からくりというと、日本の古い細工物というイメージでしたが、この作品を読んで、からくり細工を見るとわくわくするようになりました。
今回紹介するのは、藤田和日郎さんのマンガ、
『からくりサーカス』です!
『からくりサーカス』は、『週刊少年サンデー』で1997年から2006年まで連載されました。
単行本は全43巻になります。
『うしおととら』のときからこの作者はずっと好きで、この作品を読んでますます好きになったものです。
2018年にアニメ化されたことで改めて原作を読み直して改めておもしろくも考えさせられるいい作品だと感じます。
少し残酷なシーンもありますが、私がおすすめするマンガの一つです。
Contents
『からくりサーカス』のあらすじ
『からくりサーカス』は、大きく5つの章にわかれています。
〇勝編(プロローグ)
〇サーカス編
〇からくり編
〇からくりサーカス編
〇機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編
勝編のあらすじが以下のようになります。
才賀勝が11歳のときに、父親で大手家電メーカー”サイガ”の社長であった才賀貞義が亡くなる。
貞義は遺言で、莫大な遺産をすべて勝に譲るとした。
勝は、それを良く思わない腹違いの兄弟たちから命を狙われることになる。
勝は祖父・才賀正二が、
「もしものときは『しろがね』が守ってくれる。いつも一番近くのサーカスにしろがねはいる。」
という正二の言葉を信じてサーカスを目指す。
兄弟たちから依頼を受けた黒賀村の人形使いが、からくり人形を使って勝を襲うが、偶然その場に居合わせた加藤鳴海が勝を助ける。
勝と鳴海は、からくり人形から逃げながらサーカスにたどり着くと、そこには、からくり人形『あるるかん』を操るしろがねがいて、刺客を撃退する。
鳴海の家に避難をした三人であったが、今度は別の黒賀村の人形遣いによって勝が誘拐されてしまう。
誘拐された勝を救いだすために、鳴海としろがねは、まさるの叔父である才賀善治の邸宅を目指す。
この勝編をプロローグとして、『からくりサーカス』は複数の視点で物語を進めていきます。
サーカス編では、勝としろがねを、からくり編では鳴海を中心にといったように。
複雑に入り組んだ物語が進むにつれて、からくりサーカスにまつわる真相が少しずつ明らかになっていきます。
『からくりサーカス』の魅力
才賀勝の成長
この『からくりサーカス』の魅力。
一つ目は、主人公の一人である才賀勝の成長です。
最初に登場した時は、勇気がなく、泣いてばかりだった勝が、鳴海やしろがねに支えられながら、強く成長していきます。
鳴海から託された気持ちを胸に強く生きようと決意する勝の姿にはぐっとくるものがあります。
懸糸傀儡(マリオネット)
『からくりサーカス』には、数多くの懸糸傀儡(マリオネット)が出ています。
しろがねの使う『あるるかん』
ギイの『オリンパス』
阿紫花の『プルチネルラ』
これらを始めとした懸糸傀儡がとても魅力的でかっこいい!
新しい懸糸傀儡が出てくる度に、
「いったいどういう人形なんだろうか」
とわくわくしたものです。
また、懸糸傀儡の名前も聞いたことある名前が多くて、どういう意味でこの名前を使っているのかと考えたりしていました。
『からくりサーカス』の意味するところ
この『からくりサーカス』は、このマンガ自体が一つのサーカスのショーのような体をなしています。
マンガの始まりに幕が上がり、最終回で幕が閉じる。
次の章に移るときに、幕間も存在します。
登場人物たちは、何かに操られていたり、誘導されていたり、縛られていたりと、まるでからくり人形のように自分の意思以外のものによって行動を決められているところがあります。
しろがねも、自分のことを人形だと言います。
そこを鳴海が「お前は人間だ」っていうシーンもすごく好きなんですが。
勝もそうです。
最初の勝編の中でも、周りに流されたり、支配されてきた自分から抜け出します。
そうやって、何かに縛られていた人たちが、自分の意思で、自分の人生と、運命と闘っていくところに胸が熱くなります。
『からくりサーカス』に名言が多い!
『うしおととら』でもそうでしたが、読んでいて素敵な名言がたくさんあります。
【才賀勝】
” ”幸せが似合わない人なんて、いない。”
”いつだってツラいコトやイヤなことは、唐突に、急にやって来るんだよね…
それに対して心も、何も準備してないのにさ……
でも、それから逃げられないってわかったら、
その時をいっしょうけんめ、やるしかないんだね。
しかたないなら!かんばるしかないんだ!!”
”他の人を踏んづけて、自分だけ幸せになっちゃダメなんだ”
などなど。
読んでいるこちらが、
「頑張らないと!」
と励まされたり、考えさせられたりすることがとても多いです。
そのうち、『からくりサーカス』の名言まとめを記事にしようと思います。
終わりに
簡単ですが、『からくりサーカス』の紹介でした。
全43巻(完全版だと23巻)と少し長いですが、伏線がふんだんに使われており、終盤に行けば行くほど先が気になって仕方なくなります。
結構前のマンガですが、今でも十分楽しめるマンガだと思います。
これまで読んできたサンデーで連載されてきたマンガの中でも1.2を争うくらいにおすすめです!
同じ作者の作品として、『うしおととら』や『月光条例』もおすすめです。