読んだ後にはきっと、自分たちの家の経済状況を考えたくなります。

おもしろく、それでいてためになる、どの年代にもおすすめの一冊です。

ここでは、『三千円の使いかた』のあらすじや感想を紹介していきます。

Contents

『三千円の使いかた』のあらすじ

「三千円の使いかた」

「七十三歳のハローワーク」

「目指せ!貯金一千万!」

「費用対効果」

「熟年離婚の経済学」

「節約家の人々」

『三千円の使いかた』は、上記の六話から構成されています。

御厨家に関係する人々がそれぞれの話で中心となり、抱えている問題や金銭に関わることと向き合っていきます。

御厨家の次女である美帆は、恋人がいるが、価値観の違いから別れの雰囲気を感じていた。

ある日、実家に戻ったときに姉の真帆とお金の話となる。

消防士の夫と子供を持つ専業主婦の真帆は、実は貯金が六百万円!

一千万円貯めるのが目標だという。

一方、美帆は社会人二年目とはいえ、貯金は三十万円。

姉からもっと真剣に考えた方がいいと諭され少し意識するが、姉からの助言を話半分に聞いていた。

そんなとき、美帆に一つの目標が生まれる。

それは、子犬を飼える家を持つこと!

新たな目標に向けて貯金を決意する美帆は、セミナーの参加してみることにした。

 

それ以外にも、七十三歳になり、夫の残した貯金も目減りしてきてこの先の介護など、先に不安が見えてきた祖母の琴子。

夫と子供と幸せに暮らしていた長女の井戸真帆も、友人がお金持ちの男性と結婚することを聞き、内心穏やかではいられなくなる。

美帆と真帆の母親である御厨智子は、友人が熟年離婚を考えていることから、夫との関係や我が家の経済状況を改めて考え始める。

お金は生きていく以上、切っては切り離せないもの。

でも、お金に縛られるだけの人生はそれもなにか違う。

幸せになるためのお金との付き合い方を教えてくれます。

三千円をあなたならどう使う?

タイトルのとおり、表題作である「三千円の使いかた」の中では、いろんな三千円の使いかたが登場します。

そもそもこの三千円は、祖母の琴子が言い出した話。

「三千円くらいの少額のお金で買うもの、選ぶもの、三千円ですることが結局、人生を形作っていく、ということ」

(原田ひ香『三千円の使いかた』「三千円の使いかた」より)

ふと思い返してみると、三千円くらいのことって、自分の周りにもあふれています。

高校生のとき、琴子からお年玉で三千円を貰った美帆と真帆。

美帆は、ファーストフードで友だちと食べて欲しいものを買ったらすぐになくなった。

真帆は、吟味してピンクのかわいい財布を購入した。

どっちが正解ではないけど、人によって三千円をどのように使うかって異なります。

美帆がある日、ティーポットを買おうと考えたとき、ここでもポットが三千円くらい。

そんなときふと、姉や家族はどんなポットを使っていたかを考えます。

どうせならといいものを買って長く愛用するという人もいれば、あるものを使って済ませる人もいる。

うちだったら、特に必要ないんじゃない?って話になるのかな。

三千円ってちょうどいい金額なんですよね。

飲み会に行けばだいたい三千円から五千円くらい。

服や雑貨も三千円あればそこそこのものが買えたりもする。

お金ってどんな使い方をしてもそれはその人の勝手だし、なにに幸せを感じるかも人によって違うもの。

ただ、どうせなら使う三千円に、

「自分はこれで幸せな気持ちを買っているのだ」

という思いが上乗せされると、さらにいい人生になるのかなって思います。

節約ってたいへんなのさ

さて、美帆はお金を貯めることを決意したわけです!

姉の真帆からの助言は、節約する一番いい方法は、固定費を減らすことだ!というもの。

たとえば、家賃や携帯代。

いま住んでいるところよりも、一万円安いアパートに住むようになれば、それだけでなにもせずに一年間に十二万円が貯まる。

携帯だって高いプランを使っているのなら、格安スマホにするだけで、月々二、三千円の節約になる。

ただ、美帆は、いま住んでいるところに憧れもあり、姉のことを素人の考えだしと最初は難色を示します。

そこで次に出たのは、一日百円貯金。

なにかいつもすっと使うお金を節約して、その分だけ貯金してみようという。

美帆は、

「じゃあ、貯金箱を買ってくる!」

と早速お金を使おうとして、それでは本末転倒だと言われてしまいます。

この考えすっごくわかるんですけどね。

つい、形から入ろうとして余計に浪費してしまう。

ダイエットとかでもそうですよね。

器具を買って満足したり、ジャージとシューズを買ったけど、そこで終わって走らなかったり。

さらに美帆は、節約のことを考えながら、新作のフラペチーノ(484円)を自然と飲んでいて、

「あれ? これはよくないぞ」

と気づくわけですが、すごくこれがよくわかる!

これまでの習慣ってなかなか変えられなくて、節約も最初はしっかり意識するところからなんですね。

他人のことをうらやましいと思う心

嫉妬とか妬みというと、くらーいイメージがありますよね。

そこまでではなくても、

「あいつうらやましい」

と軽く思うことはよくあるものです。

「目指せ!貯金一千万!」では、姉の真帆の友人がお金持ちの男性と婚約する話が出ます。

結婚したら一生安泰なんだろうなーって思うとふつうにうらやましいですよね。

婚約指輪は、1.2カラットのダイヤの指輪!

新婚旅行も海外でがっつりやるみたいで、それだけで、友達の幸せを純粋に喜ぶだけではいらえなくなる。

「人は実際、近くで実物を見ないと、欲しいという気持ちはわからないものだなあ、と改めて気がついた。」

(原田ひ香『三千円の使いかた』「目指せ!貯金一千万!」より)

真帆自身は、夫の給料は安定しているけどそこまで高くない。

でも、節約したり、ポイ活、プチ稼ぎを実践して、少しずつお金も貯めて、夫と子どもと幸せに暮らしています。

大変だけど満足していた中、自分よりもずっと幸せそうに見える友人をみて、上記のような言葉が出てくるんですね。

自分は自分、他人は他人。

そう思えるのが一番ですけど、でも、目の前にうらやましいと感じる人がいると、素直に考えられないものです。

ましてや、大学の友人だと、学生時代はほとんど同じような立場だったのに、どこからここまで差がついたのかなんて思っちゃいます。

一方で、こっちがうらやましいと思っていたら、実は相手の方がこちらをうらやましいと思っていたなんてことも。

なにが幸せかって、結局、当人がどう感じられるか次第。

形とか裕福さとかではないんですよね。

おわりに

『三千円の使いかた』では、それ以外にも興味深い話題がたくさんあります。

熟年離婚したら、それまでの貯金なんかはどうなるのか、年金額はどう変わるかなんて話もあり、定年近い人はかなりその先を意識するのでは。

子どもを育てることがコスパが悪いなんて衝撃的な言葉も出てきます。

小説としてもけっこうリアルでおもしろくて、これだけいろんな世代のお金に関わる悩みに触れている作品で、読む価値があります。

我が家の家計も一度、家族で相談してみたいと思わされました。