小説家になりたい!
そう思って小説を書き始めて気づけば3年以上が過ぎています。
その間に小説の新人賞に応募してみるものの、見事に一次選考で落とされる日々。
自分には才能がないのではないか。
そんなことを思いながらも書き続けてきましたが、ようやく一次選考を突破することが叶いました!
これが偶然や運で片付けてしまうのはもったいない。
なぜ今回は一次選考を突破できたのか、過去作とは何が違うのかを考察してみることにしました。
私と同じように小説家を目指す人にとって役に立つ記事になればうれしいです。
Contents
直近三作品を比較してみる。
この直近で応募した三作品を比較してみます。
三作品のうち一次選考で落ちた二作品はいずれも小説すばる新人賞に応募していました。
今回、一次選考を突破した作品は小説現代長編新人賞への応募となります。
仮に一次落選をA、Bとして、一次突破したものをCとして話していきます。
作品のテーマ
いずれも、「犯罪と家族」をテーマにしたもの。
といっても微妙に違いはするんですが。
Aは、犯罪に巻き込まれて逮捕された少年と家族の話。
Bは、過去に自分たちが行った犯罪によって、現在の生活が脅かされていく話。
親の犯罪の責任を子どもも負うべきか、とか。
Cは、犯罪をした少年とその家族が自分達のことを見つめ直していく話。
犯罪と家族を描いたものには違いないのですが、Aは暗めな感じで、B、Cは最後は前向きに終わっている、のかな。
Cは三つの章からなる作品でしたが、それぞれの章で同じテーマを根幹に残そうと意識しました。
文字数や人称など
A | B | C | |
文字数 | 106715文字 | 132627文字 | 86157文字 |
人称 | 三人称一視点 | 三人称一視点 | 一人称一視点 |
文字数で見ると圧倒的にBが多かったのですが一次選考を通ったのは一番少なかったCでした。
規定枚数を少し超えたくらいだったので、文章量としては少ないほうだったのかなって思います。
そう考えると文章量が多いか少ないかってあまり関係なさそうですね。
量が多くても内容がともなっていないと落とされるのでしょう。
視点については一人称でも三人称でもどちらでもいいけど、主人公は一人に設定してぶらさないほうがいいという話を聞きます。
ただ、今回の作品は三つの章にわけて、三人の人物から事件を見た形で書いたので必ずしもそれがだめというわけではなさそうです。
もちろん、一つの章の中で、とか、一場面の中でころころと視点が変わると読みにくいとは思います。
登場人物を少なくしていった
登場人物の数は、書くたびにどんどん少なくしていきました。
Aは思いついた人から登場させていましたが、Bではもっと必要そうな人だけ。
Cにいたっては、主要な人物以外は極力削る、くらいの気持ちで一度登場させた人物も削りました。
というのも、やはり短い小説の中でたくさん出てくるとわかりづらい。
プロの小説だって読んでいてあまりに多いと混乱しますもんね。
ましてや、たくさんの人物を書き分けるだけの実力が自分にはないなと感じたからという部分もあります。
できるだけ人物は減らして、一人ひとりをわかりやすくを意識しました。
「魅力的な主人公、キャラが立っている主人公を」
という話もよく聞きますがそこまで魅力的にはできていないとは思っています。
魅力的というのであれば、宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』の成瀬だったり、新川帆立さんの『元彼の遺言状』の剣持麗子がわかりやすいですね。
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宮島 未奈 新潮社 2023年03月17日頃
入れたいことよりも入れないことを意識した
A、BとCの大きな違いとしては、入れたいことよりも入れないことを意識したことにあると思います。
小説を書いていると入れたいことって山ほど出てくるじゃないですか。
「ここでこんなセリフや想いを出したい!」
とか、
「こんな場面があったらおもしろいかも」
っていう風に。
そのときの勢いでそういう場面をたくさん書いてしまうのですが、振り返ってみると、その場面って本当にこの小説に必要なのかって思うことが多々あるんです。
特にAなんて、自分の好きな小説のタイトルだとか、好きなアーティストを無理矢理出してみたりして。
これってただの自己満足でしかなくて、小説の質を落とす行為なんだろうなって今更ながらに感じています。
そこで今回は、推敲する中で、かなり無駄な描写や場面を削りました。
そうすると変な躓きがかなり減ったような気がします。
参考にした書籍
小説の指南書っていくつも読んできました。
今回は特に書きながら読んでいたこともあって参考になりました。
1冊目は森沢明夫さんの『プロだけが知っている 小説の書き方』です!
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森沢明夫 飛鳥新社 2022年07月22日頃
これがかなり有用でした。
物語を作るときに、上がったり下がったりするのはどうしても必要で、どういう風に盛り上がりを作ったり、どこで終わるのかなど意識できていなかったことをたくさん知れました。
2冊目は貴志祐介さんの『エンタテイメントの作り方』です!
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貴志 祐介 KADOKAWA 2017年10月10日頃
貴志祐介さん好きなんですよ。
『悪の教典』とか『新世界より』とか。
だからああいった作品がどういう思考の元で生み出されたのかはとても興味がありました。
正直、この二冊を読まなかったらもっと考えなしに作品を書いていたかもしれません。
執筆にとても有用だったポメラ!!
さて、これまでとまったく違う点といえば、買っちゃったんですよ、ポメラを!
ポメラはキングジムさんが販売している文章を打つ専用の機械ですね。
ワープロみたいなものです。
パソコンで執筆をすると、どうしたってネットを見てしまったり、YouTubeを開いてしまったりと誘惑が多くて時間をだらだら無駄にしてしまいがちでした。
ポメラを購入してからは、目の前にはポメラのみ!
そしたら必然的に書くしかない、考えるしかない。
このおかげでかなり執筆スピードも集中力も上がりました。
ただ、このポメラちゃん、ちょっとお高いんですよね。
もう一万円くらい安かったらもっと早くに悩まず即決で買っていたんですけどね。
いやでもこれはいい買い物でした。
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今後について
今回、まだ一次選考以降の結果は出ていないのでいまもどきどきしているところですが、小説を書き続けていくことには変わりありません。
こういうブログを書いている前にもっと次の作品を書きましょう!と言われてしまいそうですが、これも息抜きということで。
どこまで選考に残れるかはわかりませんが、どちらにせよ、次の作品を進めることがいまの自分に取って大切なことだと思います。
少なくとも今回は一次選考を突破できた。
そう考えると、これまでやってきたことは無駄ではなかったのだと感じます。
- しっかりとテーマを決めて書く
- 登場人物を増やし過ぎず魅力的に
- 視点はできるだけぶらさずに
- 必要のない描写や場面は極力削る
そんなことを意識しながら現在執筆中の作品を頑張って書いていきます。