相沢沙呼

霊媒と論理で真相を!相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』あらすじと感想。

久しぶりに、

「これはやられた!」

と思える小説でした。

「すべてが、伏線」という本の帯に偽りはなし!

今回読んだのは、相沢沙呼さんの『medium 霊媒探偵城塚翡翠』です!

日テレで2022年10月からドラマ化ということで話題にも。

これが何がすごいって、ミステリーの賞を総なめしてるんですよ。

〇このミステリーがすごい! 2020年版(国内編)1位

〇2020本格ミステリ・ベスト10 1位

〇2019年SRの会ミステリーベスト10 1位

〇第20回本格ミステリ大賞 大賞

〇2019年ベストブック 選出

私の大好きな米澤穂信さんが、『満願』でミステリー三冠と評判になりましたが、『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は五冠ってことになるのかな?

ここではそのあらすじや感想を紹介していきますが、ネタバレはしないつもりです。

ネタバレありのサイトもたくさんあるので、結末を知りたい人はそちらでもいいですが、どうせなら小説を読んでどきどきしてほしいです。

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』のあらすじ

推理作家の香月史郎。

非公式に警察に助言をし、難事件を解決してきた。

ある日、香月は、大学時代の後輩である結花から相談を受ける。

結花は、占い師から、彼女を見て泣く女がいると告げられていた。

それ以降、結花は実際に夢で女性を見るようになったという。

困った結花は、霊能力者に頼ることにしたが、それに付き添って欲しいというのだった。

霊能力者が詐欺師である可能性も考慮して、香月は結花についていくことに決めた。

そこで出会ったのが、霊媒師である城塚翡翠であった。

翡翠は、その場で初めてあったはずの香月と結花を見て、二人の職業を当てる。

人の匂いがわかるのだという。

また、翡翠の力はそれだけでなく、死者の最後の言葉を伝えることができた。

この縁がきっかけで、香月と翡翠は、香月の論理力と、翡翠の霊視の力を組み合わせて、難事件に立ち向かっていくことになる。

霊媒と論理で難事件に挑む!

最初にタイトルを見たときは、

「霊媒探偵ってなんぞや?」

と思いました。

霊媒(れいばい、medium または spirit medium)とは、超自然的存在(霊的存在)と人間とを直接に媒介することが可能な人物のことである。

(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

とのこと。

この言葉通り、城塚翡翠も霊媒として、多くの人の相談にのることを生業としています。

翡翠は、様々な条件があるものの、死者の魂を自身に降ろすことで、最後の声を聞くことができる。

人の匂いや色を感じ取ることができ、そこからその人が考えていることや、罪悪感などを感じ取る。

そのため、事件が起きた現場でいち早く、犯人が誰かがわかります。

でも、ふつうに考えて、警察でもなんでもない女性が、

「あの人が犯人です!」

なんて言っても、説得力がないですよね。

そう、霊視して犯人がわかったとしても、まったく証拠能力がないのです。

そこで重要になるのが香月の存在。

翡翠が霊視によって得た情報を裏付けるように、香月が証拠を集め、論理を構築して犯人を逮捕に導くというわけです。

「犯人がわかっているなら簡単じゃん!」

と一見、思いますが、きちんとした証拠がないと、論理的に答えが出るものばかりではないようで。

翡翠も、真実を知っていながら、なにもできないことが過去に何度もあったと嘆くシーンもありました。

読者としても、

「どうすれば犯人になるのか」

と頭を悩ませながら読むことができます。

キャラがとても魅力的

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の魅力の一つは、なんといっても翡翠の存在でしょう。

これがもうとてもかわいくて魅力的です。

単純なかわいさだけでなく、彼女が霊媒という仕事をするようになった経緯や、過去に受けた傷と、そこから立ち上がろうという意思。

そういったもの全部含めて応援したくなります。

幼少期から、人と違うものが見え、感じ取れるって、苦しいものがあります。

自分が何気なくいった一言で、周囲から気味悪がられ、遠ざけられていきます。

本書の中でも、彼女はまったくといっていいほど友人がおらず、途中で同年代の女性と連絡先を交換する機会があると、それはもう嬉しそうに。

霊媒師という特殊な扱いでありながら、日常ではどこにでもいる女性。

そのギャップもまた引き込まれる要素の一つかもしれません。

香月と翡翠の関係もみどころ

香月と翡翠がペアのようになって、難事件を解決していきます。

その過程で、少しずつ二人の関係が変化していきます。

霊媒のため、人に利用されたり裏切られてきた翡翠は、人と接することを恐れている部分もあります。

自分の力を信じてくれる人を渇望していたんでしょう。

香月もまた、霊媒師としての翡翠だけでなく、一人の女性としての翡翠の魅力に、少しずつ惹かれていきます。

後半では、連続殺人死体遺棄事件を追うことになりますが、香月は、そこに翡翠を近づけるべきかを思い悩みます。

そうすることで翡翠は必ず危険な目に会う、と。

こうした二人の関係もみどころの一つです。

おわりに

ここまで感想を書いてきましたが、一番はもう後半で、

「えー!そうきちゃうのか!」

っていうどんでん返しです。

どんでん返しのある小説として、個人的ランキングの上位に躍り出てしまいました。

もうね、感想書きつつ、そこに触れたいのだけども、それを書いちゃだめだとわかっているので、あとは小説読んでください。

年間100冊くらい小説読みますが、今年読んだ中でも随一のおもしろさだったので、後悔することなしです!

また合わせて、別の短編集も出ているのでこちらも手に取ってみることをおすすめします。