この本を読み終えて最初に思ったこと。
「女性って怖い!」
「不倫って怖い!」
ということです。
不倫はよくないですね。
そして不倫をしても何もいいことがない。
今回紹介する本は、東野圭吾さんの、
『夜明けの街で』です!
ずばり不倫の話です。
最初はどきどき。
中盤はらはら。
後半ぞくぞく。
という気持ちにさせられます。
Contents
『夜明けの街で』のあらすじ
『夜明けの街で』は、主人公である渡部の、
”不倫をするやつなんて馬鹿だと思っていた”
という言葉から始まります。
渡部の元同僚には、
・不倫が原因で離婚
・慰謝料代わりにマンションを取られ、子どもの養育費を払う
・ノイローゼとなり仕事でミスをしてクビになる
・離婚の原因となった女性とも結ばれずにすべてを失う
という人がいました。
それを見てきた渡部は、妻と子どもを愛しているならそれで十分であり、家庭を壊してまで不倫をするのは愚の骨頂であると考えていました。
その上で渡部は言います。
”もう一度言う。不倫をするやつなんて馬鹿だ。
ところが僕は、その台詞を自分に対して発しなければならなくなった。ただし、その言葉の後に、こう続ける。
でも、どうしようもない時もある”
(東野圭吾『夜明けの街で』より)
渡部は、建設会社に主任として勤めており、妻と幼稚園に通う娘と3人暮らし。
ある日、渡部の会社に、派遣社員として中西秋葉が入社します。
最初は特に気にも留めていなかった渡部。
秋葉が入社してからしばらくたった金曜日の夜、渡部は大学時代の友人たちと飲みに行った後、バッティングセンターに立ち寄ります。
そこには、すごい形相でバットを振る秋葉がいました。
そのまま秋葉を交えて友人たちとカラオケに行き、酔っぱらった秋葉を家まで送ることに。
そこから、渡部と秋葉の関係が始まります。
渡部は、自分には家庭もあると思いながらも、徐々に秋葉への想いが高まり止められなくなります。
秋葉への想いを大事にしたいと想いながらも家庭を壊すこともできない。
そうした相反した気持ちのまま、関係を続けていきます。
二人の仲が深まるにつれて、渡部は秋葉が複雑な家庭事情を抱えていることを知っていきます。
そして、15年前に、秋葉の家で起きた殺人事件のことを聞かされます。
犯人が捕まらないまま、まもなく時効を迎えようとしている事件。
容疑者として警察からマークされている秋葉。
事件の真相は?渡部と秋葉の関係はどうなるのかと読む手が止まらない一冊でした。
『夜明けの街で』を読んで思うこと
不倫って怖い!
私は不倫をしたことはありません。
当然これからもするなんてありえないと思っています。
でも周りにはいました。
不倫をした知人は周りから反対されて、反対した友人たちとの縁を切ってしまいました。
いまどうしているのかを『夜明けの街で』を読みながら考えてしまいました。
『夜明けの街で』の中では、渡部の友人の新谷が必死になって渡部に話をするシーンがあります。
不倫をしたくなる気持ちはわかるが、
絶対に妻にばれてはいけない!
離婚を考えてはいけない!
守るべき一線は守るんだ!と。
「不倫なんてするな!」
って言うところじゃないのかって思いましたが、この友人新谷の体験談から来る言葉だったようです。
新谷は、バレて、もめて、でも離婚もできず。
一生、贖罪の気持ちを持ちながら妻と暮らしていくことになりました。
ありえない仮定ですが、もし不倫をしたら……。
私はうそがへたなので絶対ばれますね。
そしたら一体どうなるでしょうか。
絶対離婚って言われてしまいます。
離婚をして、親権は妻の方に。
慰謝料と毎月養育費。
職場にも別れたことがすぐにわかり変な目で見られそうですね。
いやもう想像するだけで恐ろしい!!
きっと不倫に走る人はそこまで考えていないんでしょうね。
女性は怖い!
『夜明けの街で』からは、女性の怖さをすごく感じさせられます。
笑顔で話していたり、平然としていたりする裏で、激しい怒りや憎しみのような感情を持っていることがあります。
でも男性って割とわかりやすい人が多い気がします。
感情がそのまま顔に出るんですよね。
そして、男性は馬鹿です。
そうした女性の行動にすっかり騙されてしまいます。
本書の中でも、女性が感情を出さずに、内に秘めたままいつもどおりに過ごす姿があり、あとで真相を知ったときに、背筋がぞくっとしました。
読んでいただけたらわかりますが、卵のくだりなんかは、「うわぁー」と言いたくなります。
東野圭吾さんは、この本で何を伝えようとしていたのかがとても気になります。
女性の怖さはとことん伝わりましたが……。
うちの妻も、実は笑顔の裏でいろいろ思っているのかな。
怒らせないようにしないとです!
不倫を一度すると止められない?
多くの人が不倫をしない理由に、家族が大切だから、今の生活を壊したくないからといったものがあると思います。
それ以外に、本書では、不倫はいけないという考えが不倫を思いとどまらせてくれていることを伝えてくれています。
渡部も、ずっと不倫は自分に縁がないものだと考えていました。
不倫はいけないことだし、不倫をする人は馬鹿だと。
でも、不倫をしたあとにこういう台詞がありました。
”こうして僕たちは、本来ならば越えてはいけない境界線を飛び越えてしまった。越える前はその境界線に大きな壁が立っていると思っていた。だけど越えてしまうとそこには何もなく、壁は自分が作り出していた幻覚だったと知るのだ”
(東野圭吾『夜明けの街で』より)
そして、渡部は、これまでは、あると思っていた壁が自分を思いとどまれせてくれていたが、これからは、自分の理性だけで、この感情を制御していかなければいけないと考えます。
すごく納得のいくシーンでした。
不倫をしてはいけない、するものではない、倫理に反するものだ、そうした一般的に持っている考えがあるから、そもそも不倫をしようとすら思わないのだと思います。
もし、これが一度でも取っ払われてしまったら……。
あとは自分と欲望との戦いでしかありません。
実際に、よく一度浮気や不倫をした人は信用してはいけないなんて言葉を聞きます。
一度した人は何度だって同じことをしてしまう、と。
だからこそ、どんなに素敵な人がいたとしても、その最初の一線を越えるべきではないのでしょう。
終わりに
もともと、不倫をする人は理解ができないと思っていましたが、『夜明けの街で』を読んで、これまで以上に、
「不倫は恐ろしいものだ!」
という気持ちが湧き上がってきました。
人間、いまある幸せをしっかり認識して、それを大事にしていくのが一番です。
本書の中の、私は、渡部の友人新谷を割と気に入っているんですが、新谷の台詞で、
”いいことを教えてやる。赤い糸なんてのは、二人で紡いでいくものなんだ。別れずにどちらかの死を看取った場合のみ、それは完成する。赤い糸で結ばれていたってことになる”
(東野圭吾『夜明けの街で』より)
というものがあります。
運命の出会いなんてものはその時点でわかるものではないんだ、運命だと言って燃え上がるのはよくないと渡部を諭すシーンですね。
生涯連れ添ったときに初めてその人との間で赤い糸が完成する。
素敵な考え方だなと思いました。
私もこれからも妻を大切にして、何十年後かに二人の赤い糸を完成させたいと思います。