嘘をついたことがない人っていないと思います。
咄嗟についてしまうときもありますが、嘘はつかないに越したことはないですね。
今回紹介する本は、東野圭吾さんの、
『嘘をもうひとつだけ』です!
東野圭吾さんの<加賀恭一郎>シリーズの6作目となります。
<加賀恭一郎>シリーズ初の短編推理小説です!
〇嘘をもうひとつだけ
〇冷たい灼熱
〇第二の希望
〇狂った計算
〇友の助言
の5つの短編が収録されており、どの話にも”嘘”が存在します。
Contents
『嘘をもうひとつだけ』のあらすじ
あるバレエ団に所属する女性がマンションの植え込みで発見された。
女性は早川弘子。
マンションの住人で、バルコニーから転落したものと思われた。
加賀は、同じマンションに住み、早川と同じバレエ団に所属する寺西美千代に目をつける。
寺西には殺害する動機がないように見えたが……。
容疑者の嘘から判明する真相とは……。
5つある短編のうち、『嘘をもうひとつだけ』のあらすじになります。
5つの短編すべてで重要となるのが、被害者や容疑者がつく”嘘”です。
真相を隠そうとしてついたその”嘘”があることで、逆に加賀は事件の真相へとたどり着きます。
加賀の着眼点の鋭さと、嘘に秘められた真実が興味深い一冊です。
本書から学ぶ、嘘をつくということ
『嘘をもうひとつだけ』の中に次のようなセリフがあります。
”嘘を隠すには、もっと大きな嘘が必要になる”
(東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』p51より)
本書の中では、加賀はそうした一つの嘘から見えてくるほころびを見つけて事件を解決していきました。
でもこの言葉って自分たちのふだんの生活にもすごく言えることなんですよね。
私も生きてきた中でもちろん嘘をついたことはあります。
特に小さい頃って、
「親から怒られたくない」
と思って悪いことや失敗をしたときについ嘘をついてしまうものです。
でも、結局、嘘をついているから変なところがあってばれてしまうんですよね。
まだばれたなら、ごめんなさいって謝ればいいんですが、困るのは嘘がばれないようにどんどんと嘘をつき続けてしまうときです。
嘘をついていて、
「どこかで正直に話さないと……」
と思いながらも嘘が大きくなって取り返しがつかないことも。
本書の中での”嘘”は、多くは自分の保身のため、事件の真相にたどり着かさないようにするためのものです。
でも、『友の助言』の”嘘”は少し形が違うように感じました。
加賀の友人で居眠り運転で事故にあった萩原が、”嘘”をつきます。
その”嘘”は自分のためだけではないもの。
それが正しいのかどうかはわかりませんが、嘘にもいろんな形があります。
ときには必要ですが、可能なら縁なく生きていけるといいなと思います。
終わりに
<加賀恭一郎>シリーズは長編小説のイメージが強かったのでちょっと新鮮な一冊でした。
短い話の中にも、加賀の鋭い視点と頭の切れがあって読みごたえもあります。
願わくば嘘のない人生を送りたいものですが、嘘をつくその裏にある気持ちに気づける人間であれればと思います。