辻村深月

どこまでだって成長できる。辻村深月『かがみの孤城』のあらすじと感想。

十代を主人公にした小説は、その心の成長が醍醐味だなっていつも感じます。

今回読んだのは、辻村深月さんの『かがみの孤城』です。

文庫本だと上下巻になっており、ボリュームもあるのにあっという間に読めてしまうくらいにおもしろかったです。

本屋大賞を受賞した人気作ですね。

ここでは『かがみの孤城』のあらすじや感想を紹介していきます。

『かがみの孤城』のあらすじ

中学1年生のこころは、クラスメートとの関係が原因で学校に行くことが出来なくなっていた。

一日中、自分の部屋に引きこもるこころ。

でも、家にいるのがばれないように、電気を消した部屋でテレビを見て、無為に日々を過ごしていた。

そんなこころを心配した母親の勧めで、不登校の子どもたちが通う「心の教室」というスクールに見学に行く。

ここなら通えるかと思ったが、スクールへの登校初日に、「お腹が痛い」と休んでしまう。

そんな自分が嫌だけどどうすることもできない。

苦しい気持ちで毎日を過ごしていたある日、突然、こころの部屋の姿見が光る。

不思議に思い、鏡を触ろうとすると、そのまま鏡の中に吸い込まれてしまう。

そこには、童話に出てくるような城がそびえ立っていた。

目の前には、オオカミの面をつけた、ドレスを着た女の子。

「安西こころさん、あなたはめでたくこの城のゲストに招かれました!」

願いが叶うという城に集められた中学生の男女6人。

それぞれに問題を抱える中、こころたちは、互いに触れ合う中で成長していく。

しかし、願いが叶えられるのは、願いの鍵を見つけたたった一人だけ。

タイムリミットの3月30日までに誰が願いを叶えることができるのだろうか。

ボリュームあるように見えてすぐ読める!

辻村深月さんの小説って何気に初めて読みました。

以前から気になっていた作家さんだったんですけどね。

だって、辻村深月さんって、どの小説も分厚いんですよ!

しかも、上下巻になっているのがすごく多い。

そのボリュームに圧倒されてなかなか手が伸びませんでした。

でも、実際に読みだしてみると、あっという間に読んでしまった!

厚みを感じさせないおもしろさで、見る見るうちにページが次に進んでいきます。

「これが本当におもしろい作家の力か……」

としみじみと感じさせられました。

そう考えると、これまで読んでこなかったのがすごくもったいなかったなと。

若い世代の可能性は無限大!

中学生とか高校生って、たった一つのできごとでも驚くほどの成長を見せます。

『かがみの孤城』は、男女6人、全員が中学生。

それぞれに問題を抱えながらも、そこから目を逸らすものもいれば、必死に向き合おうとするものもいる。

お互いの存在が、それぞれに刺激を与えて、考えるきっかけとなって、気づけば心の中に変化を起こしている。

これって、大人になってからだとなかなか起こりえないことなんですよね。

大人だったら、嫌なことがあっても、うまく受け流したり、向き合わなくてもすむ方法を探したり。

しっかり正面から向き合って、きつい思いをしてまで変わろうとは思わないんですよね。

若い世代の可能性って無限大だっていつも思っているけど、それを改めて感じさせてもらいました。

孤城という言葉

『かがみの孤城』の中では、この城のことを、「かがみの城」って言ってるんですね。

でも、タイトルは「孤城」。

すごく意味深な言葉だなって思いました。

登場人物の一人ひとりが、現実世界では、孤独を抱えています。

孤独っていろんな場面が考えられますよね。

中学生だから、クラスメイトとの関係で孤独なのかもしれない。

家庭の中で孤独を感じているのかもしれない。

友達もたくさんいて、家族も優しいのに、自分を理解してもらえていないのかもしれない。

孤独って、誰にだって感じる場面はあるし、人生でまったく感じたことがない人っていないと思うんです。

きついなって思うこともあるし、逆にだから頑張ろうって思う人もいます。

そういうものだと割り切って生きていく人もいるし、誰か自分を見てくれる人を捜し求める人もいます。

孤独との向き合い方もまた、人それぞれだから、『かがみの孤城』の6人がどう思い生きていくのかっていうのがとても考えさせられます。

おわりに

上記したように、辻村深月さんの小説、初読了です。

厚みがあるなあとか思わずにもっと早くに読めばよかったなあと思います。

とはいえ、なかなか上下巻ものに手を出すのは、勇気がいるので、厚みがあっても一冊で終わっている小説から読んでいこうかな。

ひとまず、『かがみの孤城』は、友人にもさっと薦められるおもしろい小説でした。