石田衣良

一生の友情はずっと色褪せない。石田衣良『4TEEN』あらすじと感想。

14歳、中学二年生。

思い返してみると、その日その日のことに全力を注いでいたなと感じます。

そんな若い少年たちを描いた作品は、やはり力がある!

今回読んだのは、石田衣良さんの『4TEEN』です!

石田衣良さんは、『池袋ウエストゲートパーク』でデビュー。

ドラマ化もされて有名な作品ですね。

『4TEEN』は2003年に直木賞を受賞し、2005年に文庫化。

中学二年生の4人の友情、恋、病気、死を描いた青春小説です!

あの頃が懐かしくなる人も多いのでは。

ここでは、『4TEEN』のあらすじや感想を紹介していきます。

Contents

『4TEEN』のあらすじ

ダイ、ジュン、ナオト、テツローの4人は、東京・月島に暮らす中学2年生。

ごくふつうの14歳たちのきらめくかけがえのない「いま」を描いた8つの短編集。

いつも一緒にいる4人。

友人の恋について盛り上がったり、親に内緒で夜の街を冒険してみたり。

その中で感じるのは友情や恋といった明るいものばかりではなく、不平等さや、病気や死というものを目の当たりにもする。

春休み、4人のうちの一人であるナオトが入院した。

元々、体が弱かったナオトだったが、彼は通常の人の何倍もの速さで年をとっていくウェルナー症候群という病気を抱えていた。

ナオトの髪は白く、顔や手や首筋にはしわがある。

テツローたち3人は、足しげくナオトのお見舞いに病院に通う。

ある日、もうすぐ誕生日を迎えるナオトのために、とびきりのプレゼントを思いつく。

すべては平等ではない

人間は生まれながらにして平等ではない。

唯一、平等なのは与えらえた時間だけだ。

どこかでそんな言葉を聞いたことがあります。

でも、『4TEEN』の中では、それさえも平等ではなかったんですね。

仲良し4人組のナオト。

彼は人よりも時間が速く過ぎていくウェルナー症候群にかかっています。

テツローたちは、自分達3人の若さをわけてあげられないかと考えるがそんなことはできるはずがない。

人とは違った生き方を強いられたナオト。

でも、この4人は、対等な存在としていい関係を築いているのだから、友情っていいなと思います。

一方で、ほかの部分でも4人ってだいぶ違うんですよね。

ナオトは病気だけど、この中でもっとも裕福な家に生まれています。

『4TEEN』の中では、月島は開発が進んだことにより、富裕層と中間層と、昔ながらの下町の人たちにわけられています。

テツローとジュンはこの中間層だったかな。

そしてダイはその中でも貧乏で、その上、父親は酒乱で暴力を振るう最低の父親でした。

そのことからひと悶着起きるのですが、それでも、それを乗り越えて前に歩き出すのは、この時期ならではの成長と強さなのかなと思います。

友情って

友情ってなかなか難しいものです。

小さい頃から死ぬまで続く友人関係って実際は少ない。

それはそうですよね。

みんな大きくなれば就職して社会人になり、いつの間にか家庭を持つようになっていきます。

育った地元を離れる人だっています。

今はSNSで簡単に繋がれるとはいえ、そういうツールがあっても、それぞれの生活の中で自然と疎遠になっていくもの。

それでも、思い返してみると、中学生くらいの頃の友人たちと馬鹿みたいに騒いだこととか、真剣に悩んだりぶつかったりしたことって、ずっと心に残っているものです。

「あの頃、あいつらと出会ったからいまの自分がいる」

そんな風に言える相手って素敵だな。

『4TEEN』のテツローたちはきっとそんな関係。

大人になっても、いつまでもその頃のことが思い出として輝き、原動力となるんだろうな、と。

おわりに

『4TEEN』は2003年に出版された小説です。

当時の世情なんかも、

「なつかしいなー」

と感じながら読んでいましたが、何十年たってもおもしろい。

時代が変わっても読んでいて楽しめる小説を書ける方って本当にすごい。

まだまだ読みたい小説が多すぎて困ります。