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創作?実話?小川哲『君が手にするはずだった黄金について』

どうにも不可思議な小説のようなエッセイのような1冊と出会いました。

今回紹介するのは小川哲さんの『君が手にするはずだった黄金について』です!

これが小説のようなエッセイのような小説のような不思議な本でした。

説明が難しいけど読んで損はないおもしろい一冊です。

Contents

『君が手にするはずだった黄金について』の概要

内容紹介(出版社より)
才能に焦がれる作家が、自身を主人公に描くのは「承認欲求のなれの果て」。認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの? 青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげな人物たちと遭遇する連作短篇集。彼らはどこまで嘘をついているのか? いま注目を集める直木賞作家が、成功と承認を渇望する人々の虚実を描く話題作!

どこまでが本当でどこからが創作か。

これね、おもしろいです。

作者自身のことを書いているんですが、

「いや、これは絶対に本当のことだけじゃないよね」

という内容で、どこまでが本当でどこまでが創作なのかがわからなくなるところがまたおもしろい。

主人公が作者だから実際の話なのではという期待も捨てきれず、絶対に違うとは言い切れないところがまたいいですね。

特に表題作である『君が手にするはずだった黄金について』。

こんな同級生がいたら絶対に話題になるし、ずっと語り継がれていくよなあと。

それに同級生で集まったときに自分達も似たようなことを話していたことが思い浮かんでリアルにも感じられます。

作者の哲学も見えて楽しい

『きみが手にするはずだった黄金について』の中では、作者がどうして作家になったのかという話も出てきますし、承認欲求が高い人について言及する場面もあります。

作者の友人との会話の中で描かれるものなので、より親近感をもってその考えを読むことができました。

『偽物』の話もいいですね。

どこを見せて、どこが本当で。

本当っぽく見せることも時には必要であり、でもそれに実態が伴っているかってそれだけでは判断できなかったりもします。

偽物と本物ってなんなんだろうかって考えさせられます。

小川哲作品はかなりおすすめ

小川哲さんの小説を初めて読んだのは、『君のクイズ』でした。

クイズ番組の中で問題文が読まれる前に回答者が答えるということがおき、その真相に迫るって話です。

これがかなり衝撃的で一気に小川哲さんにはまりました。

その後、テレビ番組の『タイプライターズ』に出演することもあり、人柄的にもおもしろく、まだ読んだことのない人にはぜひ作品を読んでもらいたい作家さんの一人です。