『日本男児』 長友佑都
第1章 初志貫徹
第2章 一期一会
第3章 一意専心
第4章 切磋琢磨
第5章 試行錯誤
第6章 有言実行
第7章 一心不乱
おわりに
サッカーワールドカップロシア大会。
2018年6月19日に行われた日本対コロンビア戦。
こういった大会のときにしかサッカー中継を観ない私ですが、どきどきしながら試合の展開を見守っていました。
開始3分での驚き!
後半大迫選手の勝ち越しゴール!
日本が勝利したときの高揚感!
本当に日本中を熱狂させた試合でした。
その中でも、個人的には長友選手が攻守に走っている姿が印象的でした。
そんなこともあり、今回は長友選手の本を読んでみました。
今回読んだ『日本男児』は、2011年5月にポプラ社から出版された本です。
当時の長友選手の写真が表紙なので、
「今と比べるとすごく若い!」
と感じるかもしれませんね。
長友選手は有名なので私でも聞いたことがある選手ですが、実際にどういう経歴の選手かは知りませんでした。
サッカー選手といえば、小さい頃からサッカーをしていて、高校選手権で活躍しているみたいなイメージを持っていたため、本書を読んで想像とかなり違っていて驚きました。
同時に、長友選手の熱い心や生き方が伝わってきて、これまで以上に好きになれました。
本書は、上記の7つの章から構成されています。
第1章から第4章で、長友選手の幼少期からプロになるまでを。
第5章から第7章でFC東京入団から、インテルへの移籍、インテルでの挑戦を描いています。
「はじめに」の中で、
「バスタブにつかり、温まった身体をひろげてストレッチを行う。
それは一日の終わりに必ず行う日課だ。
たったひとりの部屋で、身体を伸ばしながら、コンディションを確認する。小さな違和感も見逃さない。約10年かけて、鍛え続けた筋肉と会話を交わす。そんな時間を僕は大切にしている。」
「定めた目標と、現在の自分との距離を測り、足りないものを認識する。
自分の弱さを突きつめたり、強さを確認することもある。
良くやったと褒めることはあっても、満足したことは一度もない。」
とあります。
本書の中身に入る前から、長友選手がいかに思考し、自身と向き合い、努力を重ね続けてきたのかがうかがいしれます。
毎日、繰り返し自分自身を振り返り、考え、行動してきたから今の活躍があるのだと。
第1章は、長友選手の幼少期、小学生時代。
両親が離婚をして、長男として頑張らなければいけないと決意したことや、小学生の頃からサッカーは得意であったが、愛媛FCのセレクションに挑戦して落ちたことが描かれています。
第2章では、セレクションに落ちて失意のまま始まった中学校生活で、不良の巣窟であったサッカー部で、サッカーから距離を置いてしまったことや、一人の先生との出会いが自分を変えてくれたことが描かれています。
第3章で高校生活を、第4章で明治大学入学と腰痛との闘い。
第5章以降でプロになってからの活躍を描いています。
本書を読んで、感銘を受けた長友選手の言葉をいくつか紹介します。
「環境のせいにするな。すべては自分次第で変えられる。」
中学生の頃、入部したサッカー部は、部活として機能しておらず、長友選手も、練習をせずに、友人たちとゲームセンターに通っていたそうです。
最終的には、恩師となる先生に激励をされてサッカーに打ち込むようになりますが、周りに流されたり、環境のせいにしていた当時の自分を振り返っての言葉です。
「自分の気持ちや決意、信念を貫き通すことは大切だ。でも、第3者の客観的な目、言葉に耳を貸すことも同じように重要なんだ。周囲の人の声を聞き、そのうえで、考えて決意する。考え方が違うとか、わかっていないと耳をふさぐのは、もったいないことなんだと、この経験を通して僕はそう思うようになった。」
これは、大学生のときの長友選手が、それまで経験をしたことのないサイドバックに監督の指示でコンバートしたときの気持ちです。
当初は慣れないポジションでうまくいかず、監督にもサイドバックはできないと直訴したそうです。
それでも監督は長友選手をサイドバックとして起用し、長友選手も、それならばいまいる場所で精いっぱいやるんだと決意をして、実力を伸ばしていくことになります。
わたしたちが社会で生活していく中でも、自身の考えとは違うことをしなければいけなくなるときもあります。
もし私が、長友選手と同じような立場であったら、
「自分のことを理解してくれない。」
と思い、長友選手ほどひたむきに打ち込むことはできなかったのではないかと感じます。
第3者の言葉を素直に受け止め、自身で考えたうえで決意する。
長友選手の強さを、こうした行動からも学ぶことができます。
これ以外にも、感銘を受ける文章がたくさん詰まっています。
「意思あるところに道はできる。」
「努力は裏切らない」
そんな長友選手の生き方や信念がとても伝わってくる内容となっており、これまでとはまた違った気持ちでこれからの試合も応援できそうです。