本を知る

若者の本離れが深刻!?調査結果や、読書が減った原因とは?

読書好きの一人としてとても心配なことがあります。

それは、本を読む人が減っている!ということ!

 

たまに若者の本離れが深刻であるという話がニュースになることもあります。

なぜこんなにも素敵な本を読む人が減ってしまっているのでしょうか。

私の職場でも本を読む人が少なすぎて語ることもできずとても悲しい思いをしています。

しかし、一方で小学生や中学生だけを見ると、むしろ読書をする人や読書量は増えているというデータもあります。

こうした現状やその原因などを考察していきます。

子供の読書活動についての文科省の統計

小中高生の読書量の変化

文部科学省の生涯学習政策局青少年教育課が「子供の読書活動に関する現状と論点」を発出しています。

そこでは、小中高生の読書量や高校生が本を読まない理由などが紹介されています。

 

近年は、読書が子どもにもたらす有用性が語られるとともに、読書推進のための様々な施策が行われています。

その中の一つとして全校一斉読書というものがあります。

私が学生のころはまだありませんでしたが、通常の授業のように、

「この時間は全員で読書!」

という時間を決めて学校全体で読書をすることをいいます。

この前項一斉読書を実施している学校の割合は、

〇小学校

77.8%(2001年)⇒97.1%(2016年)

〇中学校

60.5%(2001年)⇒88.5%(2016年)

〇高校

24.6%(2001年)⇒42.7%(2016年)

と増加傾向にあります。

小学校ではほとんど100%に近い学校が実施しておりびっくりです。

中学校も割合としては9割弱と高く、高校となると、学校全体の取り組みもやや少なくなります。

 

そういった施策の成果か、2000年から2016年までの小中高それぞれの1か月あたりの読書数の変化は、

〇小学生

2000年……6.1冊

2006年……9.7冊

2012年……10.5冊

2016年……11.4冊

これだけ見ると2000年以降、小学生の読書量は格段に上昇しているように感じます。

小学生向けの本が、文章量も少なく比較的短時間で読めるというのも理由の一つかと思います。

続いて中学生になると、

〇中学生

2000年……2.1冊

2006年……2.8冊

2012年……4.2冊

2016年……4.2冊

と、上昇はしていますが、小学生に比べると、そもそもの読書量が圧倒的に少ない。

それでも2000年から2倍の読書量となっています。

そして高校生になると、

〇高校生

2000年……1.3冊

2006年……1.5冊

2012年……1.6冊

2016年……1.4冊

とほぼ横ばいになっています。

小学生の読書量は増えており、中学生はもともとの読書量が少ないですが2倍弱の数値にはなっています。

ただし、残念なことに高校生となるとあまり本を読まなくなっています。

これは、上記したように、小学校、中学校であれば、クラス全員で読書の時間を確保していたり、読書の啓発運動が盛んに行われてきたりした結果です。

この違いは義務教育だからという点もあるのでしょうか。

私が小学生のころでも、読書マラソンと題して、本を読んだページ数によって先生からスタンプやシールをもらえる取り組みがあり、熱心に読んでいたものです。

小中高生の不読率について

全国学校図書館協議会および毎日新聞社の「学校読書調査」に小学生、中学生、高校生の不読率についてのデータがあります。

不読率とは、読んで字のごとく、読書をしない割合のことをいいます。

調査開始の2000年から2016年までの結果が以下のようになります。

〇小学生

16.4%(2000年)⇒4.0%(2016年)

〇中学生

43.0%(2000年)⇒15.4%(2016年)

〇高校生

58.8%(2000年)⇒57.1%(2016年)

読書推進に関わる活動によって小学生や中学生では不読率の減少がみられます。

一方で高校生については、減少している年もありましたが、あまり大きな改善はみられません。

高校生が本を読まない理由とは?

それではなぜ高校生はここまで読書をしないのでしょうか。

平成28年度に文部科学省が行った「子供の読書活動の推進等に関する調査研究報告書」によると、特に理由として多いものは以下の3点になります。

〇「他の活動等で時間がなかったから」

〇「他にしたいことがあったから」

〇「ふだんから本を読まないから」

高校生になると小学生や中学生のころに比べてやることが増えるのも事実です。

部活動は本格的になりますし、大学受験に向けて勉学に費やす時間も増えます。

アルバイトを始める人もいれば、自由に出歩くことも増え、活動の幅も大きくなっているでしょう。

同調査によると、「他の活動等で時間がなかったから」、「他にしたいことがあったから」をあげた人のうち、中学生のころよく本を読んでいた人の割合はそれぞれ6割、5割となります。

読書が好きと答えた人も同様にそれぞれ6割と5割です。

半分以上の人が中学生までは本を読んでおり読書も好きだと答えているのに、高校生になるとその習慣がなくなっているということになります。

高校生になると、上記したようにすること・したいことが増えたため読書の機会が減るとともに、読書をするための環境も少なくなり、読書をする人が減ってきていることがわかります。

また、「ふだんから本を読まないから」と答えた人のうち、7割以上が中学生のころまでに本を読んでこなかったこと、8割の人が本を好きでないと答えていることもわかっています。

小学生、中学生までに読書の習慣がなかったり、本を好きだと感じなかった人は、なかなかそれ以降に読書をしません。

いかに低年齢のころに読書の楽しみや喜びを知ることがその後の読書習慣に影響を与えるかがわかります。

読書時間と読書に対する考え方の変化

大学生の読書時間の変化

2020年に発表された全国大学生活協同組合連合会の「第55回学生生活実態調査 概要報告」があります。

この実態調査は、

対象:全国の国公立および私立大学の学部学生

実施期間:2019年10月~11月

回収数:10,832(30大学、回収率は33.3%)

調査方法:Web調査

といった形のもので、住まい、大学生活(登下校時間、サークル、就活など)、日常生活(生活時間、政治への関心など)、経済生活(暮らし向き、アルバイト、奨学金、生活費など)といった内容に対する調査を実施しています。

その中に一つとして、1日あたりの読書時間や、読書とはなにをさすと思うかといったアンケート結果がでています。

その報告によると2019年の1日の読書時間0分の人の割合が48.1%!

大学生でもそんなに本を読まない人がいるということに驚かされます。

〇読書時間が0分

38.7%(2004年)⇒48.1%(2019年)

〇読書時間が30分未満(0分をのぞく)

10.8%(2004年)⇒9.5%(2019年)

〇読書時間が30分以上60分未満

23.8%(2004年)⇒11.8%(2019年)

〇読書時間が60分以上120分未満

19.4%(2004年)⇒19.0%(2019年)

〇読書時間が120分以上

5.8%(2004年)⇒7.8%(2019年)

上記の結果をみればわかるとおり、全体的に読書をする人が減っています。

まさに本離れの様子がここにあらわれています。

一方で、一日に120分以上読む人の割合は微増しており、読書をより深く好む人は増えているのかもしれません。

大学生の考える読書だと思うもの

また同調査では、「読書だと思うもの」というアンケートもありました。

そこでは2014年と2019年とで、どういった種類の「本」を読めば読書だと思うかを、複数選択可で尋ねています。

【読書だと思うもの(2014年⇒2019年)】

〇趣味や関心のための書籍 93.1%⇒90.8%

〇コミックス 13.4%⇒19.6%

〇趣味・情報雑誌 21.7%⇒26.5%

〇まんが雑誌 7.6%⇒12.6%

圧倒的に多かった意見は、「趣味や関心のための書籍」でそれぞれ93.1%と90.8%となっています。

私も選ぶとしたらこれになります。

しかしコミックスやまんが雑誌を読むことを「読書」とみなす人の割合が思いのほか増えていることに驚きを感じます。

私の中では「読書」といえば、一般的な小説や新書、古典文学のイメージでしたので。

 

また、読書だと思うものは、「書籍のみ」か「書籍のみ以外」かという選択肢もありました。

2014年は「書籍のみ」が50.8%でやや多かったものの、2019年には、「書籍のみ以外」が53.4%で逆転しており、読書に対する考え方が変化していることが読み取れます。

本離れの原因とは?

スマホが本離れの一因となっている?

本離れの原因と聞いてすぐに浮かぶものの一つがスマートフォン。

しかし、全国大学生活協同組合連合会は2017年に読書時間とスマホの利用時間の関連性についても調査をしています。

それによると、読書をまったくしていない層と1日に読書を120分以上している層とでは、スマホの利用時間に大きな差異はないとのことです。

そのことから、読書時間の減少にスマホの利用は直接的な強い効果はみられないとしています。

それよりも、高校生までの読書習慣が減少していることが読書時間の減少の要因と考えています。

一方で、スマホは学生生活全体に与える影響は大きく、間接的な効果は十分検討されるべき課題であるとも述べています。

なんともあいまいな表現ではありますね。

 

上記の結論はいささか乱暴かなと思います。

私もスマホは使いますし、空いた時間にゲームアプリを起動させます。

でも読書をやめようとは思わない。

だからスマホは直接的な影響はない?

そんなわけはありません。

スマホという便利でかつ簡単に楽しめるものがあれば当然そちらに自然と手がのびます。

スマホがない時代であれば電車に乗っている時間や、友人との待ち合わせの時間に読書していたかもしれない。

でも今だったらスマホをとりあえずいじりますよね。

本を持ち歩いて、暇があったらカバンから本を取り出して読もうと思う人よりも、意識しなくても手に持っているスマホをいじる人の方が多いのは考えるまでもないことです。

圧倒的に携帯性があり、便利なものがある以上はどうあってもその影響を受けてしまいます。

読書をすることがつらいと感じるから

私たちのような読書家からすると、

読書=楽しい!学べる!もっと読みたい!

と思うものなのですが、ふだんから読まない人からするとつらいもの。

そもそもなぜ活字をあえて読むのか。

マンガでもいいし、いまは簡単に動画だって見れるのに……。

ということのようです。

そもそも私たちは生まれてから自立するまでに幾度となく読書を強要されてきます。

思い出してみましょう。

〇知育によいといわれる絵本に囲まれる幼少期

〇朝読、一斉読書の名のもとに、全員で必ず読書

〇読書感想文という宿題(しかも課題図書つき)

〇学年ごとに決まってある推薦図書

〇そしてそれを読ませることが教育と考える学校の先生

これらは大抵、自分の好きな本を自由に読むというよりも、大人の意図した本が選ばれることが多い。

果たしてこれらを楽しいと感じる人がどれくらいいるでしょうか。

私はこうした読書の機会があること自体はとてもいいことだと思っていますが、強制力が働くとそれは苦痛をともないます。

そうした苦痛や苦労体験が読書を敬遠させる一因となります。

私も小学生のころから、毎週図書室の本を借りては読む程度に本が好きでした。

でも課題図書や、学校の先生から読むように言われた本は、やはり、素直に読もうと思うことができなかった記憶があります。

本を読むためには時間がかかる

皆さんは本を1冊読むのにどれくらいかかるでしょうか。

私の場合、300~400ページくらいの一般的なサイズの小説だと2時間から3時間くらいです。

ちょっと真面目なお堅い新書は、内容にもよりますが+1時間くらい。

自己啓発本など、やや行間の多い本だと1時間で読了といったところです。

ふだんから読書をしている人からするとふつうの感覚ですが、これを読むまでに時間がかかる、時間がもったいないと感じるというのです。

読書とはそもそも、文章に込められた思いを紐解き、隠された意味を見つけ出し、1冊の本から著者のメッセージを受け止めるものです。

時間がかかっても読み終えたあとの満足感を思えば大した時間ではないのですが……。

でも、私は逆にドラマをあまり見ない人です。

妻が楽しそうに1話1時間×平均10話のドラマを見るのを、

「その時間があればもっと本が読めるのに……」

と思うのと同じ感覚なのでしょうね。

本はちっとも便利じゃないから

「本はちっとも便利じゃない」

こんな意見もあります。

なにか知りたいことがあれば、今はスマホをいじればなんだって知ることができます。

書店に行って関連本を探して、適した書籍を選んで……。

本を購入したらそこから必要な内容を読み込み……。

そういった作業が家にいながらにぱぱっとできてしまう時代です。

 

感動した話を知りたいのであれば、そういった動画も世の中にはあふれています。

本を読むとき、自分で読んだ内容から情景を想像し、登場人物の心情を想像し、一つ一つのアクションを想像し……。

想像力をフル活用してようやく楽しめるのが読書です。

でも、動画であれば勝手に動いてくれるし、見ただけで情景もわかる。

こちらの努力がなくても簡単に感動を与えてもらえます。

 

本に対して便利・不便というのも変な話ですが、スマホと同様、「便利」と呼ばれるものがあふれているのも、本が遠ざけられる要因となります。

おわりに

ここまで本離れの現状や、原因を考えてきました。

読書好きとしては、もっと本を読む人が増えると嬉しいのですが、学校などの取り組みの割には効果があがっていません。

読書の習慣化はやはり難しい。

もっと本を読む仲間が増えたり、そうしたコミュニティーに入りやすい環境があったりすればまた違うのかもしれません。

私も一人の親として、できれば子どもには一緒に本を読んでほしい。

強制にはならないように、本を好きになってもらえるように、それでいて一緒に楽しめるように子育ての中で考えていこうと思います。