青羽悠

人は何かを捨て、選んで生きていく。青羽悠『青く滲んだ月の行方』あらすじと感想。

学生時代ってただ楽しいだけではない。

誰もがその人にしかわからない苦悩と戦っている。

周囲からそうは見えなくても、くすぶり続ける何かがそこにはある。

今回読んだのは、青羽悠さんの『青く滲んだ月の行方』です!

青羽悠さんのデビュー作である『星に願いを。そして手を』を今年の頭に読んだので、気になって手に取ってみました。

思っていたよりも全体的に雰囲気が重たく、デビュー作とのギャップに驚きました。

ここでは、『青く滲んだ月の行方』のあらすじや感想を紹介していきます。

『青く滲んだ月の行方』のあらすじ

何かを「好き」と言える人を眩しく感じる隼人、

「女の子との遊びはクレーンゲームみたいなもの」と言ってみせる大地、

高校時代までは、周囲から認められて自信を持っていた和弘、

仲間が何に苦しんでいるのか分からず、寄り添えない自分に絶望するBーー

「なりたい自分」に向かってひとり藻掻く、”大人未満”の4人の物語。

『茜さす日に嘘を隠して』(真下みこと)と繋がる世界ーー

(講談社HPより)

一言では表せない小説

ふだんはあらすじを自分で紹介しているのですが、ちょっとあらすじを書くのが難しく、久しぶりにHPのをそのまま持ってきてしまいました。

それくらい、一言でいうのが難しい小説でした。

読むのが難しいわけではないんですよね。

四人の人物を描いた短編集。

少しずつつながりがあるので連作短編になるのかな?

十代後半から二十代前半の若者の苦悩や葛藤をきれいな言葉で描かれています。

学生の頃って、かなり適当に生きていたようでもあり、でもそれ自体が悩みだったりもしていました。

なんでしょうね、いまから振り返ると、くだらないことで悩んでいたと思うけど、あのときの自分にとっては真剣そのものだった。

あの時代にしかない感覚を思い出させてくれました。

シンガーとのコラボ企画

実際に手に取るまで知らなかったのですが、この小説はシンガーとのコラボ企画だったんですね。

真下みことさんとシンガー・みさきさんによって『茜さす日に嘘を隠して』。

青羽悠さんとシンガー・shunさんで『青く滲んだ月の行方』。

現代を生きる10代~20代を主人公とした小説と楽曲をリリースしそれらをまとめた共作小説として、『茜さす日に噓を隠して』と『青く滲んだ月の行方』が刊行されたそうです。

たしかに見たときに、この二冊、表紙がそっくりって思ったんですよね。

いまはこんなおもしろい企画をしているんですね。

それぞれが男性サイド、女性サイドで描いた小説。

二つくっつけると一つの絵になるという。

これは両方揃えたくなってしまいます。

なにかを置き去りにして人は生きていく

『青く滲んだ月の行方』を読んで、率直に、

「ひとっていろんなものを捨てて、選んで生きてくのだ」

と感じました。

なにかを捨てる。

それって別に悪いことではないんですよね。

長い人生だけど、すべてのものを背負ったまま生きていくことはできない。

自ら捨てたものもあれば、気づけば手から零れ落ちていくものもある。

そうやって、苦しんだり、自分の気持ちに折り合いをつけたりしながら、ようやく一歩前に進めるんだと。

なかなかきついけど、それと向き合ってこそ、人として成長していくんだろうなって。

とはいえ、人ってそんなに賢くも生きられないし、強くもいられない。

寄り添い、傷つけ合い、慰め合い。

そうしている間に、大きく広がっていた選択肢の中から、自分なりの生き方を絞って見つけていくのでしょう。

おわりに

なにも知らずに手に取った『青く滲んだ月の行方』でしたが、これはもう一冊の、『茜さす日に嘘を隠して』もぜひ読みたい!

というか、両方読まないと、しっかり入り込めないよね。

音楽もちゃんと聴いてみないとです。

いやーしかし、学生時代、思い返さばいいことも恥ずかしいこともいろいろでした。

読んでいて、ひさしぶりに友人たちに連絡を取りたくなって、ついぽちぽち。

そんな再開の機会をくれた本書に感謝ですね。