本を知る

本屋やコンビニの立ち読みは違法?あなたの立ち読みは犯罪かも!

立ち読みを人生で一度もしたことがない!!

という人はあまりいないのではないかと思います。

本屋に行ってもBOOKOFFなどの古本屋さんに行っても立ち読みをしている人はたくさんいますよね。

私も本屋に行けば、どんな内容なのかなとぱらぱら本をめくります。

本を買うか迷っていて立ち読みすることもありますし、待ち合わせの時間つぶしに行うこともあります。

あたりまえのように行っている立ち読みですが、ふと疑問に思うこともあります。

それは、立ち読みは違法にはならないのかということ。

みんながしているから合法……というものではないですよね。

そこで、立ち読みと法律について少し調べてみました。

Contents

「立ち読み」とはどんな行為をいうのか

立ち読みと聞いて、

「なにそれ?初めて聞いた!どんなことかイメージもわかない!」

なんて人はいないと思いますが、まずは立ち読みという言葉を明確にしておきます。

一般的に立ち読みとは、

立ち読み(たちよみ)は、書店等で販売または閲覧の為に陳列してある書籍類を、客が立ったまま読む行為である。

狭義では、店頭で購入意思不明瞭な状態での閲覧行為を差す。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

とされています。

立ち読みとはまさに読んだとおりですね。

この記事では、狭義の意味ではなく、立ち読みとは、書店の陳列してある書籍類を客が立ったまま読む行為という前提に乗っ取って話を進めていきます。

基本的には合法な立ち読み

結論からいえば、立ち読みは合法です。

ただし、「基本的には」です。

刑法を紐解いてみても、立ち読みが違法とされるような条文はありません。

もちろん、万引きは明らかに窃盗罪ですが、本を読む行為自体それだけで犯罪にはなりません。

本屋さんでいえば、立ち読みが禁止されていない場合、お店側が黙示的に立ち読みを許可しているとされています。

※黙示的⇒なにもいわないことでみたいなニュアンスです。

そして、お客さんも許可されているという認識のもとに立ち読みを行っています。

 

では、長時間にわたる立ち読みの場合はどうでしょう。

私も学生のころは、BOOKOFFなどに行って半日近く過ごすこともありました。

これも立ち読みが禁止されていないお店であれば、長時間にわたって立ち読みをしても違法とはなりません。

そして、来る日も来る日もせっせと通い詰めて、毎日のように立ち読みをしたとしても違法ではないのです!

ただし、そこまであからさまに目がつくように毎日通っていれば、さすがにお店側も黙っていられなくなりますよね。

お客さんに立ち読みは遠慮するように伝えるかもしれません。

もしそうなったら素直に受け入れて立ち読みは止めましょう。

このときに、

「俺は客だぞ!立ち読みくらいさせろ!」

と反発したり、注意を無視するとその行為が違法となってしまう場合もあります。

どんな場面でも行き過ぎた行為となってしまうと、本来合法であったものでも違法となる可能性をはらみます。

立ち読みが違法となる場合もある!

状況によっては立ち読みが違法となる場合もあります。

立ち読みが合法であるためには以下の二つが前提となります。

〇「立ち読み禁止」、「立ち読みはご遠慮ください」といった掲示がされていないこと

〇立ち読みが可能な状態で書籍や雑誌が陳列されていること

お店にある本が誰の物かといえば、とうぜんお店の物ですね。

そのお店側が、立ち読みはしないでねっていっているのに立ち読みをしていると、それは違法となる可能性があります。

立ち読みが禁止されていてなお、

「立ち読みしないと中身がわからないじゃん」

という人は、そもそも買う前の商品はお店のものなんだよという認識が薄いのでしょう。

また、昔と違い、コンビニでも本にビニールカバーやビニールひもがつけられるようになりました。

ジャンプやマガジンといった漫画雑誌が自由に立ち読みできていた時代が懐かしいです。

そして、ビニールひもがついて、立ち読みできなくなったときの衝撃も。

このように、ビニールひもで縛るなどして、本が開けなくなっている状態。

これは、お店側からの立ち読みしてはいけないという明確な意思です。

なのに、ビニールひもを外して本を読もうとするとそれは違法行為にあたる可能性が出てきます。

本や雑誌の撮影は違法か?

では本や雑誌を撮影する行為はどうなのでしょうか。

結論だけいえば、これもお店側が禁止していなければ合法となります。

逆に、「撮影禁止」なんて貼り紙があれば、違法となる可能性が出てくるのでやめておいた方が無難です。

 

こうした本や雑誌を撮影する行為は、情報の窃盗ではないかという議論がなされたこともあります。

いわゆる「デジタル万引き」というやつです。

ただ、刑法上、情報については窃盗罪が適用されないため、万引きという言葉は強すぎるのではないかということもあり、いまはあまり使わない言葉にはなっています。

少し法律の話になりますが、刑法の窃盗罪には要件があります。

窃盗罪の対象となるのは「財物」、つまり形のある物質に限られています。

例外として、「電気の窃盗」がありますが、基本的には物質を盗んだときが窃盗罪にあたります。

本の情報を盗んだ……としても情報は物質ではないため窃盗罪の対象とはならないというわけです。

 

「じゃあ、本をいくら撮影してもいいんだ!」

と思った人はちょっと待ってください。

刑法上の違法行為にならないというだけで別の問題があります。

 

一つ目は、著作権の問題です。

本を撮影するだけなら著作権法違反にはあたりません。

それは、著作権法の中で、私的利用であればよしとされているからです。

しかし、その撮った画像を他人に渡したり、インターネット上に流出させると著作権法違反になる可能性が出てきます。

いまはみなさんSNSなんかを通じて画像を上げてしまいがちです。

そうしたときに本や雑誌の内容についてはちょっと避けておいた方がいいかもしれません。

 

二つ目は、モラルの問題、倫理的な問題です。

一般的にお店の中のものを撮影する行為ってマナー違反ですよね。

撮影を前提としたお店であればもちろん問題ありません。

インスタ映えを狙ったカフェとかだとむしろ喜んで撮影してくださいって思うかもしれません。

でも、本屋さんはそうではないでしょう。

違法でないからといって撮影する行為は、お店にも周囲のお客さんにも迷惑です。

私も雑誌コーナーで堂々とスマホで写真を撮っている人を見かけたことがありますが、関係ないと思ってもいい気分ではないですよね。

ましてや店員さんからすると……。

中身を写真に撮るくらいなら買っていってほしいですよね。

こんなときは違法行為になるかも!

暴行罪・傷害罪

長時間の立ち読みやマナー違反を注意されたとき、かっとなって店員の体を押したり、殴ったりすれば暴行罪や傷害罪になる可能性があります。

暴行というと、結構ひどいことをしたときに使うように感じる言葉ですが、割とその言葉の幅は広いです。

たとえば、

〇店員の体を押す

〇軽く突き飛ばす

〇胸倉をつかむ

相手がけがをしていなくても、こうしたことをすると暴行罪になります。

つばをかけたり、腕を振り払おうとして体に手があたっても暴行罪の要件には該当するんですよね。

そして軽いものでもけがをすれば傷害罪ですね。

業務妨害罪

業務妨害には2種類あります。

インターネットなどで、嘘の悪口を書いたりしてお店の営業を妨害したら、偽計業務妨害罪。

注意されたことに憤慨し、お店で暴れたり怒鳴ったりして、営業を妨害する行為があれば、威力業務妨害罪。

店員さんに怒鳴るお客さんがときどきいますが、程度がひどければこうした罪に該当する可能性は十分あります。

器物損壊罪

上記したように、最近は本や雑誌にビニールカバーやビニールひもがついていることがあります。

こうしたカバーを破って外したり、ひもを取ったりすると、それは器物損壊罪にあたる可能性があります。

本の本体ではないといっても、そのカバーであってもお店のものですね。

たまたまその店に来たお客が外していいものではありません。

また、立ち読み自体に問題がなくても、その際に本を傷つけたり汚したりしてしまうとこちらも同罪にあたる可能性があります。

不退去罪・不法侵入罪

長時間の立ち読みをしていたり、マナーがとても悪かったり。

そんな人にはお店から出て行ってもらいたいものです。

店員がそうした人に出ていくように注意をしても、しつこくその場に居座れば不退去罪が成立する可能性があります。

また、いくら注意してもいうことを聞かない、懲りずにまたお店に来る。

そうしたときに、もうお店の側がこの人は客ではないと判断すれば、その人はお店に入ってはいけません。

それでも無理に入れば、不法侵入罪が成立する可能性があります。

ふつうの家でも、勝手に敷地に入ってきたら犯罪ですよね。

本屋であっても、その場所の所有権を持った人がいる以上は、入っていい人いけない人を選ぶ権利があります。

おわりに

立ち読みと法律、違法行為について紹介してきました。

読んでいただいてわかるとおり、常識の範囲内で立ち読みをする分には問題ありません。

あくまで行き過ぎた行為であったり、常識外の行動があったりしたときに違法になる可能性があるということです。

本屋を利用するときは、法律はもちろん、モラルやマナーも守り、お店もほかのお客さんもいい気持ちで利用できる空間にしていきましょう。