小説家になりたい人や、小説を書いてみたい人におすすめの本をまとめてみました。
私自身、過去をさかのぼってみると、けっこう読んでいたことがわかりました。
「読んでばっかりいないで早く小説書きましょう」
という声が聞こえてきそうですね。
でも、小説を書いた経験と照らし合わせながら読むとすごく勉強になるんですよ。
私の小説のダメなところや改善が必要なところがどばっと書いてあります。
実際に書き方やプロットの作り方がわかる本だけではありません。
小説家の仕事であったり、収入や年収がわかる本、作家として生きていくために必要なことなどが書かれた本と、多くの実用的な本が存在します。
なかなか小説家の実情ってわからないところもあるのでとても参考になります。
ぜひ興味がある一冊を手に取ってみてください。
Contents
小説家という仕事や生き方がわかる本
『作家超サバイバル術!』中山七里・知念実希人・葉真中顕
まずは、中山七里・知念実希人・葉真中顕さんが書いた『作家超サバイバル術!』です。
これが非常におもしろい!
三人の著名な作家が、『作家と新人賞』、『作家とおカネ』、『作家とSNS』、『作家と映像化』など、テーマごとにエッセイを書いてくれています。
これまでここまで開け広げに出版業界のことや、作家の生き方について書いた本ってあまりなかったんじゃないかなと思います。
いずれも有名な作家さんだからこそリアルに実情を伝えてくれています。
ちなみに、イラストと中にある四コマ漫画は、佐藤青南さんが描いています。
『サイレント・ヴォイス』や『犬を盗む』という小説を書いている作家さんです。
『小説家になって億を稼ごう』松岡圭祐
これは、2021年、2022年と話題になっていた本ですね。
松岡圭祐さんは、『万能鑑定士Q』シリーズや、『探偵の探偵』、『ミッキーマウスの憂鬱』などの作品を刊行しています。
多くの作品が映画化やコミック化していますね。
小説家になって億を稼ごう!とは、なかなか心を熱くさせる言葉です。
出版不況と言われている時代ですが、まだまだ小説家は億を稼げるのだと勇気をくれます。
ここでいう億というのは、生涯でという意味ではなく、年収で億を稼ぐって意味になります。
そのあたりのお金のこともですが、松岡圭祐さんがどのように小説を書いているのかといった、執筆の仕方も紹介されていて勉強になります。
『作家で億は稼げません』吉田親司
松岡圭祐さんの『小説家になって億を稼ごう』の真逆を訴える本ですね。
わざとこういうタイトルで書いているのだと思いますが、売れない作家のシビアな現実が描かれています。
吉田親司さんは、仮想世界の戦争を描いた作品を多く出している作家さんです。
仮想戦記のほうは知っていましたが、ライトノベルも書いていたんですね。
たくさん著作のある作家さんなのですが、それでも実情は厳しいのだと教えてくれています。
松岡圭祐さんの本と二冊合わせて読んでみるとおもしろいです。
『作家の収支』森博嗣
私が小説を書いて新人賞に応募しようと思ったきっかけとなった本です。
森博嗣さんといえば、『すべてがFになる』を書いた小説家です。
これがデビュー作とは思えないくらいおもしろいんですね。
読んでいて、
「すべてがFになるってこれのことか!」
と読みながらわくわくさせてもらったものです。
とても小説を書くペースが速いことで有名なのですが、現在は引退宣言をして、小説を書くペースを抑えているそうです。
この中では、森博嗣さんの作家としての経験から、出版社との付き合いや、収入、映像化などについても触れています。
『すべてがFになる』の印税や、どのタイミングで何部増刷されたのかなんてことまで書かれています。
『エンタメ小説家の失敗学』平山瑞穂
小説家として成功した人たちがこうした本を出すことが多いのですが、この本は失敗学となっています。
個人的には、これだけ長い間、出版業界にいるので、十分作家として成功を収めているような気もするのですが、専業作家としては苦しい生活を送っていたようです。
平山瑞穂さんは、2004年に『ラス・マンチャス通信』で第16回日本ファンタジーノベル大賞受賞してデビューした作家さんです。
ただ、元々は純文学志望だったようで、エンタメの小説家になったことや、作品を巡っての編集者とのやり取りでの失敗経験、タイトルや内容の改稿における失敗など、かなり赤裸々に描かれています。
成功したことって本にしやすいけど、なにが失敗だったのかってあまり表にでないですよね。
そうした意味で、これからデビューを目指す人はぜひ読んでおきたい一冊です。
小説の書き方がわかる本
『何がなんでも新人賞獲らせます!』鈴木輝一郎
この本がすごく良かったです!
新人賞ってよくわからないところがあるのですが、これ一冊読んでおけば、あとは自分の作品を書き上げるだけでいい気もします。
鈴木輝一郎さんは、主に、歴史小説を書いている作家さんです。
小説講座を開いていて、ほとんど毎年、受講生から何かしらの賞を取る人が出ています。
YouTubeも開設しているので、新人賞を目指している人にはかなり有用ですね。
『何がなんでも新人賞獲らせます!』は、タイトル通り、新人賞に視点をあてた本になります。
新人賞とはなんぞやってところから、目指す人が意識したいこと、小説を書く上で大切なことを教えてくれています。
もっと深く書き方を学びたい人は、『何がなんでも長編小説が書きたい!』や、『何がなんでもミステリー作家になりたい!』も参考になると思います。
『エンタテイメントの作り方』貴志祐介
貴志祐介さんもまた著名な作家の一人ですね。
『新世界より』や『悪の教典』は、映像化もされ、かなり話題になっていました。
個人的には、少年犯罪系の作品をよく読むので、『青の炎』はとても考えさせられました。
貴志祐介さんの作品って、世界観がかなり独特ですよね。
それらがどうやって出来上がったのかを知ることができます。
同じようにできるかというと、難しそうって気もしましたが、自分なりの執筆の仕方を考えるきっかけになりました。
『プロ作家養成塾』若桜木虔
少し前の本になりますが、若桜木虔さんの『プロ作家養成塾』です。
この方って、公募ガイドでもよく小説の書き方や、新人賞の受賞作についての書評を書いてくれていました。
新人賞を受賞するために必要なこととか、このあたりのポイントを気をつけた方がいいとか。
小説を書く上での基本的なところから教えてくれるので、書き始めたばかりの人にはおすすめです。
『小説作法の奥義』阿刀田高
阿刀田高さんは、ミステリーやブラックユーモア分野でのショートショートや短編をたくさん書いている作家さんです。
短編だけで800編ほども書いているという驚異の執筆量です。
各種文学賞の選考委員も務めたりと、出版業界でも有名な方ですね。
最初に読んだのは、後述する『短編小説のレシピ』でしたが、こちらは2022年になって出された本です。
どちらかというと、阿刀田高さんの生きざまを描いたような本で、いわゆる指南書とは違うのですが、これはこれでおもしろい。
ただ、けっこう文章が固くて読みづらいです。
多くの小説を書き、たくさんの人の作品を読んできたからこそわかることが書かれています。
『短編小説のレシピ』阿刀田高
連続して阿刀田高さんの本です。
この本は、タイトル通り、短編小説に特化した小説指南本です。
これを読むまでは、割と長編小説も短編小説も長さが違うだけだと思っていたんですよね。
でもよく考えたらそんなわけがないんです。
作る上で考えなければいけないことも、注意する点も、長編と短編では別物。
そのあたりをしっかりと教えてくれている本でした。
私が特に役に立った本トップ5!
さて、ここまで10冊の本を紹介してきました。
この中でも私が特に役に立ち、みなさんにおすすめしたい本はこの5冊です。
〇『作家超サバイバル術!』
〇『何がなんでも新人賞獲らせます!』
〇『小説家になって億を稼ごう』
〇『エンタメ小説家の失敗学』
〇『短編小説のレシピ』
新人賞を目指すなら、鈴木輝一郎さんの『何がなんでも新人賞獲らせます!』は、すごく役に立ちます。
むしろ、まずはこれを読まなきゃいけないでしょう。
必読の一冊です。
『小説家になって億を稼ごう』は、モチベーションを高めるのにとてもよかったです。
やはり、小説家に対して厳しい話がよく出ますよね。
出版不況とか、本を読む人が減っているとか。
その中でも頑張っていきたいと思わせてくれます。
『作家超サバイバル術!』と『エンタメ小説家の失敗学』は、主にデビュー後の話ですね。
小説指南書はかなりあるけど、こうしたデビュー後に気をつけたいことについて言及している本って少ないので、この二冊はぜひ読んだ方がいいかなって思いました。
そして、阿刀田高さんの『短編小説のレシピ』。
2002年のけっこう前の本なのですが、これね、すごくいいんです。
ちょっと難しく書かれているところもあるんですが、短編小説について学べる本は貴重。
長編と短編を同じように考えていたら失敗します。
さすが短編小説で有名な作家さんですね。
この5冊を読めば、もうあとは読まなくても、自分の作品に本気になって取り組めばいいと思います。
おわりに
ここまで、小説指南書などを10冊ほど紹介してきました。
実際に一番大切なのは、自分の小説を少しでも多く書くことです。
これらの本の中でも、そのことにはやはりどの方も触れています。
いかに多く書いたか。
それだけが自分の執筆力を高め、小説家として生きていくための手段なのだと。
書き方といった手段以上に、心構えを教えてくれる本たちだったと思います。
小説家志望の人には、必ず役に立つ本たちだと自信を持っておすすめします。