芦沢央

こんな友情の形も。芦沢央『今だけのあの子』あらすじと感想。

友情ってのは、いろんな形があります。

良くも悪くも、友情によって人は行動を変えることも。

今回読んだのは、芦沢央さんの『今だけのあの子』です!

芦沢央さんの三作目にして、五編からなる、初の短編集になります。

「届かない招待状」、「帰らない理由」、「答えない子ども」、「願わない少女」、「正しくない言葉」。

どれも、一見どこにでもあるような話でありながら、そこにひと捻り加えられていて、おもしろい話になっています。

ここでは、『今だけのあの子』の感想を紹介していきます。

『今だけのあの子』のあらすじ

「届かない招待状」

恵には大学時代からの親友がいた。

なにかあれば真っ先に相談するような相手。

自分の結婚式では、友人代表でスピーチもお願いした。

でも、そんな親友の結婚式なのに、恵には招待状が届かなかった。

招待をされないような理由は特にないはず。

たった六人しかいない同じグループの女子の中で、どうして自分だけが招待をされなかったのか。

そこにある新婦の真意とは。

友情とはなにかを考える物語

『今だけのあの子』では、友情というのが一つのテーマとしてあります。

友情って、小さいときでも、年寄りになってからでも、ずっとあるものですよね。

もちろん、小学校から中学校、高校、大学、社会人となる中で、相手は変わっていきます。

結婚して家庭を持ち、子どもができたりすると、付き合う相手はそれまで以上に変化します。

そんな友情も、それによって喜びや楽しみが倍増することもあれば、それが悩みになったりもしますね。

上記した「届かない招待状」では、親友と思っていた友人からの招待状が自分にだけこないという思いがけない裏切りで、疑心暗鬼になっていく姿がうまく描かれています。

自分との関係はなんだったのかと考え込んでしまいますよね。

「帰らない理由」や、「願わない少女」は、十代の女性の友情を描いたものですが、形は違えど相手への想いの強さを感じます。

友情があるがために、本来の自分の姿を曲げてしまうことも。

それがうまくいっているときは幸せでも、引き返せなくなる部分も含めて、学生ならではの姿だなって思いました。

私にも大学時代からの親友がいます。

ふだんそんなに連絡を取り合うことはなくても、彼との当時の思い出が、自分の一部を形作っているのだとときどき感じます。

連絡を取り合わなくても、存在が近くにある。

そんな友情もあるのだと個人的には思いながら読ませてもらいました。

親と子どもとは

「答えない子ども」もまた考えさせられる作品でした。

子どもを大切に思う親と、親の期待に応えたいと思う子ども。

どちらも純粋な気持ちのはずなのに、どこかですれ違ってしまっている部分もあって。

特に私にも小さい子どもがいるので、余計に自分の親としての接し方を思い返してしまいました。

親の何気ない言葉でも子どもって、親が思う以上に大きなこととしてとらえていたりするんですよね。

それが実は子どもを縛ってしまっていることも。

子どもが何を考え、何を思うのか。

子どもだと軽く思わずに、親が同じ目線に立って考えることが大切なのだと感じます。

といっても、それってすごく難しいんですけどね。

私もいつも娘から指摘されて気づかされることも本当に多く、良い親になるのって大変だなーと思っています。

おわりに

初の短編集ですが、全体的に優しい話が多かったかな。

「願わない少女」はちょっと別でしたが。

芦沢央さんの小説は、暗い感じのものが多い印象だったのですが、こんな作品もあるのだなって思いました。

次は、『いつかの人質』に手を伸ばします!